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議会で一般質問してきました

昨日、釜石市議会で「一般質問」をした。
さすがに緊張した。

先輩議員さんたち(釜石市議会だけじゃなく)からのアドバイスで、
「自分の得意分野でやったほうがいい」
ということだったので、教育のことについて質問した。

ほかの議員さんたちは2〜5分野にわたる質問をしていたが、
わたしは教育一択。
しかも、釜石にやってくる大学生たちについて。

釜石市はいろんな大学を提携を結んで、
大学生たちはそれなりにたくさん釜石にやってくる。
その情報がバラバラに散らばっていたので、
ここで整理整頓して、大学と大学生たちの集合知を有効活用しよう、
という提案をした。

今回は、実際に議場で読み上げた原稿を。

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村田信之です。

通告にしたがって、一般質問をいたします。

一人ひとりが学びあい、世界とつながり未来を創るまちかまいし

これは、第6次釜石市総合計画にある
10年後の まちのあるべき状態を表す 将来像
です。
わたしは釜石に移住してきて、「一人ひとりが学びあい」という、この言葉に出会ったとき、正直いってすごく感動しました。

それは、「一人ひとりが学びあう」ことの大切さが
自治体の総合計画のスローガンになっていることと、
そしてこの言葉は、市民参加型の「かまいし未来づくり委員会」で1年かけて話し合い、
その結果、考え出された言葉だったからです。

一人ひとりが学びあい、世界とつながり未来を創るまちかまいし

今日は、この言葉につながっていく質問をしたいと思います。

わたしは大学で20年間、教員をして参りました。
大学という高等教育機関は、
ただたんに学生たちに知識を授ける教育機関ではありません。
優れた研究者たちが、長い時間をかけて研究成果を積み上げてきた、
アカデミックな研究機関でもあります。

そうした大学と大学生たちがたくさん、釜石を訪れている。
その結果、釜石市と提携を結んだり、
あるいは提携を結ぶまでには至らなくても、
ゼミ合宿やサークルでの合宿などのスタディーツアー、
または釜石の会社にインターンシップをするために、
何度も釜石に来てくれています。

実際、わたしが釜石との関わりを持ったのは、
2011年の震災のとき、
わたしが担当している授業の学生たちといっしょに、
何度も釜石、大槌を訪れて、ボランティア活動をしてきたことに始まります。

関係人口、つながり人口の一人だったわたしは、
2020年、釜石に移住してきて、釜石市の市民となりました。

いろんな大学と提携して、たくさんの学生たちがやってくる。
これは、釜石の未来に対して明るい材料であると同時に、
ほかのまちと比べても優位にあるような、釜石独自の特徴であるといえます。

釜石に集まってくる大学と大学生の知性を整理整頓し、
すばらしい集合知として活用しましょう。

集合知を使って釜石らしいイノベーションを起こして、
それを基本にして、野田市長が主張なさっている
「オープンフィールド・カレッジ」
につなげていく。
そうすれば、観光の分野でいま伸び盛りの「オープンフィールド・ミュージアム」
これからつくりあげる「オープンフィールド・カレッジ」とで、
「一人ひとりが学びあい、世界とつながり未来をつくるまち」
釜石の新しい資産になっていきます。

まず、釜石市と提携を結んでいる大学について質問します。

震災前からいま現在まで、釜石市と何らかの提携を結んだ大学はいくつありますか。
その数と、大学の名前を教えて下さい。
そして、公式な提携を結ぶまでには至らなくても、
釜石を訪れて、
釜石で活動をしている大学の数を把握していたら教えて下さい。
できればその変遷が震災前と震災後、ラグビーワールドカップ、新型コロナの感染拡大期など、いくつかのフェーズによってわかるように、
大学の名前を提携年順にお願いします。

