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いまを生きる泳ぐホタテ

釜石にある「泳ぐホタテ」ヤマキイチ商店のタケイチさんは、
「去年と同じだ、とは一年たりとも思っていない」
という。

たとえば、海の様子は去年と同じではない。
環境変化によって、さんまも鮭もホタテも収量が違っていく。
だから、「量」ではなく「質」にこだわる。
養殖ホタテは、放っておいても育っていく。
放っておいても2年たてば出荷できる。
だけど、漁師が職人のように手間を掛けてホタテを育てる。
だから、質が高く、浜値では日本一高く、お客さんからの信頼度も高い。

そのお客さんに対しても、去年と同じだとは思っていない。
一人ひとり、丁寧に接していく。

2011年の震災のまでは、B to Bが70%、B to Cは30%ぐらいだった。
震災後は逆転して、B to Bが30%、B to Cは70%になった。

いまや、ECサイトの顧客数は6万人。
「すてきなお客さんに囲まれて仕事ができる幸せと感じてます」
ヤマキイチのホタテを買って食べたお客さんからの手紙が、
事務所のカベを埋め尽くす。

あの日、工場が津波に流されていく様子をいっしょに見ていた父親が、
「こんなことじゃへこたれない。
へこたれてなんかいられない」
といっていた声を、いまでもはっきりと覚えている。

「だから、10年前を振り返って嘆いているより、
現在を楽しむ、ってことに集中しています」

Thanks to ヤマキイチ商店 君ケ洞剛一さん