ジュエリーハーツアカデミア_感想

アメグレやさくレットの冬茜トム作品ということでプレイ。これら二つを想像してプレイしたら全然違ったのでびっくりしてしまった。ノベルゲームだと思っていたらJRPGだった感じ。中盤までは最高。終盤はちょっとダレた。

以下ネタバレ含


















まず、物語全体について。一番期待している要素だった、「先入観を利用したどんでん返し」は満点だった。吸血鬼が存在する上でχでの「眷属」云々という表現から、吸血鬼に吸われたら吸血鬼になったりするよね、とか考えていたらまさかの真逆。主人公がまともな人間であることこそが前提を突き崩してくるとは思いもしなかった。確かに「潜入失敗したエージェントは骨と皮だけになった」だとか「学園は万魔殿」だとか言われてはいたけど、文字通り(狼男と)吸血鬼ばかりなのは気づかんて。
このネタバラシまではメデューサに対して絶対的悪のイメージを持っていたが、吸血シーンを見せられると生理的嫌悪感や恐怖といったものが誘起させられ、メデューサの行動原理まで一気に共感できるようになったのは素晴らしかった。この点はさすがと言える。

しかし、恋愛描写が異常に少ない。エンディングのありようを考えればラストを分岐させづらいのはわかる。人が次々死んでいく中だと恋愛を挟みづらいし、そのために恋愛要素を「エピソード」として分離したかったのもわかる。だとしてもこれは削りすぎだと思う。ヒロインが4人いて主人公とのデート描写があるのが1人ってどうなんだ。後日談的な描写もないし恋愛要素が添え物すぎる。

そして、恋愛描写を本編からとことん削った影響で、シナリオの本筋がJRPG的。単にJRPGのゲーム部分を削ってシナリオ部分だけを抜き出した感じになってしまい、ノベルゲームであるという形式の意味をあまり感じなかった。どうせなら分岐バッドエンドとか見たかった気もする。
また、戦闘シーンが多すぎ・長すぎでマンネリ化する。ライターの得手不得手もあるのだろうがノベルゲームという形式と激しい戦闘の連続はあまり食い合わせが良くなさそうで、普通のRPGみたいに戦闘がプレイヤー操作ならまた違った感想になると思う。戦闘パターンも「窮地に陥ったら援軍or新たな力」の連続で終盤はもう食傷気味。ただ、ギメル戦終盤は例外的に好き。重すぎる剣がまんまギメルの愛の重さなの最高すぎるだろ。

あと、神にまでなったんならもう一片の曇りもないようなご都合ハッピーエンドを用意しても良かったんじゃないかと個人的には思う。シャーロット先生&レイ先生とかノア&ヴェオとか幸せになってほしいので。

そんで明らかに回収してない(「回収できてない」でなはい)伏線があるのほんま……。FDか何か出るのかな?早く回収してくれ。

(何故か誤字がやけに目立ったのでそこもなんとかしてほしかったり。)

次に、キャラクターについて。キャラクターは全体的にかなり良かったと思う。立ち絵すらないモブでもチートルくんとか色んな意味で可哀想で好き。それだけに日常描写が序盤のみだったり恋愛描写が薄かったりするのが惜しい。もっとレースみたいなのやっててくれ。
推しはルビイ。主人公の幼馴染・生き別れ・生意気系・敵幹部って属性モリモリなのいいよね。途中まで「ここまでヒト殺しといて√入れることあるか……?」って思ったけど、生物としてどうしようもないと納得させてきたのは落とし所としてとても巧かった。ラストの卒業写真、意図はわかるしそこに入れないのもわかるけどハブなのは可哀想なのでなんとかしてほしかった。

序盤~中盤で恐怖の対象としてすら描かれていたアリアンナの「希望」の強さががちゃんと500年の因縁だったのは面白かった。明るい子が歪みの結果なのは性癖。

総評

期待のハードルが高すぎたのもあるが、色々と惜しいので、加点方式で見るか減点方式で見るかで全然違う点数になりそう。続きがありそうな雰囲気なのでひとまずそれ待ち。


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