夏ノ終熄_感想

かずきふみ氏によるシナリオとのことで気になりプレイ。この人の書いたシナリオって時点である程度の覚悟はしてたけど、やっぱり重たい。それでも面白くてするする読めてしまった。ストーリーが面白いだけでなく、分岐も意外としっかりあるので低価格帯の割に長かったように思うし満足。

物語の背景に「世界的な伝染病」があって、こんなご時世だからコロナを思い浮かべていたわけだが、実態はかなりバイオハザード寄りのハードモード。終末世界と言う謳い文句に何の誇張もなくてびっくりしてしまった。
また、最初から最後まで物語の登場人物が主人公とヒロインの二人きりなので、終末でありながらも都会のパニックとは隔絶した、平和に閉じた世界で進行していく不思議な雰囲気がクセになる。登場人物が少ないと会話を転がすのも大変になりそうなものだが、軽妙な掛け合いが心地良かった。

まとめると、夏の終わりのこの時期に読むのにぴったりの面白い物語だった。雰囲気も非常に良いので夏を思い返して感傷に浸りたい時とかに良さそう。



以下ネタバレ注意。







ストーリー進行では、ハッピーエンドも当然良かったのだが、個人的には病を克服できなかったバッドエンドが一番好き。もうダメだと最期に選んだのが二人が結ばれた場所というのがすでにツボだし、しかも残された側もそのまま思い出の場所で後を追うのが良い。不穏な空気を纏いながらも得た束の間の幸せから突き落とされての末路がこれなんだからたまらない。書いた人には人の心とか無さそう。

CGでは、ハッピーエンドでパッケージ絵のシーンがプロポーズ直後の光景とわかるのが好き。人々が思い描く「平穏な田舎」をバックに二人が幸せに将来を誓い合うなんて良いに決まってる。

ハッピーエンドの最後のCGも好き。猫の有無で差分があるのが既に面白いのに、シーン中の中or外選択で妊娠差分あるのに最初は気づかなかった。
動画撮影によって幸せの継続がわかるだけでなく、妊娠や猫の存在で生活の改善が想像できるのも良い。せっかくのハッピーエンドなんだから、とびっきりの希望と幸せに溢れててほしいもんね。


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