近江商人の「三方よし」とは
近江商人の「三方よし」って、
近江商人が行商人だったから。
そうだったのか……。
「三方よし」と「論語と算盤」
行商人ということはつまり、
店舗を持ってないから集客ができない、
移動しながらの個別販売という過酷な条件だったので、
「買い手」「売り手」「世間」のみっつがwin-winの関係にならなければいけない、
ということになった。
その精神を渋沢栄一たちが受け継いで、
「論語と算盤」を基礎にして近代日本経済の基礎を築いた。
その影響で、アメリカ企業の科学的管理法とは一線を画して、
日本企業は独自の家族的組織を育んできた。
パワハラのもとにも
買い手と売り手を世間にいい結果を与える一方、
働き手には「滅私奉公」を求めるようにもなった。
「三方よし」を、社員の「滅私奉公」で実現する。
その結果が、残業が当たり前になり、未消化の有給休暇がたまり、
パワーハラスメントが横行し、
「過労死」につながっていく。
『だから僕たちは、組織を変えていける』
を読んでて、なるほどそうなのかと。
師匠の田原総一朗さんが滋賀県の出身で、
「三方よし」はことあるごとに話題に出していた。
けど、それが行商スタイルからきていたとは……。
それだけじゃない10の教訓もあるけど
「三方よし」をネットで検索してみたら、
近江商人は「三方よし」のほかにも「商売十訓」があった。
①商売は世のため人のための奉仕にして、利益はその当然の報酬なり
②店の大小よりも場所の良否、場所の良否よりも品の如何
③売る前のお世辞より売ったあとの奉仕
④資金の少きを憂うなかれ、信用の足らざるを憂うべし
⑤無理に売るな、客の好むものも売るな、客のためになるものを売れ
⑥良きものを売るのは善なり、良き品を広告して多く売るのはさらに善なり
⑦紙一枚でも景品はお客を喜ばせる、つけてあげられるもののがいときは笑顔を景品にせよ
⑧正札を守れ、値引きはかえって気持ちを悪くする
⑨今日の損益を常に考えよ、今日の損益を明きからにしなければ寝につかぬ習慣にせよ
⑩商売には好況、不況はない、いずれにしても儲けねばならぬ
経営に関する10の教訓のうち、ひとつも働き手のことについて触れてない。
それはそれでよかった時代だったからなのか。
thanks to 『だから僕たちは、組織を変えていける』 斉藤徹 クロスメディア・パブリッシング 2021年