『鎌倉殿の13人』第24回「変わらぬ人」(2022年6月19日放送 NHK BSP 18:00-18:45 総合20:00-20:45)

曽我事件の際に鎌倉殿の代わりになろうとしたことで謀反の疑いありと咎められた蒲殿[範頼](迫田孝也)が失脚。頼朝(大泉洋)に差し出した起請文に源姓を用いたことが、大江広元(栗原英雄)に突かれた。もちろん、最初から助けるつもりはなかったがゆえのことだが、さすが優秀な文官である(皮肉ではない。文書行政を司るにはこのくらいのことはむしろ当然)。しかし、範頼のバックにいた三善康信(小林隆)が気がつけなかったのだろうか、そこが疑問である(蒲殿は康信に見せていなかった?)。

範頼は、安達盛長(野添義弘)の口利き(盛長の妻が比企尼の長女)によって鎌倉にやって来た比企尼(草笛光子)の嘆願により死一等を減じられ、修善寺に幽閉された。修善寺まで護送した時政(坂東彌十郎)は「必ず帰って来てください」と範頼に言うのであったが、もはや表舞台に立つことを諦めた範頼。実際、この謀反疑惑で範頼派は一斉に粛清、頼朝挙兵の際には真っ先に駆け付けた老臣・岡崎義実(たかお鷹)も出家させられた。

誰が誰の烏帽子親だとか、乳母父だとか、姻戚関係にあるとかないとかが、この時代の政治を動かす。今回は頼朝の長女・大姫(南沙良)入内の話がメイン。二度目の上洛で大姫入内の話を進めようとする頼朝であったが、丹後局(鈴木京香)はここぞとばかりに意地悪をする。みやこびとのプライドを守ろうと必死である。その丹後局と政子(小池栄子)との対決シーンは良かった。また今回初登場の中納言土御門通親(源通親、関智一)も朝廷の権力闘争を勝ち抜いてきた男。「頼朝など放っておけ」と言い放つ一方でしっかりと砂金の贈り物は受け取っていた。今後、九条兼実(田中直樹)との駆け引きが見物である。

政治とはあまり関係のないところでほのぼのと進んでいるように見える金剛(坂口健太郎)とはつの話や義時(小栗旬)と比奈(堀田真由)の話もやがて生臭い話に巻き込まれていくかと思うと切ない。さらに和田義盛(横田栄司)と巴御前(秋元才加)が一緒に住むようになっていたのには本当にびっくり。確かに和田は巴を気に入ってたという描写はあったが……。その巴のところに話をしにくる大姫。巴は大姫に「人は変わるのです」という。しかし、変わろうとして変われない人、変わらない人もいる。

結局、大姫の入内は自ら選んだとしか言いようのない死によって実現しなかったが、頼朝もまだ諦めたわけではない。三幡(頼家の妹、実朝の姉)を使って朝廷工作を継続するよう義時に命じる。自らの死が近いことを悟り焦る頼朝は、大姫の死を源氏に対する呪詛とみて範頼を暗殺。これで頼朝の兄弟は阿野全成(新納慎也)を残すのみとなった。

その全成。今回は怪しげな降霊術を使って冠者殿(源義高)を呼び出そうとしていたが、大姫は紫式部を呼び出して欲しいという。早くも2024年大河ドラマ「光る君へ」の宣伝? また大姫がブラフをかけるのはTBS日曜劇場「マイファミリー」のパクリ? など下らない感想を蛇足ながら。

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