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カンニング後に「ひきょう者」とされ高2生徒が自殺

朝日新聞デジタルより
カンニング後に「ひきょう者」と指導され高2自殺 両親が学校を提訴 [大阪府]:朝日新聞デジタル (asahi.com)
 訴状によると、男子生徒は2年生だった2021年12月、期末試験でカンニングをして試験監督に見つかった。別室で事情を聴かれた際、教師からカンニングはひきょう者がやることだと叱責(しっせき)された上、「全科目0点」「自宅謹慎8日」「写経80巻」「反省文作成」などの処分を受けた。生徒は2日後、自宅近くで死亡しているのが見つかった。
<引用終了>

2つの問題、考え方の違いがあります。
1,ハームリダクションは、「ハーム(被害)」を「リダクションする(減らす)」こと
2,私的制裁(リンチ)の違法性とパターナリズム

通常使わない言葉ですのでできる限りやさしくお伝えします。

1,のハームリダクションについて
もちろんカンニングは正しくない行為です。それでも自殺に追いつめるような「厳罰」が必要かというと私は違うと思います。

学校側が「厳罰」を与える目的は、反省し「二度としない」と改めさせることです。しかしながらこの高校生は改めることなく死んでいったのです。本末転倒とはこのことです。なぜならば、本人がなぜカンニングをしたのか、なぜ自殺をしなくてはならなかったのか、誰も分からなくなってしまったからです。

両親が提訴したことにより、上記「なぜ」は、遺書もないようですので解明できるのか分かりませんが、いずれにしても自殺した生徒は戻ってきません。両親にとっても本人にとっても最大の「被害Harm」となってしまったことに違いはありません、

学校側は本人とご家族が、以後も安心して生活できるような配慮をしなくてはならないのに、最大の「被害」を与えてしまいました。そうならないようにするのがハームリダクションの考え方です。

このハームリダクションについては以下のnoteで丁寧に説明されています。

「『ダメ、絶対』だけでは絶対ダメ」|奥田知志 (note.com)

2,私的制裁とパターナリズム
私的制裁とは、法律に則らず制裁を加えること、つまり私的に刑罰を科すことでありリンチ、私刑とも呼ばれています。

かなり前に「月に替わっておしおきよ」という言葉がキャッチフレーズになっていたテレビアニメ番組がありましたが、法治国家では相手を「やっつける」おしおきはあってはいけません。相手に罪になることを気づかせるための軽微な「ペナルティ」を与えることは否定できないと思いますが。

最後にパターナリズムについて。
パターナリズム - Wikipedia
「弱い立場にある者の意志に反して、弱い立場の者の利益になるという理由から、本人の意志は問わずに介入・干渉・支援すること」

この事件の場合、学校側はカンニングをした生徒の「今後のため」という理由で指導したと思いますが、そこには「指導内容には従うべきで弁明など許さない」という強者の論理があったのでしょう。日本古来の「家父長制」による考え方があったと容易に想像できます。

家父長制(かふちょうせい)とは? 意味や使い方 - コトバンク (kotobank.jp)
①    父系の家族制度で、家長が家族全員に対し支配権をもつ家族形態。

難しい言葉を並べましたが、私が主張したいことは一つ、「指導者は弱者である指導される人に思いやりを」といことです。

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