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そして「息を止めないで〜」

「釜石でいちばん元気のいいおばあちゃんたち見に来て」
って、友人さくちゃん( #佐久間定樹 さん)に誘われて、
「ほっぷすてっぷの会」に参加してきた。

ばあちゃんたちがしゃべるしゃべる。
ばあちゃんたちが笑う笑う。
絶え間なくしゃべって笑っている。

ただし、手足を動かすときはしゃべらず笑わず、
だけど笑顔でリズミカルに。
さくちゃんいわく、認知症予防の脳トレ体操。

グーチョキパー、グーチョキパー。
これは簡単。
なんぼでもできる。
ただし、イスに座って両膝を開けたり閉めたりしながら、
これをやるとどうか。

……あれ?

右手はチョキ、左手はキツネ(親指と中指と薬指をくっつける)。
右手を左手、交代交代に「チョキ、キツネ、チョキ、キツネ」。
最初はゆっくり、だんだんスピードを上げていく。

チョキと昔のチョキ(親指と人差し指のチョキ)。
右手を左手、交代交代に「チョキ、チョキ、チョキ、チョキ」
ゆっくりでもできない。

これで膝の開閉までつけると……。

おばあちゃんたちは、なにごともなくできている。
なんだこりゃ。

この日集まったのは14人。
最高齢95歳、ほか3人が90代。
あとは80代と70代。
「昔は若かったのにね〜(爆笑)」

2013年か14年に始まった(記憶が曖昧)、ほっぷすてっぷの会。
震災から復興が進んで、
避難所から仮設住宅から復興住宅か自宅再建へ。
「なにかしたいね、身体を動かしたいね」
ということで、自主グループが出来上がり、
体育協会にいるさくちゃんがお手伝い。

行政や社会福祉協議会が主催する体操グループではなく、
最初は5、6人から(記憶が曖昧)、
自分たちで仲間を増やしてきた。

「できない、失敗した→怒られる、じゃなくて、
できない→笑う、っていうのがいいんじゃないの」
ね〜〜〜、とおばあちゃんたちが互いに共感する。

「みんなで集まって笑うのが好きなのよ」
ね〜〜〜、とおばあちゃんたちが互いに共感する。

「一人じゃ笑えないからね」
家に帰れば一人。いわゆる独居老人のおばあちゃんも。

でもばあちゃんたちはたくましい。
1km2kmぐらい歩いてやってくる。
杖つきながら、歩いてくる。

家を出て、街を歩いて、集まって、笑っている。

笑いが絶えないほっぷすてっぷの会

右腕:二拍子の上下運動
左腕:三拍子の三角運動

いち、に、さん、し、掛け声をかけながら。
「1」だけが同じ動き。
「6」で同じ位置に戻る。

さくちゃんは、
「掛け声出していきましょ〜、
できなくても腕動かすの止めないで〜、
最後に『6』で合えばいいから〜」

爆笑。

いち、に、さん、し、
「止めない、6で合わせる、
そして、息止めないで〜」

「死んじゃうから〜〜(爆笑)」
と、ばあちゃんたちは大笑い。

笑い、笑い、笑い、笑い。
ばあちゃんたちは、90分のセッションを終わったあと、
ぐずぐず居残ることはなく、
きびきびと自分たちでイスを消毒、お片付けして、
さっさと退出して、
カギお当番のばあちゃんが施錠しておしまい。

健康寿命を伸ばすにも、平均寿命を伸ばすにも、
運動を習慣化するのはもちろん、
大事なのは、「家を出て歩きたくなる街づくり」
「ほっぷすてっぷの会」のようなグループがたくさんできる街づくりを目指していく。