*読書日記 #3 「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」

多くの賞を受賞して、メディアでも取り上げられていて気になっていた本を読んだ

図書館だと人気で読めるのが何ヶ月も先になりそうで残念がっていたら、興味を持った母が買ってきてくれた

イギリスのブライトンに住む日本人の母とアイルランド人の父とその息子のノンフィクションだ

正直、よくできた息子だなぁと終始思った

イギリスの教育制度や田舎町での貧富の差や人種の多様性について何も知らなかったので、それがわかりやすく書かれていて、勉強になった

EU離脱で揺れるイギリスの空気感というか、どうしてそういう流れになったのかがわかった気がする

遠いイギリスの知らない家庭の話ではなく、わたしたちの話として考えられる内容が多くてそれがこの本の魅力なのかな

わたしが特に印象に残ったのは夏休み前にFGM(アフリカなどで行われている女性器切除)について習った話

夏休み前にアフリカ系の女子生徒が転校してきたタイミングで行われた授業で、日本人の母は後日偶然会ったこの女子生徒の母のFGMに関する地雷をうっかり踏んでしまう

ターバン姿の女子生徒の母も日本人にとってモヤモヤしてしまうことをその前に何の悪気もなく言っていて、それを飲み込んだあとに起こったことですごくしんどかった

人の地雷がどこにあるかってわからないし、思っていなくてもそう伝わってしまうこともある

その地雷を踏まれたことを飲み込んだり、怒りを表明したりするのもその人次第だし

わたしは今まで多くの人を傷つけてしまった自覚がある

「地雷」という言葉も誰かを傷つけているかもしれない

知識がないとそもそも何が問題かもわからないから、ちゃんと学びたい


日本に帰省したときの話も印象的だった

イギリスで生まれ育った息子は日本語が話せない、だけど祖父とはコミュニケーションがとれて仲も良いらしい

DVDを借りに行ったときの店員の対応、寿司屋で一緒になったサラリーマンの行動、全て鮮明に想像できた

このサラリーマンの言動はわたしが新卒で勤めていた会社の社長夫婦と似ていた

日本は多様性という面では明らかに遅れている

この店員やサラリーマン個人の問題ではまったくない


イギリスでは小学生のときから子どもの権利について繰り返し教わるらしい

自分の権利がわかったら相手にもその権利があるって理解できるもんね

イギリスは素晴らしいとか、子どもはすごいとかではまったく片付かないと思う


雑誌「波」で連載が続いているようなので、次巻も必ず読みたい


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