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これから災害を経験する人へ

昨日、防災の日にえらいものを観てしまった。
ドキュメンタリー映画を2本。
『灯り続けた街の明かり  みちのくの医師の信念』

『おもかげ復元師 〜続いていくいのちの側で〜』。

『灯り続けた街の明かり』は、岩手県宮古市の後藤医院。
2011年3月11日、街がすべての機能を失ったときに、
真っ暗で明かりをともし続けた。

院長後藤康文さんは、過去の震災から学び、
病院建屋をつくる際に震度7までの耐震設計、
20mの津波にも耐えうる4階建ての防災ビルにした。
重油タンク、給水タンクも備え、
屋上には数日発電可能な自家発電装置を備えた。
その装置の重さに耐えるだけの建物をつくるのに、
通常のコストにプラス億に近くかかったという。

発災当時、近隣住民200人を受け入れ、
翌日から透析患者に透析医療をほどこした。

『おもかげ復元師』は、震災のとき、遺体安置所をまわり、
300人以上の遺体をボランティアで復元した、
復元納棺師の笹原留似子さんをドキュメント。

復元のポイントは、顔の笑いジワを探すこと。
亡くなった方の一番いい笑顔をつくる。
笑顔にするのは、
「亡くなった人が家族のためにがんばっている」
からだと笹原さんはいう。

震災のときは、身元が判明して、
遺族から許可を得て復元する。
複雑で多様な遺族の気持ちに寄り添いながら、語りかけながら手を動かす。
「復元が終わって、ご遺族に受け入れられたときが一番辛い」
必ず名前を叫び、奇声を発し、号泣する。

遺体安置所における警察、消防、自衛隊、医師、宗教者、葬送業者、
さまざまな機関関係者の働き、心の様子も、
笹原さんの語りやインタビューを通して生々しく活写される。

気がついたらわたしは、
上映時間50分の間ずっと、歯を食いしばっていた。
それくらい、気持ちが張り詰め、思索し、目を潤ませていた。

上映後、舞台挨拶のときに笹原さんは、
この映画が伝え、表現したことを、

「これから災害を経験するみなさんに語ってください」

と語った。

この夏は、地震も台風も大雨も目の前に現れた。
これからもまだ、自分を含めて誰もがどこかで必ず、災害を経験するだろう。


『灯り続けた街の明かり』『おもかげ復元師』の上映は、
9/2月 あえりあ遠野 18:30~
9/3火 北上市文化交流センター 18:30~
9/4水 花巻市文化会館 14:30~
入場無料/各50分ほど/トイレ休憩あり