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古代マヤ文明はゾンビで滅んだ! 現代に蘇る米軍ウイルス兵器開発の陰謀/シャニアル・エマニュエル&宇佐和通

マヤ文明をはじめとする世界各地の遺跡で発見される奇妙な死体。悪魔を封印するかのごとく埋葬されたこれらの死体は、ある恐ろしい事実の存在を示していた!
そして、その悪夢を現代に甦らせようと進められる計画も囁かれている。
その全貌が、ここに暴かれるーー!

文=シャニアル・エマニュエル 翻訳=宇佐和通 写真=ZRS

ゾンビがマヤ文明を滅亡に追いやった!?

「ゾンビ・アポカリプス」という言葉をご存じだろうか?
 映画なら『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』、テレビドラマなら『ウォーキング・デッド』といった作品で描かれたテーマで、地球を覆いつくすほどのゾンビによって現代文明が滅ぼされてしまうというシナリオだ。

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映画『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』のポスター。ゾンビ映画の傑作とされる。

 こういう話は、映画やテレビ番組の中だけのはずだった。しかし今は、軍事や医療、科学といった各分野の専門家を巻きこみながら急速に高まりつつ、ひとつの認識を端的に示すキーワードになっている。

 つまり、ゾンビは実在するというのである。

 実際、有史以前から人間は、死せる者の復活と復讐を恐れていた。石器時代のシリア、ルネッサンス期のイタリア、ギリシア文明の遺跡からも、ゾンビ・アポカリプスを示唆するさまざまな遺物が見つかっている。

 中でも特筆すべきは、マヤ文明だろう。西暦250年から900年ころに最盛期を迎えたマヤ文明は、世界史上稀まれに見る人口密集型文明で、社会的動力に満ちていた。現在のメキシコからホンジュラス、グアテマラ全土に都市が点在し、ホンジュラス西部の都市コパンだけでも、約43平方キロの敷地に6000棟以上の建造物がひしめきあっていた。
 しかしこのメソアメリカ最大規模の文明は、突如として人口激減に見舞われる。そのペースは急激で、結果的にマヤそのものが姿を消すことになってしまった。このマヤ文明崩壊の謎は、考古学最大のミステリーのひとつとされている。

 大規模な人口減少も大きな謎だが、不思議なことはもうひとつある。マヤの都市から発掘される遺骸や遺骨に、共通する奇妙な特徴が見られるのだ。
 それは、数多く残された噛み傷と思われる痕跡である。あるいは関節部分に、無理やり引きちぎられたような痕跡も目立つ。こうした特徴のある遺骸が、あちこちの遺跡から掘りだされるのだ。しかも、墓所ではないところに多くの人骨が集められ、埋められていることが多い。

 一般的には、マヤ文明崩壊の原因は大干ばつだったといわれている。しかし、本当にそれだけなのだろうか。マヤほどの文明が、死者をその場でまとめて埋葬したとは考えにくい。おそらく、そうせざるを得ない「理由」があったはずなのだ。

 また、大規模な村がまるごとひとつ、数日で全滅してしまった証拠も見つかっている。干ばつで食糧の備蓄が徐々に減っていったのではない。しかもそこには、「共喰い」を連想させる凄惨な場面の証拠や、子供が親を食べたことを思わせる痕跡さえ見つけられるのだ。

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マヤ遺跡からは、通常ではない状態で埋葬された多数の遺体が発見されている。もしかするとそれは、ゾンビ病の死者を埋葬したものかもしれない。写真はマヤのパレンケ遺跡。

恐怖のゾンビ病が村中に蔓延?

 オルターナティブ・アーケオロジーという研究分野がある。主流派科学の枠組みから離れたところで大胆な仮説を展開していく「代替考古学論」だ。この論でよくいわれるのが、マヤ文明崩壊の理由は「ゾンビ病」の蔓延だったという仮説である。

