仮名手本忠臣蔵九段目

ちょい突き抜けると、人を喜ばせるなあ、と思った。

昨日は、歌舞伎の楽しみ方会、結婚パーティ、映画の楽しみ方会だった。
楽しみ方会というのは、その分野に得意な人が、
ある作品の楽しみ方を解説したあと、その作品を鑑賞し、
終わったら参加者での感想の共有と、
ちょっとしたタネ明かし、ウラ話、「実は……」をする。

歌舞伎の楽しみ方会は、
『仮名手本忠臣蔵』の九段目。
・仮名=47文字→四十七士
・忠臣蔵=討ち入り、は誤解が定説になったもの。
・討ち入り=赤穂事件。実は『仮名手本忠臣蔵』ではほとんど演じられない、
・九段目は動きが少なく上演時間が長いからあまり演じられないが、
じつは恋、カネ、家族愛の深い話。

という解説を聞いて、いざDVDで。
みんなでレンタルルームを借りて、午前中。

つぎは、結婚パーティ。
新婦本郷明美さんの元同僚として参加。
ずっと一緒に田原総一朗さんのスタッフをしていた。
一方、お酒が好きで居酒屋めぐりが趣味で、
雑誌に連載をしたり、本を書いたりしていた。
ある居酒屋で、「おとなの週末」連載の読者だという男性を紹介される。
それがきっかけで交際→結婚。

連載ったって10回とか2年とかそんなもんじゃなく、
老舗連載企画で、居酒屋めぐりは15年以上になる。

結婚ったってもう織田信長の時代なら、人生おしまいの歳である。
いまさら人前でお披露目なんて、と思っていたら、
居酒屋店主たち、居酒屋女将たち、飲み仲間たちがこぞって、
日本酒でパーティをやろうじゃないか、と。

そうした企画はままあるから、だいたいの規模はわかっていたつもりのわたしの予想は大きくハズレ、
それはそれは大勢があつまり、和装の新郎新婦ともにいっさい着席せず、
ずっと升を片手に各テーブルを回っていた。

本郷さんの居酒屋めぐりは、突き抜けていた、
これが14時から。
わたしは、途中で田原総一朗さんがもぞもぞし始めたので、
「出ましょうか?」
と水を向けたら、
「悪いけど、そうしよう」
と落ち着きを取り戻す。
肉はダメ、魚も白身魚だけ、野菜は温野菜、果物は旬のもの、
もっんのすごい偏食だから、
お店が良かれと思って用意してくれた特別食も、
手を付けたのは杏仁豆腐(笑)。

突き抜けすぎで笑った。

最後は、映画の楽しみ方会。
これは、大隈塾の学生が運営しているシェアハウスで、
大隈塾の卒業生が月イチでやってるお楽しみ会。
今回は、『ブルース・ブラザーズ』。

歌舞伎のと同じように、解説から鑑賞、というパターンは同じだけど、
解説が始まる前は、映画館の予告編よろしく、
Netflixや動画配信サイトの予告編が次々と。
ひとつひとつ、いちいち紹介しながらだから、
これはたまらない。

しかも、このシェアハウスには機械好きがいて、
質のいいプロジェクターやスピーカーやスクリーンをネットで安く仕入れ、
大画面テレビでは味わえない迫力。

しかもしかも、映画館の予告編では観られないNetflix作品だから、
しかもしかもしかも、それをコメント入りで次々と観られるんだから、
これはたまらない上にもたまらない。

さらにしかも、じゃあ映画館っぽくしようということで、
料理好きのオーナー(学生)は、毎回フライドポテト、ポップコーンを手作りで提供。
コーラを飲みながら、ポップコーンを食べながら、
スクリーンで映画の楽しみ方会。

3人の突き抜け小僧たち、お見事だった。

わたしもぼんやり、満足して生きていたらいかんな、と。
学び直し、楽しみ増やしの人生を、と
背中を押されたような一日だった。