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乙女ゲームが続かないオタクがアイドリッシュセブンにはまった話

私は完全に女性向けアプリに対して偏見を持っていた。はまらないのではなくはまろうとしなかった。

高校時代は周りの友人がA3!や刀剣乱舞をしている中、毎週月曜更新の週刊少年ジャンプを教室で一人で読み、感想スレやツイッターを見ているようなオタクだった。
もちろん流行に乗ったり布教をされたりしてたのでアプリ自体は入れたりしたが、それがまあ続かない。

そんな私がなぜ今更アイドリッシュセブンにはまったのか話していきたいと思います。

きっかけはアニナナ

原作であるゲームから入らないスタイル。

そもそもアニナナに触れたのが2021年1月の新年早々に見始めたのがきっかけ。その日は用事が何も無く久々に丸一日暇だったので1,2クールで見れるアニメをAbemaTVで探しており、おすすめアニメ一覧にアニナナがあった。その時ちょうどアニナナ二期が終わった後だったからだと思う。

アイナナか~…。「話が重い」って友達がよく言ってたイメージだけど、まあどうせキャラクターの親族とか友達が死んでて~みたいな重い過去付けてエモいキャラ感をだして、ストーリースカスカの媚びたキャラとシチュエーションで売ってる内容なんだろうな~

ひねくれオタクだったので本当に最低な偏見を持ってました……。でもその日の私は意欲的で、ファンに背中を刺されそうな偏見を持ちながらもアニナナを見始めました。


「話が重い」の意味を理解する

もう泥沼だった。今までボロクソに言っていた偏見は前言撤回。まさに掌返し。キャラクターがこんなにも人間味のある描かれ方をしているとは思ってもいなかった。

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アニナナ一期初視聴時の全く中身のない感想。
ROM垢でずーーーっとしゃべってた。ごめんね友人。

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1期はIDOLiSH7とMEZZOを兼任する四葉環と逢坂壮五の喧嘩が凄く生々しくて良かった。
この2人は現実味とキャラクターっぽさのバランスがちょうどよく描かれていて、喧嘩してる時はリアル感が伝わって心にくるものがあるけど、楽しくワイワイしてる時は2次元的な親しみ方ができてとても好き。
語彙力が足りなくて伝わらない、伝わってくれ。

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なによりアイドルアニメということもあって挿入歌がめちゃめちゃ良い。1期は和泉一織くんが歌詞を飛ばしてしまったステージの時とMEZZOの喧嘩後の特殊エンディングはストーリーと相まってとても良い演出だった。
この時はふせったーに感想を綴っていたらしい。そりゃツイッターのあの文字制限の中じゃ描き収められないよ。

アイナナに引き込まれた理由はリアルな人間の心情が描写されたキャラクター達が様々な壁にぶつかろうとも最後は目標を見出し、そこに向かって仲間と目指すTHE・王道ストーリーだからだった。
アイナナがここまで週刊少年ジャンプだとは思わなかったよ。こんなきれいに「友情・努力・勝利」が当てはまる作品ある?ってぐらい。

アイナナでいう「話が重い」っていうのは「キャラクターの心情やそれに基づく行動が現実にいる私たちの状況に酷似していて、キャラクターと自分自身を投影してしまうため、目をそらしたくなるシーンが多い」という風にアニメを見ているときに感じました。

例えば1期はMEZZOのすれ違いがよく描写されてた。良くも悪くも思ったことを正直に口にする「子供側」の四葉環と、思いやりがあるゆえに言葉選びに時間がかかり自分よりも他人を優先する「大人側」の逢坂壮五。この二人のコミュニケーションのすれ違い方がもう身に覚えがありすぎるというかあるある過ぎて…。

壮五くんに関してはアニメを見てた当初はあまり好きじゃなかった(ごめん)。
自分だけでやれば効率がいい部分とか、自分の意見を言わないほうが物事がスムーズにいくこととか、とにかく自分よりも他人を優先して自分一人で抱え込む、もはや自分のためを考えてない人、「いい人ゆえに損をして、それに慣れてしまってる人」にしか見えなくて見ていてつらかった。

