はつゆきさくら_感想

知人がやっており勧められたのでやってみた。もしも「(どんな形であれ)心に残る」ことこそが「名作」たる条件なのだとしたら、これは間違いなく名作だ。モヤモヤが止まらない。ヒロインと初雪のイチャラブはいい感じでもほぼほぼ離別ENDだし。過去を変えられない以上これが最善なのだということを理解はできても納得はできないというか。物語の真相がなかなか明言されないので1回目と2回目のプレイでは全く違うものが見えてきそうだと思った。ビターエンド好きならハマる。

※2周目後追記
1周目では初雪の意志というものがどこにあるのかを読み取るのが難しかったが、2周目ともなるとわかるようになっていた。特に終盤の流れは一周目で理解しようとしても歪んだものにしか見えないが、ちゃんと全てを理解した上でそこに至るまでの流れを踏まえると、何がどうしてそうなったのかを必然のこととして認識することができ、ストンと納得がいく感じだった。ちゃんと理解するとこれが良い物語だったと胸を張って言える。

隠しきれない正妻感

ヒロインの一人である綾がどう見ても正妻。個別√が過去回想に終始する(物語開始時点で初雪と綾の物語は既に終わっている)ため、初雪が本編でどの√に進もうとも綾は「元カノ」として存在している。つまり当然のように初雪の初体験の相手は必ず綾である。また、グランド√では桜と結ばれ離別した後に綾に心変わりする選択肢が用意されている(綾に乗り換えた後は死んでしまうが)。初雪と過ごしていた記憶を喪っても再び初雪に惹かれていたり最期まで初雪と共にある事を唯一願っている事もつよい。

他のヒロインもちゃんと可愛くてヒロインしていたが、やはり一番印象深いのは綾だった。以下各ヒロインについて。

一途で純心で可愛いけど正体がおつらい感じ。最後ちゃんと写真に写り込めてたしなんだかんだうまくいくと信じたい。というかせめてそれくらい報われてほしい。切実に。

貴重な常識人枠。物語の季節は冬なのに屋外でヤッてるのやばい。最後は死後の主人公とよろしくやってるってことだろうがこれでも他よりはだいぶハッピーエンドに近いのがすごい。
シロクマ
可哀想。初雪が絡むことで受験も失敗しかけるし肝心の初雪には振られるしヤリ捨てられるし...。時が飛んでるだけあって個別√序盤と終盤ではもはや別人。終盤の姿はとても好み。

いろいろぶっ飛んでる。個別√終盤はマジでいい役してた。人気が出るのも納得。キスシーンのCGが超美人さん。好みドストライクだった。(割と裏目に出るとはいえ)気遣いができる子なのも良い。

人類は愚か

割とこの感想に尽きる。初雪の復讐云々抜きにしてもこの街の人間(特に大人)はいっぺん全滅すれば良いと思う。なんなら、生きていればこんな大人たちの仲間入りを果たさねばならないということこそが最大のバッドエンドまである。
・初雪父&その一派:まだ幼い初雪に復讐を自分たちの代わりに宿命づける。
・シロクマ祖父:パーティー会場の爆破計画を看過。桜死亡の元凶とも言える。
・夜関連:大した根拠もなく夜への苛烈な誹謗中傷・妨害工作を行う。
・アキラ関連:失意の末に酔い潰れたアキラを寒空の下放置。凍死に至らしめる。
・剣道部関連:正義を成すことすらできないくせに大層なご高説を垂れる。
この辺はマジで死ねば良いのにと思った。かの有名な伊藤誠が死んだ時に歓喜が沸き起こるように、この街が滅びるということに関しては基本的に肯定的にしかなれなかった。どのヒロインの√にも分岐できなかった時に進むChapter0を見ると「復讐は最悪のエンド」ということがよくわかるので初雪による復讐は望めないし望んではいけないが、復讐に依らない形でなんらかの天罰が降れば良いのになとは思った。プレイ後に感じたモヤモヤの一因は間違いなくこの街がなんの罰も受けずに存続していることだ。

シナリオ等

物語の真相に近い部分は仄めかすばかりで確信に至れるほどの描写は終盤までないので、なかなか全体の理解が難しかった。最後まで読むとしっかりと全部繋がるが各√終盤のセーブを残しておいた方がいい感じのやつ。あと初雪と敵対する勢力(サクヤやカスガ)はとりあえず初雪に全部の事情を説明してあげなよ...!!!ってなる。説明抜きで初雪の地雷踏み抜きまくった挙句初雪が切れたら殺しにかかるのは流石に可哀想。まあその方が手っ取り早くて楽なのはわかるが...

主人公の性質的に仕方のないところはあるがバッドエンド/ビターエンドがめっちゃ多い。つらい。復讐を果たすと最悪の結末にたどり着いて、果たせなくてもヒロインと結ばれるわけではないからどうあがいても詰みっぽいのがほんとに心臓にクる。もうちょい初雪に優しい世界カモン!!!

個別だと希√が一番好きかもしれない。希が兄に対して死者の名誉回復を諦めるよう説得した後で希自身が初雪に関してそれをきちんと実践しなくてはいけなくなるところや、送辞で「卒業できなかった人たち」に触れるところ、最後に初雪と希が再会できるハッピーエンドなところが気に入った。

雑記

・文化祭がトチ狂ってる...
・サブキャラ4人組のキャラ立ちがすごい。金崎だけ次元が違うヤバさ。
・行為シーンがたまに笑いのツボに入ってしまった。
・初雪に萌えポイントが多すぎてもはやヒロイン。
・こういう物語で主人公の元カノが印象深くなるのは珍しいと思った。
・音楽が良いので場面ごとの盛り上がりもなかなかのものだった。
・サクヤ最後の最後でデレるの可愛い。
・宮棟は見事にヘイトをかっさらっていった。こいつがいなければバッドエンド直通だったとはいえもうちょいなんとかできたやろ感がある。
・一人飯エンドは個人的にすごいツボ。本編の重苦しい雰囲気が一切なく、完全にネタに走った感じが良い。ワンチャンこれがこのまま進むなら初雪は復讐を忘れて幸せになれそうな感じもするし。桜は...まあ...うん...ってなるけど。


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