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秘法・アメジスト魔術! 魔術師に愛された聖石で願いを叶える方法/ヘイズ中村

酒神ディオニュソスが流したワインの涙から生まれたというアメジストは、
モーセ一行がエジプトを脱出した時代から、神秘的な効果を持つ石として珍重されてきた。現在でも魔術師たちに愛され、霊能力の増強やヒーリングに用いられている。
そんなアメジストの力を借りて願望を実現するための手軽な方法を、魔女にして魔術師のヘイズ中村氏に指南していただく!

文=ヘイズ中村

生みの親は酒神ディオニュソス

 ライラックの花のように淡くはかない紫色から、年代物のワインを思わせる深紫色まで、多様な紫の輝きを見せてくれる水晶。それがアメジストだ。
 一時期のパワーストーン・ブームのせいか、最近では地球上の鉱物すべてに何らかの神秘的効力があると主張し、使用する人が増えてきた。そのような現象についての是非はともかく、アメジストは最も古くから神秘的な効能が知られていた鉱物のひとつであり、歴史的にもそうした力を示しつづけてきた、いわばパワーストーン界のチャンピオンといえるだろう。

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 アメジストの神秘は、その生成神話からはじまっている。生みの親は酒神ディオニュソスだ。ある日、ご機嫌斜めだったディオニユソスは、近くにやってきた人間を殺してしまおうと考え、数匹の虎(ピューマとの説も)をつくり、通りがかった人間に襲いかかるよう命じた。
 その後、彼が気分転換に外出しているときに通りかかったのが、アルテミス神殿に拝謁しようとしていた乙女アメジスト。アルテミスは、猛獣に襲われるアメジストを哀れに思い、水晶の柱へと変身させたのである。
 戻ってきてこのありさまを見たディオニュソスは、自分の罪を悟り、水晶の柱に変わった娘に後悔の涙――ワインそのものの涙を注いだ。その涙で紫色に染まった水晶が、以来、娘の名をとってアメジストと呼ばれるようになったのである。

 これだけなら、よくあるギリシア神話のひとつに思えるだろう。だがディオニュソスは、一般に知られているような「酔っ払いの神」ではない。古代ギリシアでは、太陽神アポロンが崇拝される前に多くの秘教信者を惹きつけたパワフルな神であり、その影響力はギリシア・ローマ時代から脈々と西洋魔術の世界に引き継がれてきたのだ。
 ワインは、それがもたらす酩酊が、神がかりを導く「お神酒(みき)」であり、それゆえにディオニュソスへの聖なる供物とされてきた。現代の魔術儀式でも祭壇にはワインが供えられるが、その起源はディオニュソス神までさかのぼるのである。

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アメジストの生みの親とされる酒神ディオニュソス。16世紀、カラヴァッジョ画。

アメジストを持っていると二日酔いしない!?

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