壮五くんみたいな人ってきっと現実にいるし、そういう考えがよぎったことってあると思う。そんな壮五くんがたまたま世間から持ち上げられて作られたMEZZOというユニットの相方であり自分とは真反対の価値観を持つ環くんから気づきを得て己の視野が広がっていく成長過程がこのアニナナ一期では描かれていた。

とにかくアイナナの登場キャラクターは人間の描写が丁寧にリアルにされていて、それぞれ違った個性を持つキャラクター達の人間関係が成長していく過程を「話が重い」という風に表現してるのかなと思った。

思ってた100倍深い作品だった。


そして1期を1日で見終えた暇なオタクはその後、2日かけて2期も視聴し終え、、、

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翌日地元の過疎化したイオンに駆け込み、アイナナのウエハースを買いしめる。判断が早い。


キャラクターが「人間」をしている

この記事でずーーーっと言ってる、わかってるって!キャラクター作りがすごいってことはもうめちゃめちゃ聞いてるって!!!

とりあえず1部2部はアニメ、3部4部は原作のゲームをプレイしてストーリーを読み終えたのだが、もちろんアイドルグループはIDOLiSH7だけではなく先輩アイドルのTRIGGER、大御所アイドルのRe:vale、マネージャー達の間で物議をかました(らしい)ŹOOĻの4グループが存在する。みんないいキャラしてるんだよね。

語彙力ないので何言ってんだこいつってなるかもしれないがアイナナはこれに限る。

過程がドロドロでつらくて人の弱い部分にアイドルが負けそうになっても最終地点がちゃんと前向きで希望があるんだよね。そこはTHE・王道を貫いててすごく好きだなあってなったところ。

リアルな人間とフィクションが織り交ざってる感じだから、自己投影したときにハッピーエンドで終わると自分も読んでた達成感を得られるし、前向きな気持ちになれる。
この楽しみ方はちょっと違うかもしれない。
自分とアイドルを重ねて勝手に落ち込み、何かを成し遂げた気になる。宗教っぽい話になってきた。

すごいひどいこと言ってごめんなさい…。
いつかほんとに刺される。大和三月推しの方々不快にさせてしまったら申し訳ない。

これ決して大和と三月の性格が悪いとかを言ってるんじゃなくて、人間ってこういう事しがちだよねって話。

この二人ってIDOLiSH7の中でも成人してる年長組だからすごい兄貴肌なんだよね。メンバーみんなが頼りにしてる。
でも大和は醜い本心に触れられたくないけど自分を愛してほしいかまってちゃん、三月は誰も自分のことを嫌いになってほしくないっていう欲の強さがあって、それを見せないように取り繕ってるのが人間すぎて…。
人間ってこういうことするよね?こんなに事細かに描いてくるのかアイドリッシュセブン。

人間の成長過程を描いたグループがIDOLiSH7なのに対して人として目指すべき見本を描いたグループがTRIGGERなのかなって思った。

八乙女楽、九条天、十龍之介ってなんか安心してみていられるんだよんね。現実で皆さんの推しとかでもこの人は私たちの期待を裏切ることはしないだろうなみたいな、多少のことは置いといてなんとなくこの人炎上しなさそうみたいな人いるじゃないですか、あんな感じ。
この三人は主軸がしっかりしてるから壁にぶつかっても自分を見失わない、理想を掲げてそれを全うすることを恥じずに堂々としていられるんだろうなって。それって人としてめっちゃ理想的だと思う。小心者の私は「TRIGGERかっけーなあ、、」と思いながら見ていた。