 ゾンビ病――正確にいえば、ゾンビ・ウイルスということになるだろうか――の蔓延。主流派科学の中ではなかなか出にくい発想であることは間違いない。こうした可能性に特化して、マヤ文明崩壊の謎に迫ろうとする「ゾンビ・リサーチ・ソサイエティ(ZRS)」というグループがある。
 その中核メンバーであるユージーン・フレデリックは、次のように語っている。
「マヤ文明に関しては、ゴーストタウン化した都市がそのまま遺跡になったことを思わせるものが多い。しかもこうした都市は、ごく短期間のうちに、急激に滅びたと考えられる」
 フレデリックはまた、死体をその場に埋めざるを得なかった理由についても語っている。ウイルスに感染した人たちが、それ以上の悪影響を与えないようにするためだというのだ。
 ZRSによれば、ゾンビ・ウイルスは狂犬病に似た症状をもたらし、感染者が他の人たちを噛むことで拡散していく。こうしたウイルスの拡散過程は、まさに「共喰い」と表現できるかもしれない。
 しかし、マヤ人たちも惨状をただ見ているだけではなかった。感染者を殺害し、その場で埋めた。生き返っても動きが取れないようにするため、手足の関節を意図的に壊してからだ。

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人肉を食するアステカの絵画。もしかするとこれは、ゾンビによる人肉食を表しているのかもしれない。

考古学の分野からの裏づけ

 ゾンビ・ウイルスは、人口が密集する都市が多かったマヤ文明であっという間に蔓延し、文明に終焉をもたらした――確かに斬新な仮説だ。

 だが、ゾンビ・ウイルス説につながる可能性を研究をしている人は他にもいる。アメリカのアトランタにあるエモリー大学考古学部のリブ・ニルソン・スタッツ博士の専門は、埋葬考古学という耳慣れない分野だ。
 スタッツ博士は「ニュー・サイエンティスト」誌2012年8月号に掲載された、石器時代の変わった風習に関する特集記事に注目している。記事を書いたのは、バルセロナに本拠を置くスペイン国立調査委員会所属の考古学者、ファン・ホセ・イバニェス博士だ。イバニェス博士はシリアの石器時代の遺跡で発掘調査を行い、奇妙な状態の遺骸を大量に発見した。頭蓋骨が完全に粉砕され、胴体と切り離された遺骸である。しかも、埋葬後一定の時間が経過してから頭蓋骨を砕き、首と胴体を切り離した痕跡が認められる。

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首を金属で囲われた骨。それはまるで、死者が起きあがるの恐れ、必死で防いでいるかのように見える。

 そこでスタッツ博士は、次のような解釈を提示した。
「生ける者の世界に対する脅威は、生ける者たち自身が排除しなければならない。そのための手段として選ばれたのが、だれの目にも明らかな、一番わかりやすいアイデンティティーである顔を奪うことだったのだろう。頭を切り落とすことで、生者の世界と死者の世界の境界線を明確に示したのだ。頭を頭蓋骨ごと潰つぶし、境界線を越えられないようにした例もある」

 古代の墓地では、首が切り離されただけでなく、胴体部分が大きな岩で押さえつけられた状態で埋葬されている遺骸が発見されることも珍しくない。口の中に岩が入れられた頭蓋骨が見つかることもある。こうした儀式的行動の意味は何だったのか。

「ヒストリック・ミステリーズ・ドット・コム」というウェブサイトを運営管理するキンバリー・リンは、次のように語る。

「墓から甦る死者という概念は、何千年も前から存在しつづけている。世界中の文明にアンデッドに関する迷信や伝説が残っており、そういう概念が今日でも受け容れられていることには何の疑いもない」

『ザ・ゾンビ・サバイバル・ガイド』(2003年)、および『ザ・ゾンビ・サバイバル・ガイド:レコーデッド・アタックス』(2009年)の著者マックス・ブルックスは、考古学関連の専門誌のインタビューに対し、次のように語っている。
「ゾンビが実在した証拠を求める考古学者が捜すべきものは、頭をはねられた死体、あるいは脳みそが取り除かれた形跡がある頭蓋骨である。リビング・デッドを止めるには、このふたつしかないからだ」

 この仮説の信憑性を高める物証はあるのか?
 前述のスタッツ博士は次のようにいう。
「考古学的記録、特に新石器時代の中東地域に関するものには、亡くなった人を埋め、組織が腐敗した後に掘り返し、頭蓋骨だけ外したという事実が記されている。漆喰で塗り固め、その上に新しい顔が描かれることもあった。ゾンビ=リビング・デッドという概念は、未知ではあるが確実に――ある意味経験則的に――存在がわかっているものに対する恐れを表すものではなかっただろうか」

ゾンビ・ウイルスは実在するのか?

 マックス・ブルックスは、過去の地球において、63回にのぼるゾンビ病の蔓延が起きていたと主張する。
 一方、ZRSは過去におけるゾンビ病蔓延の疑いには触れているが、いずれも「確認にも否定にも至らない」レベルであるとしている。ウェブサイトに示された文章を見てみよう。

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