さらに、提携を結んだ大学との、提携の内容もご提示ください。
市役所での、大学との窓口になっている部署もお答えください。

すでに提携が終わった大学の成果についてもお尋ねします。
提携を結んだ大学が教育活動、研究活動をした結果、
どのような成果があったか。大学別にお示しください。

いま現在提携中の大学について、今後の予定を把握していたら教えて下さい。

岩手大学の釜石キャンパスについてもお尋ねします。
平成30年、2018年10月に第1期の学生を迎え入れ、
「釜石キャンパス」と呼ぶようになりました。
これまでの岩手大学釜石キャンパスの、学生数の変遷と、
釜石での研究活動や、釜石の高校生、中学生たちとの交流について
どういったものがありますでしょうか。

東京大学大気海洋研究所についても、お伺いします。
東京大学大気海洋研究所は、となりの大槌町の施設ではありますが、
実際に大学生や大学院生たちがそこで学んでいるのか、
あるいは研究者だけが研究活動をしているのか。
釜石市民への教育活動をしているとすれば、
それははどのような内容で、頻度はどのくらいでしょうか。

提携中の大学について、話を戻します。

釜石高校と釜石商工で行われている「釜石コンパス」というキャリア教育があります。
コンパスというのは「羅針盤」のことです。
釜石で働く人たち、あるいは外部からの講師をお招きして、
そうした先輩たちから「人生の羅針盤」を見つけていこう、
という教育プログラムです。
2015年から始まった釜石コンパスは、
開催回数54回、講師の数は864人、
受講した生徒たちはのべ6,640人になります。
この、「釜石コンパス」と、大学生たちとのかかわりはいかがでしょうか。

釜石高校には「夢団」という
災害伝承と防災啓発を中心とした、課外活動、学びのグループがあります。先日、神奈川で行われました「ぼうさいこくたい」にも参加しました。
自分たちで寄付金を集めて、旅費を調達して参加しています。
こうした高校生たちと、釜石にやってくる大学生たちとの交流は、
わたしたち釜石市民にとってとても重要なことだと思います。

また、釜石ではサッカー、バスケットボール、バレーボール、野球、テニス、ラグビーなどの球技だけではなく、剣道、柔道、空手などのスポーツ少年団があります。
こうしたスポーツ少年団との関わりはどうでしょうか。
市内の小学校、中学校へのアプローチ、などはいかがでしょうか。
また、高校生と大学生がいっしょになって、釜石の地域研究、地域貢献などはしていますでしょうか。

大学生たちの学習施設と宿泊施設についてもお尋ねします。
釜石市として、学生たちが使えるような学習施設をどこに、どれだけ用意していますか?
使用するとすれば、そのときの使用料金はいくらでしょうか。

また、宿泊施設についてはどうでしょうか。

釜石市と各大学との提携の目的、活動の内容、実績と成果、提携のメリットとデメリットなどを、
ここでしっかりと確認させてください。

「釜石には大学がない。だから、高校を卒業して進学をするとすれば、釜石をでていくしかない」
という声をときどき聞きます。
確かにそれは事実でしょう。

もし大学生が身近にいれば、大学生活がどんなものか、
大学での学習がどんなものかを想像することができ、
大学受験への意欲やモチベーションが上がっていくともいえるでしょう。

それは、高校生だけではなりません。中学生のときから、
あるいは小学生のときから、
大学という学びの場、大学生という学習者を身近に感じることができれば、
大学へ進学することに対する意識が高まっていき、
中学生、高校生の学力が上がり、
進学率と進学する大学のレベルが上がる、とも考えられます。

大学への進学率が上がるのであれば、
釜石をでていく若者が増えるだけだと思うかもしれません。
それは一面正しい。数字の上では、進学率が上がれば、流出数も上がります。

しかし、釜石の中学生、高校生の学力、釜石の教育力が上がるのであれば、高校進学のために盛岡や仙台にいかなくてもすむのではないでしょうか。
むしろ釜石で子育てをする魅力が増え、高校生の地域留学、
つまりほかの地域の高校生が釜石の高校へ地域留学するプロジェクトが立てられますし、移住につながったり、人口流出に歯止めがかかることも考えられます。

