Bankers Lamp
私が大学生の時から15年以上も集め続けているものをご紹介いたします。
1900年代初頭にアメリカやヨーロッパにて銀行や図書館等で用いられていたAntique Lampの" Bankers Lamp "。現在でも当時のものを模してつくられているようだが、Antiqueならではの美しい佇まいに長年魅了されてきた。
私を惹きつける理由として、
1つ目は、緻密につくりこまれた意匠性。
2つ目に、人の心理学を基につくられた機能性。
【 緻密につくりこまれた意匠性 】
現代ではつくることが困難な、当時の技術でつくられたものには、強く感銘を受ける。ガラスシェードの色や形状、金属のベースや留め具のデザイン等、つくりこまれた意匠には、百数十年以上も前のものにも関わらず、” 美しさ “や” 上品さ “を感じる。創られた年代によってもデザインは様々でシェードの色や形状、ベースのデザイン等が変化するのも魅力である。当時の緑色のガラスシェードや金属の様々なパーツなどは現代では創ることが困難である為、当時の技術の素晴らしさを改めて感じる。特に古い年代のものには、緻密につくりこまれたディテールが多くみられ、醸し出す雰囲気も凄まじいものがある。
【 人の心理学を基につくられた機能性 】
当時の技術で作られた美しい緑色のガラスシェードは人の目に優しく、心理的にも安らぎを与える。照明が灯っていない時も、深い緑色をしていて美しいが、照明の灯りにより透過した緑色のガラスシェードは光を捉えて美しい緑色に輝き出す。緑色は、暖色である赤色系と寒色である青色系の中間の色。” 落ち着き “や” 安らぎ “を感じる色とされている。また、緑色は明るい場所と暗い場所の両方で” 視認しやすい色 “でもある。
当時、銀行で事務作業を行ったり、図書館で本を読んだりと集中する際のデスク脇の相棒として、古くから多くの人々に親しまれてきた。
Bankers Lampのように、意匠性と機能性と兼ね備えた美しいデザインは普遍的である。
私は建築家である為、意匠性と共に機能性も同時に考える。
意匠だけでは、人が日々生活を送る建築においては、必ず破綻をきたす。
やはり機能性を伴った意匠は、建築においては、特に大切であると日々感じるところである。
建築家として、このような古き良き美しいものを改めて見つめ直し、現代、そしてこれからの未来の建築に残していきたいものだ。