実は3部を読む前に「TRIGGERはどん底に落ちる」っていう全然嬉しくない情報を得ていたのでどんなもんかと恐る恐る読んでたけど、思ったよりダメージ少なかった。それってTRIGGERっていう名前の位置が落ちてしまっただけで、三人の目指すものとかやりたいこと、なぜアイドルをしているのかっていう彼らの主軸がぶれてなかったからだと思うんだよね。

3部のストーリーでは、TRIGGERを自主的に知ろうとしてない一般人にとってはTRIGGERはもうだめだっていう悪いイメージがついてたけど、彼らのファンでも落ちた後もついてきてる人はいた。それって三人のやりたいことが大きいステージでも小さいステージでも変わらないってことだし、その意思がファンにちゃんと伝わってたってことだと思う。

天にいの「お客さんは自分より大変かもしれないしわざわざ時間を作って今日のライブに来てくれた、だから完璧なものを届けるのは当たり前。」っていう考え。いろいろはしょってごめん天にい。これってまさに「理想」だからこそ完ぺきにこなすことによってお客さんは喜ぶし、その光景がTRIGGERの目指すもの、やりたいことにもなるからwin-winの関係で素晴らしいよね。(でも完璧すぎる危うさが天にぃ唯一の未熟な面と物語を面白くするパーツとして描かれてるの最高に面白いなあと思いました。)

私たちに寄り添ってくれるIDOLiSH7私たちがなりたい姿のTRIGGERみたいな。


アイドルとそれに関わる人々のお話

アイドリッシュセブンってよくよく見ると登場人物少ない。
アイドル自体は現段階で16人で、あとは事務所の人とか業界関係者、アニメだとファンもキャラ立ってる人数名いるから、アイドルの周りの人間もしっかり描写しようっていうのが伝わる。

アイナナの好きなところをいっぱい書いてたけど、私がアニナナを見続けられた最大の理由は原作で主人公兼プレイヤーである小鳥遊紡ちゃん。
私が女性向けアプリが続かない理由の一つが、主人公の性格と言動に耐えられないこと。プレイヤーだから無機質なキャラなのかと思いきや神経逆なでしてくる話し方が苦手(すべてがそうとは限らないし、偏見も入ってます)。そんな私がアニナナ見始めてずっと言ってたのは「紡ちゃんいい子…」
またまた掌返しである。

まず紡ちゃんの声優の佐藤聡美さんの演技にびっくりした。佐藤聡美さんじゃなかったらアニナナ見れなかったかもしれない。
「よろしくお願いします!」っていう台詞が多いなって印象だったんだけど、どのシーンも紡ちゃんが心の底から一生懸命IDOLiSH7やファンのために言っている台詞なんだなって伝わる演技だった。

演技もそうだけど、例の日比谷野外音楽堂もどきでライブが決まった時、キャパ3000人に対して9人しか来なかったライブ、あれも普通に見てたら当たり前やろ!ってなる話かもしれないけど、彼女がIDOLiSH7のために徹夜で企画して自身でビラ配りをしてっていう過程が丁寧に描かれていたから、馬鹿な失敗じゃなくて意味のある失敗をして、彼女自身もIDOLiSH7と一緒に成長していく姿まで見せてくれる、凄いなアイドリッシュセブン…。
企画不足だったことに紡ちゃんがIDOLiSH7に謝るときもメンバーが笑い飛ばしてくれたあのシーン良いよね…。

ライブシーンもアイドルだけじゃなくて現場のスタッフさんの動きとかマネージャー陣の描写、ファンがどう思ってるのかもしっかり見せてくれるから世界観が広がって、アイドルと業界関係者、アイドルとファンの間の気持ちのやり取りがしっかり見えてきてストーリーをより面白くさせてくれるんだと思う。
アイドル目線だけじゃなくて、色んな方面からアイドルを魅せてくれるのは中々面白いなあ。

業界的な意味でアイドリッシュセブンの世界観もどんどん広がっていく。
1部は路上からデビューするまで、2部は音楽業界入りたて、3部は日本の芸能界を見せられ、4部は海外進出をしている。インフレが凄い。