いま、市役所のいくつかの部署で縦割りで対応している各大学との関係を、
ひとつの部署に集めて、鉄道のターミナル駅のようなハブ機能をもたせれば、
どんな大学がどんな活動や研究を釜石で行っているのか、
どんなスケジュールで釜石に来てどんな日程で動くのかを把握できます。
そうした情報を釜石市の公式LINEで市民に公開したり、
高校や中学校や小学校への訪問を促したり、
ある大学の学生と、別の大学の学生との交流を釜石で行い、
大学生たちとインターン先企業との交流を盛んにし、
お互いに切磋琢磨し合いながら、釜石での思い出と人脈をつくっていく。

また、各大学はそれぞれ「オープンキャンパス」というイベントを開催して、
受験生を増やす努力をしています。
大学が中学生や高校生たちに対して、自分たちの魅力を紹介するイベントです。

これを釜石でも実施するのはいかがでしょうか。
釜石市と提携を結んでいるいろんな大学のオープンキャンパスを市民ホール、TETTOでやれば、
釜石の中学生、高校生、市民たちへの情報公開と、交流促進とがいっきに進むのではないか、ある意味、インターカレッジ、大学横断の学園祭のようになるのではないかと想像してわくわくしています。

大学生が街を歩いているだけで活気が出てきます。
今年の4月、千葉県にある流通経済大学が、大型バス3台に分乗して釜石に来て、2日間に渡ってイベントを開催しました。
釜石鵜住居復興スタジアムでは、ラグビー部が釜石市民との交流ゲームをやったり、TETTOではチアリーダーや吹奏楽部が演技演奏をしてくれました。
また、ちょうど千葉のキャンパスでは学園祭をやっていて、
千葉のキャンパスと釜石のTETTOをオンラインで結んでお互いに交流もできました。
また、障がい者アートの展示会もTETTOで実施しています。
釜石出身の小林覚さんの作品も、展示されていました。
NHKの交響楽団も同時に釜石に来て演奏したほか、
釜石の吹奏楽グループと大学生の吹奏楽部とのセッションをしました。

ちなみにこれら、すべて入場無料のイベントです。

このとき、たくさんの大学生たちが街なかを歩いていました。
若者たちが元気よく街を歩いているだけで、こちらも元気が出てくる気がしました。
昨日の答弁にもありましたが、彼ら彼女らが街を歩く姿は、数字では表せない効果があります。
流通経済大学はまた来年も同様に、大きなイベントを予定していただいてます。

わたしたち、釜石にとっていいことばかりではなく、
釜石へ来る大学生たちにとってもメリットになることはなにか考えられませんか。
たとえば、釜石へ来て地域研究、地域活動をすれば単位修得になるように大学側へプログラムを提示する。
あるいは、就職活動に有利なように地域留学、地域活動に関する認定制度をつくるなどです。
釜石での学習や体験を通して得られる「人間力」「生きる力」だけではなく、
具体的な証明や資格や学習実績になるようなものを与えられれば、
学生たちが釜石へ来る大きな理由になると思われます。
こうした制度をつくる用意はありますでしょうか。

このように、釜石市と各提携大学との「つながり」が土台となって、
「一人ひとりが学びあい、世界とつながり未来を創るまちかまいし」
を実現するような、オープンフィールドカレッジが出来上がるのではないかと考えています。

最後に、野田市長がおっしゃる「オープンフィールド・カレッジ」についてです。これは、どういった取り組みなのか。そして今後の展望についてお聞かせ願えればと思います。

以上で、壇上からの質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
時間がございましたら、自分の席から再び質問をさせていただきます。
よろしくお願い申し上げます。

【再質問】

時間がありますので、自分の席から再び質問をさせていただきます。

釜石市といろんな大学との提携、連携の内容が、
年代順に、個別具体的によくわかりました。ありがとうございました。

インターンシップやフィールドワークについて、追加で質問させてください。
宿泊施設についてです。

学生たちには市内のホテルや旅館を利用してもらい、
それに対して経済的な負担を軽くすることもある、ということでした。
どのくらいの支援をしていただけるのかは、ここでは問いませんが、
復興住宅などの空いている部屋を、安く使ってもらうことは考えられませんか?

