事故物件に住みたがるあなたへ グランジュルノルマン人生相談/赤魔導士Bijou
日本唯一のグランジュルノルマン解説を手掛ける赤魔導士Bijou氏が、あなたの悩みに答えます。人生の場面で出会う困りごと、何度もぶちあがる悩みごと……ひとりで考え込まずに、カードが示す物語からヒントを読み取っていきましょう。
今回のお悩みは「事故物件に住んでいるけど…」です。
―― その悩み、もうカードに答えが書いてあるよ?
グランジュルノルマンについての基礎知識はこちら
文=赤魔導士Bijou #グランジュルノルマン
Q:事故物件に住んでいて大丈夫でしょうか?
Q:事故物件に住んでいますが。(30歳・男性)
某芸人さんのマネをして、事故物件に住んでいます。
もともと霊とか信じてないのと、家賃や手数料がお得だし。
某サイトで調べると孤独死だから殺人や自殺でもないし。
一人暮らしだからまぁいいかな、なんて。
友達や彼女は最初は面白がってました。
でも一年以上も住んでると、「やっぱあんまり行きたくない」って言われるようになって。
なにも起こってないんですけど、そういわれるとなぁ……って考えてしまってます。
事故物件、住みつづけていいですか?
家賃が安いのはマジいいんですよ。
A:「ハートの4」が快適に住むヒントを示します。
メインイラストにはイルカ(怪魚)に乗って逃げるアフロディーテとエロス親子が描かれています。
これは以前2020年12月に『お金が貯められない』青年のお悩みに答えた回と同じ場面で、やはりテュポーンから大慌てで逃れナイル川を往く親子です。
神話解説の多くでは、アフロディーテとエロスが魚に変身し、お互いが離れぬようリボンで結んだものが魚座になったと語られています。グランジュルノルマンではイルカに乗って難を逃れたことになっていて、イルカを魚とし、魚座と結び付けました。
フランスはギリシア文化、ヘレニズムに大いに影響されているため、紀元前2世紀~1世紀頃制作された“イルカに乗ったアフロディーテ像”(タソス考古学博物館所蔵)をなぞらえたのでしょう。
イルカの尾にはじゃれてしがみつくエロスも彫られており、他に類を見ない像です。この像はエーゲ海に浮かぶタソス島のポセイドン聖域で発見されていて、広いポセイドン聖域の中にアフロディーテの祠があったとみられています。
元来エロスは原初の神の一柱であり、世界は全てエロス(愛)から始まったとされていました。しかし時代が下るにつれ、アフロディーテの養子と記され、後に軍神アレスとの子と変移してゆきます。
おそらくアフロディーテの美しさと奔放さの理由付けやキャラ設定に利用されたのかも知れません。
エロスはローマ神話ではクピド(キューピッド)に相当し、同じく矢を射て愛を目覚めさせる点でヒンドゥー神話のカーマを思わせます。そして絶世の美女プシュケーとの大恋愛は当時の人々を酔わせる恋物語だったことでしょう。
実はこのエロスとプシュケーの逸話はローマ神話が発祥なので、いつもとは反対でギリシア神話に逆輸入されたエピソードでした。
美の神アフロディーテをもしのぐ美しさだった人間の娘プシュケーがエロスと結ばれ神々の仲間入りをするまでの様々な苦難の試練は、クリアしたのち婚姻が許されるというシーンから、大国主命とスセリビメの逸話を彷彿とさせますね。
異変に慣れていることも良し悪し
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