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実録!腰痛ライフ①

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<タイミングはいろいろ>

 腰痛はいろんなタイミングでやって来る。少なくとも私はそう思っている。

 ズキズキとまではいかず、漫然と腰全体が重いような、ずーんと体内でなにかが発生しているような、そういうときがある。買いたいものが見つからず歩き回ったあとだとか、出演バンドの多いライブに行って立ちっぱなしの時間が長かったときだとか、ちょっと疲れたようなとき、「ああ、腰が痛いな」と思う。

 そういうときは、早めに寝たり、ちょこっとストレッチをしたり、身体の負担を取ってあげると、だいぶラクになったりする。

 ラクにならず、心配を引きずることもある。これ、やばいのが来ちゃうんじゃないの、いつ来るか、いつか来ちゃったらどうしよう、そう思って腰をかばいつつ生活する。よく聞く「ヒヤリ、ハット」な瞬間が来ないように、恐る恐る暮らす。それが功を奏してセーフってこともあれば、案の定、来ちゃったかってときも。

 来ちゃったかっていう痛みは、グキっ、ビリっ、ピリピリピリっと、「今、やっちゃいましたね、腰」っていうのがわかる痛みのこと。たぶん、いや、ほぼ、これがぎっくり腰。

 2、3日は寝ても痛い、座っていても立っていても痛い。いやいやそれ以前に起きあがれない。トイレに歩くのもままならない状況に陥る。

 最近は飲み薬の痛み止めが市販されていて、それを飲んでなんとかやり過ごす人も多いらしい。少しずつ、ゆっくり歩いたり、のっそり動いたりして、徐々に回復、そんな時を過ごさなければならない。

 どうにも腰がモゾモゾするというか、腰が腰に収まっていないような、どこか居心地が悪いような、そんなときもある。ストレッチをすればすぐに治ることもあるけれど、若干の違和感が残って、恐る恐る、痛くならないようにビクビクして暮らすこともある。


 これまで何年かに一回、ひどい腰痛に悩まされたけれど、今回はなんと、ビリッと来たものがやっとよくなって来た一か月後、またじわじわとイヤな感じがやって来て、絶望的な気持ちになった。

 最初は、といっても今回の最初だけれど、必要に迫られて片付けや掃除に注力している時期だった。ふと屈んだ瞬間にビリッと痛みが腰から背中を走った。

「ああ、やっちゃった」

 そう思った。

 少し静止し頃合いを見計らって、そろりそろりと動いてみると、意外なことに痛みはない。ギリギリセーフかと胸を撫で下ろすと、翌日、イヤなことに段々と痛みは増し、昼過ぎには、これはもう歩けなくなるかもという、動く度にピクンピクンと腰が抜けたような感じがするようになった。大急ぎで、とはいえかなりスローにしか動けない状態で帰宅し、横になった。

 寝ているのもまた痛い。横になった直後のビリビリや、寝返り、起き上がろうとするとき、これらはぜったい痛いのだけれど、ただ横になっていてもジワジワと痛みは続く。頭を締め付けられるような頭痛に似ている。それが腰で起こっているような感じ。仰向けには耐えられず、比較的ラクだと言われる横向きになっていても痛くって参った。

 結局のところ、じっと立っているのが一番ラクなので、もう立って寝たいと思う日々を三日、過ごした。

 痛みがなくなったわけではないけれど、動けるくらいにまで多少軽減したら、そのあとはなるべくふつうの行動をして身体を慣らしていく。

 なるべくゆっくり身体を動かす。
(ゆっくりでなければ動けないのだけれど)

 一度にいくつものことをやろうとしない。お皿を片手ですすぎながら、もう一方の手で水切りカゴを引き寄せるなんてもってのほか。洗い物が案外、腰にはつらいので、しないで済むならしないのが一番いい。

 外出時の荷物は極限まで減らす。お財布から硬貨をぜんぶ出してしまうくらい。軽ければ軽いほどよい。

 重いものにはうっかりでも持ってしまわないよう、近づかない。

 おなじ姿勢を続けない。立ったり座ったり、のっそり歩いたり。じっと寝ていても痛いから、定期的にがんばって寝返りをうつよう意識する。

 こまごまできることをやりはするのだけれど、気持ちと頭は元気だから、悔しいし情けない。痛みもツラいのだけれど、精神的にも参ってくる。努力して、いっぱい凹んで、やっとふつうに動けるようになる。

 ところは今回はそういう場面で、本当にイヤなんだけど、再び痛みがやって来てしまった。

「また? もうイヤ!」

 泣きたくなった。

 カレンダーを見れば、最初のビリッとからまだ一ヶ月しか経っていなかった。



②へとつづく
(次回からは全文有料です)

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