昨日の答弁で、
復興住宅の入居率は93.1%ということでした。
ということは、6.9%は空き部屋だということです。

釜石市のホームページを見ると、
釜石市の復興住宅は集合住宅が755戸、戸建てが188戸あります。
県営の集合住宅は373戸。
合計1316戸です。
この6.9%は90戸です。

実際にはいろんな事情があって69戸だそうですが、
いずれにせよ復興住宅には、69戸の空き部屋があります。

学生たちにここを使わせると、滞在費がかからなくなります。
滞在費がかからなくなった分だけ、
釜石に来るハードル、あるいは長期滞在するハードルが低くくなります。
釜石に来る学生の数が増える、ということです。

また、滞在費が浮くと、飲食店で飲み食いしたり、
お土産ものや、洋服やアクセサリーなど、
市内のお店でお金を使うことが考えられます。
つまり、安く、長く、たくさんの学生が滞在することも、
市内経済の活性化につながります。

駅前のサンフィッシュやシープラザにいって、
お土産物に釜石のウニ、ホヤ、ホタテ、カキなど海産物を買って帰ってもらいましょう。

市内の学習スペースからちょっと離れたところに滞在してもらうと、
公共交通機関を使いますし、
公共交通機関を使えば、
釜石がどんなところか、釜石市民の生活の様子も皮膚感覚としてわかってもらえます。

また、インターンシップやフィールドワークは、
長く滞在してじっくりと腰を据えてやると、
学習効果が上がるのと同時に、
学生たちが釜石のことを好きになって、
所属の大学へ戻っていく可能性がとても高いです。

大学進学後に、釜石出身の大学生たちがどんなことをしているか、
大学在学中に釜石にインターンとして訪れた学生たちが、
どんな活動をしているかはご存知だと思います。

釜石や岩手を積極的にPRしている学生たちが一定数います。
たとえば、東京で毎年行われている「岩手わかすフェス」というイベントがあります。
このイベントは学生たちが主体となって企画と運営をしていますが、
この運営スタッフの中には、
釜石出身の大学生や若手の社会人たちだけではなく、
ほかの自治体の出身ではありますが、
釜石に来て、釜石の企業でインターンシップを経験した、
いわゆる「よそもの」の学生たちが、
岩手のため、釜石のために何人もかかわっています。

こうした学生たちや若手の社会人たちは、
みずからが「関係人口」「つながり人口」でありながら、
もっとたくさんの「関係人口」「つながり人口」を増やすきっかけをつくってくれているんです。

こうしたことから、東京や千葉、埼玉、神奈川など関東圏や、
大阪、京都、兵庫など関西の大学からの長期のインターンシップやフィールドワークは、
長い目で見れば釜石にとって必ずプラスになるはずです。
ですから、インターンシップやフィールドワークについて、
釜石市からの物的なバックアップをお考えいただきたいと思います。

ちなみに、大学生の夏休みは2ヶ月あります。
春休みも2ヶ月あります。
就活の早期化で、もくすでに3年生に内定が出始めています。
ということは、大学4年生は1年間まるまる社会勉強ができる、ということです。

いかがでしょうか。

<答弁>

ありがとうございました。

最後に、野田市長。オープンフィールド・カレッジ」についてのご説明、ありがとうございました。
これも具体的によくわかりましたが、
市長がなぜ、このオープンフィールド・カレッジ」を構想なさったのか。
市民が「一人ひとり学びあ」って、「住まう喜び」を感じられて、
その先に何があるのか。
市長の「オープンフィールド・カレッジ」への思いと、
描いている物語はどういったものでしょうか。
お聞かせ願いたいと思います。