話が進むにつれて関わってくる人物も大物になっていくのだが、IDOLiSH7は流動的TRIGGERは固定的、Re:valeとŹOOĻはイベント的ポジションな部分にも感じるのでなんとも言えないが、様々な人間と触れ合うことでグループごとにそれぞれ違ったアプローチが見える。

IDOLiSH7が流動的であるというのは、

【1部2部】
アイドルという形が見えてきた段階、様々なファンの好きの気持ちにどう答えるか

【3部4部】
ファンのために歌って自分自身が傷つくのなら誰のために歌えばいいのか

みたいな感じで考えが変化していってる。
1部2部では話の終わりに答えが出ていたが、3部4部から世界観が大きく広がり、知名度が上がったことによって、話の結末では自分たちはどう在るべきなのかという疑問形で終わっている。

逆にTRIGGERは1部から4部まで基本的には「ファンのために最高の舞台を与えたい」というスタンスだろう。天にいの言う「どの舞台も最高のクオリティで差が出ないものにする」というのはこれに当てはまるのではないだろうか。
実際デビューから3部で落ちてそこから這い上がってきた今まで、TRIGGERのメンバー間での友情に変化はあったものの、アイドルとしてのプロ意識はずっと同じだったはず。

ぶっちゃけ3部4部から話がインフレしてフィクション味が増してきた気がするけど、アイドリッシュセブンの確信的な話に触れてきた感じがしてすごく面白いし楽しみ。
4部で思い出したけどこの作品、作曲者にもスポットが当てられてるから本当に抜かりない、4部はしんみりしたね…。それと同時に作曲家絡みでNATSU☆しようぜ!のトラウマが蘇ってきたよ…。

アイナナって舞台が終わってめでたしめでたしじゃない。
アイドルやその周りの人間がひとりの人間として自分の人生をどう選択して生きていくのかみたいな話でもあるので、アイドルとしてファンのために生きるのか、自分が楽しいと思えるようなアイドル人生を生きるのか、それぞれキャラクターがどんな選択をするのかが楽しみ。

2部の終わりら辺に、紡ちゃんがIDOLiSH7のメンバーを車に乗せて話してるシーン、「もしみなさんがゼロのように突然いなくなったら私は探しに行きます。IDOLiSH7の夢はほかの人に託すことはできません。」みたいな話、あれ今後起こりそうな感じするよね。
ここからは完全に妄想だけど、IDOLiSH7がかつてのゼロみたいにバラバラになって紡ちゃんが探し続けるみたいな、そこに七瀬陸の訴求力もかかわってきそう。


最後に

アイドリッシュセブンは私のどぎつい偏見を押しのけ、沼に引きずり込んだ。
ほんとは好きなキャラとか曲とかRe:valeとŹOOĻについてももっと書きたかった、、、。

確かに女性向け要素はある。明らかに紡ちゃんにドでかい矢印向いてる銀髪のお蕎麦屋さんとかいるしね。でも…でもそれだけじゃない…!!!

これアイドル要素に耐性のある漫画好きのオタクなら絶対はまると思うんだけどなあ。
漫画とかアニメ、小説が好きでストーリー重視で見るよって人ーーー!!
アイドリッシュセブンをゲームでもアニメでもいいから見てくれーーー!!!
偏見で作品を見ないのは、知らぬが仏ってのもあるけどアイドリッシュセブンマジで面白いから、損しないから。
ここまでくると掌返しもいいとこだよほんとに。

偏見で物事の評価を決めるのは良くないと身をもって知ったオタクは今アイドリッシュセブンThird BEET!のために生きてる。ここ最近1期と2期を見たからよくわかるんだけど、アニメめっちゃ気合入ってる…。

でもここでは2期の話はしません、長くなるから。とにかく偏見が強い厄介オタクたち………

偏見は捨てよう!

ここまで閲覧頂きありがとうございました。

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