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【12日目】朝食を作れなかったお母さんと、子供の「怒り」の正体

◆【役割の押しつけ】と習慣のメカニズム

 今回のテーマは

【役割の押しつけ】

です。これは恋の気持ちが冷めたあとのカップルが、その後どうなるのか? の重要な鍵を握る概念です。

 ではまず、この【役割の押しつけ】とはどういうものか? という話からしますね。

そのためには、僕たちに感情が起こるメカニズム

・カラダ(見たもの、聞いた音など)
  ↓
・アタマ(それが何なのか?という「無意識」の判断)
  ↓
・ココロ(感情)

をもう一度思い出してください。『役割の押しつけ』が行われるのは、2つめの「アタマ」の中です。この「無意識の判断」のことを『習慣』と言うんでしたね。

 僕達は普段、この『習慣』に身を任せて生きています。アタマが楽だからです。

 たとえば毎朝起きたあと、毎日毎回
「これは服だ、体に身につけるのか。どうやって腕を通すのかな?」
とか
「この人は私を産んだ女性だ、お母さんと言うらしい。敵か味方か?」
とか考えながら暮らす……なんてムリですよね?
 だから『昨日までと同じことが今日も起こるハズ』という考え方、つまり『習慣』があるのです。便利です。

 問題は、生きている期間が長いほど、この『習慣』で人生が成立してしまって、いちいち考える機会が減っていくことです。

 こういうことにも、いわゆる「良い習慣」がたくさんあればいいんですが、そうでない「悪習」も積み重なってしまうものです。

 その悪習一つが【役割の押しつけ】なんです。

◆お母さん『役』の女性と、その子供の「怒り」

 では【役割の押しつけ】を具体的に見てみましょう。

 さっき出た「お母さん」を例に出しましょう。朝起きたら、お母さんが朝ご飯を用意してくれている、というご家庭は多いと思います。

 平日のある日、お母さんが朝ご飯を用意してくれませんでした。お子さんは
「今から学校なのに!朝ごはん抜きはツライ!!お母さんのバカっ!!もう知らない!!」
なんて言い残して学校に行ってしまいました。こんなシチュエーションです。

 子供は怒っています。朝食で得られる「はず」のモトが入ってこなかったから(食事は空腹感を満たすのでココロではモトが増えます)、モトを減らしたときの感情「怒り」が出ているわけです。このとき、先程のメカニズムで見ると、アタマの中に

「お母さんには朝ご飯を用意する「役割」がある」

という「無意識の信念」=『習慣』があるのだ、という話なんです。

 この構図、よく見てほしいのですが、怒ってるのは「子供」です。なぜ怒るのかというと、アタマの中に先程の

『習慣』

ができているからです。

 この『習慣』がもし違うもの、例えば
「お母さんといえど一人の人間なんだから、調子が悪かったり忙しかったりもするだろうし、ミスで忘れることもあるだろう」
といった柔軟なものだったら、たぶんこの子供は怒ってない(むしろ「お母さん大丈夫?」と心配になる)でしょう……ずいぶん大人びてますが。

 【役割の押しつけ】とは、こういうものです。相手を

「お母さん『役』の人」

と(無意識に)認識することで、その「役」を『やらせようとしてしまう』んです。そしてその『役』をやってくれないと「自分に」不満が出る、という寸法です。

◆役割を「押しつけている」のは誰か

 よく見ていただきたいのですが、この【役割の押しつけ】は実はすべて

押しつけている人の『アタマの中』だけで起こっていること

なんです。

 外界がどうあるか? お母さんがなぜ朝食を作らなかったのか? とは全く関係ない所で起こっている「メカニズム」なんです。だから

「子供を怒らせたお母さんが悪い」とかいう話ではない

んです。子供が『自分で勝手に怒っている』んです。

 実はね、これと同じことを、僕たちは

恋人『役』の人

にやらせようとしてしまうんです……!!

 恋の気持ちは、恋愛スイッチに支配されているんでしたね。このスイッチがOFFになると、その先はただの『人間関係』に変わるんでした。その時、この『役割の押しつけ』を無意識に「やり合いこ」してしまうことで、お互いへの不満や怒りが溜まっていくんです。

 次回は例を交えて、恋愛における【役割の押しつけ】をくわしくお話しましょう。

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「ニンゲンのトリセツ」著者、リリジャス・クリエイター。京都でちまちま生きているぶよんぶよんのオジサンです。新作の原稿を転載中、長編小説連載中。みんなの投げ銭まってるぜ!(笑)