終のステラ_感想

TLに「終のステラ良かった」って感想がちょくちょく流れてきてたのでプレイ。ちょっと遅かったけどギリギリ豪華限定版を確保できた。最後の特典小説のアフターストーリーまで含めて、とても良かったと思う。アフターストーリーとエピローグを見た後だと、これが「何か長い作品の前日譚」だと言われても納得できるような、色々と想像の余地がある物語だった。
……なんで続きがないんですか?





以下ネタバレ注意




まずはグラフィック面について。低価格帯とは思えないほどグラフィックが充実していた。物語の世界をよく表しており、雰囲気も非常に良かった。フィリア可愛い。

登場人物もそれぞれキャラが立っていた。フィリアだけでなくジュードも旅を通じて成長するし、過去の後悔の代償としてではなく純粋にフィリアを娘として見るようになっていく姿は、むしろこっちがヒロインなんじゃないかとさえ思った。初めはあんなに仕事人といった雰囲気だったのが、最後はここまで柔らかくなるとは。肩の荷の重さが尋常でなかったことが窺える。
いかにも裏切りそうなウィレムも最後まで裏切ることはなく、人類のために働き続けたのはすごい。最終的に利害が競合することさえなければ人類の英雄だったのだろうかと思った一方で、人間になったフィリアでは人工衛星で独り永久に過ごすのに耐えられなかった気もする。
デリラは、あの短い出番でよくあれだけの役目を果たしたものだと思う。幸福な二人旅から地獄の奴隷生活に堕ちたのかと思いきや、幸福な二人旅の方がなんならひどい扱いだった可能性が浮上してくるとは思わないって。あの場面でウィレムが嘘をつく可能性も考えたが、そんなことをする理由がなさそうだし。フィリアが(相対的に)どれほど恵まれた境遇だったのかがわかってしまう。
フィリアは、人を救いたがる中盤がかなりイラッとしたが、それにより手痛い報いを受け成長の糧としていたり、「初期設定としてそういうもの」とい割り切れたりしたので終盤になる頃には気にならなくなっていた。島に着いて、よりによってジュードに銃を向けるあたりまでくると、この流れはむしろ「人間になったかどうかのリトマス紙」として昇華されていた。ヘイトコントロールが上手い。
読み進めながら、初めはなんだかんだアンドロイドだと思っていたのに、ジュード同様フィリアのことを一人の人間として見るようになっていた。段階の踏み方が丁寧で違和感がない。

ストーリー全体としては、ポストアポカリプスな王道SFという感じだった。仕事人とアンドロイドが旅を通じて父と娘になっていく様には感動したし、エピローグとアフターストーリーを見るに、ジュードの出した結論は間違いではなかったのだろうと希望が持てるハッピーエンドなのも良い。こうやって長い時間を人類はきっと生き続けていくのだろう。アフターストーリー自体はフィリアの精神面がかなり心配になるような話だったが、それでも本編エピローグを見る限り最後には楽しくやっているようなので良かった。


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