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野蒜(ノビル)を掘ろう!活用レシピなど

少し暖かくなってきたので、先日散歩に出かけた。春は木を見るのが楽しい。

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近所の桜がほぼ満開だった。ほかに、秋にクルミを実らせた木を発見していたので様子を見てみた。

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クルミの木をこの季節にまじまじと見るのは初めてだ。つくしのようなのは雄花らしい。この新芽も肉厚でタラの芽っぽくて美味しそうだ。調べたところ、食べれるらしい。

こうして木を眺めるだけでも楽しいのだが、ちょっと足元の草むらを見てみると、こんな植物が目に入ってくる。

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ちょっと黄味がかった、ひょろっとした草。「野蒜」(ノビル)だ。分かりづらいだろうか。もう少し他の草と区別しやすい画像はこちら。

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点々と生えているのがノビルだ。これらの根元の方をかき分けてみる。

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こんなふうに、根元のほうが白っぽくなっている。これでも雑草と区別がつかない場合は、葉っぱのほうをすこしむしって香りを嗅いでみる。ニラのような、ネギのような香りがあったらノビルだ。香りで認知して、一度ノビルの外見を覚えると、他の草との区別は容易になる。ついつい、草むらを見るとノビルを探してしまうようにもなってしまう。

ノビルを掘ってみよう

ノビルは掘りづらい。小石の間にでも細い根を張り巡らしている。この根がとてもしっかりしていて、無理やり引っこ抜こうとするとちぎれてしまう。球根残すため、丁寧に掘り起こさなければならない。だいたい、茎の周りから2~3cm離したところから10~15cmくらいの深さを掘って、てこの原理でぐいっと引き上げるように掘り起こす。それでもたまに数本は球根を切ってしまう。

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ノビルは群生していることが多いので、そうしたコロニーを攻めると一気にたくさん掘ることができる。

私は田舎者なので、田舎ではこんな風に道端の草を掘るのはなんともないが、東京はおっかねぇところだから、道端でこんなことをしていたら怒られるんじゃないか、と思っていたが案外そうでもない。おっかなびっくり掘っていると、年配の方からよく声をかけられる。

ついこの間もノビルを掘っていると、近くで工事をしている警備員の方が「お兄さん」と声をかけてきた。しまった、管理地だったかな?と思って恐る恐る振り向くと、「ノビル掘ってるんでしょ、ほら、あげるよ」と、自分で掘ったノビルを差し出してくれた。ノビルから生まれる人間関係。

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私にとってノビルは祖母の想い出だ。私が小学生の頃のある日、祖母が「ホレ食え」といって小さな白い球がついた根っこに味噌をつけたものを差し出してきた。よくわからないままかじって食べた。味をどう感じたかは覚えていないが、小学生にとって美味いものではないはずだ。うっすらと、いたずらっぽく笑う祖母の顔が思い出される。きっと「苦い!」とか言ったのではないだろうか。ちょっとした祖母のからかいだったのかもしれない。

そんな記憶もあり、ノビルの可食部分は球根部分だけだと思っていたが、葉も食べられるということを最近知った。立派なノビルになると、葉の部分で20~30cmくらいあったりもする。ちょっとしたアサツキくらいにはなる。よし、食べてみよう。

ノビレバ(ノビルと豚レバーの炒め物)

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改めて大人になってノビルを生でかじってみると、ニラのようなネギのような香りだ。ただし、ニラに感じる、じわっとしみて後にしつこく残るような臭みはなく、ツーンと鼻に抜けるような鮮烈な香りだ。この香りがレバーのような臭みのあるものの打ち消しとしてもいいのではないかと思い、豚レバーと共に炒めてみた。ニラレバならぬ、ノビレバだ。

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まずは、球根部分を油でいためる。香りを油に移したいからだ。葉の部分は、火の通りが早そうなので後にとっておく。球根を炒めると、香りはやや甘く、ネギっぽい感じだ。この香りを感じたら、油に香りが移っている。そこで、下ごしらえをした豚レバーを加えて炒める。

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レバーに火が通ったら、ノビルの葉を加えてごま油をたらし、全体をひとまぜして完成。

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これがとても美味かった。予想通り、豚レバーの臭みをノビルの鋭い香りがカバーして、落ち着いた味になっている。口に残る香りもすっきりしている。ニラとは違った楽しみ方ができる。

ただひとつ、気になったのは穂先の繊維質だ。要は穂先になればなるほど、噛み切りにくい。穂先の5~10cmくらいは使わないか、みじん切りにするといいだろう。

薬味としてのノビル

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ノビルは薬味としても使えると確信したので、みじん切りにして味噌汁に浮かべてみる。これもよかった。青ネギのような湿っぽい香りではなく、すっきりした香りなのでほかの具の邪魔にならない。芽ネギのような感じといったらわかるだろうか。画像の汁を飲み干したあと、おかわりをした。画像の倍くらいの量にしてみたところ、とてもよかった。

ノビルとフキノトウのチキンソテー

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洋風の料理にも使ってみた。ノビルの球根をオリーブオイルで炒めて香りを移し、そこに塩コショウした鶏モモ肉を加えて皮面から焼き付ける。皮がパリッとしたら裏返して火を通し、仕上げに、フキノトウとノビルの葉を加えて混ぜ合わせ、黒コショウを挽いて完成。鶏肉ともとても合う。肉のジューシーさをすっきりさせてくれるような感じ。フキノトウの苦み・香りとも相性がいい。

と、こんな感じでノビルはいろんな料理に活用でき、しかも無料ということで定期的に採取して、冷蔵庫に常備することにした。保存は、葉の方を切ってジップロックなどに入れて保存すると2週間くらいは余裕で持つ。

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ちなみに、ノビルにあまりに感動したのでもっとでかい球根のものが欲しくなり、自家栽培も試みてみた。野のものではないので、これは野ビルではない。ビルだ。友人が来た際に見せびらかし、「これで俺もビルオーナーだ」とうそぶいてやった。群生して球根の小さなノビルをこうして育てることででっかい球根になることを狙ったのだが、およそ3週間たった現在、まったく育たず、ふにゃふにゃのへろへろになっている。ビル経営は難しい…。

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ということで、ノビルは外のものを摘んでくるに限る。摘む際は、誰かの管理地でない河原などの迷惑にならない場所で摘むなど、気をつけよう(自戒の意味も込めて)。


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