見出し画像

夜の音楽会~今夜はショパン~津田裕也 ピアノ・リサイタル

【過去の演奏会より】

日時:2024年4月26日(金) 18時30分から
場所:兵庫県立芸術文化センター大ホール

津田 裕也(ピアノ)

【演目】

オール・ショパン・プログラム

ポロネーズ 遺作 ト短調
ノクターン 第2番 op.9-2
ワルツ 第1番 op.18
即興曲 第1番 op.29
ノクターン 遺作 嬰ハ短調
幻想即興曲
バラード 第3番
子守唄 op.57
マズルカ op.63-2、op.63-3
幻想ポロネーズ
ワルツ 第9番 「告別」(アンコール)

アンサンブルなどで活躍されている津田裕也さんのショパンを聴きにいった。大ホールのは3階までたくさんの聴衆が詰めかけ、ピアノを習っていると思われる子どもの姿も多くあった。演奏前に休憩なしの70分間にショパンの初作品のポロネーズから晩年のポロネーズまで生涯を辿りながら10曲を演奏するという演奏者自身の説明があった。ピアノはスタインウェイのフルコンサート、おそらくホールのピアノだと思われる。演奏会に付き物の天吊の録音用マイクもなく。舞台上はたいへんすっきりしていた。

曲目も本格的なポロネーズ、バラードからノクターンやワルツまであってこのような演奏はとても嬉しい。楽に聴けるし、アラカルトのような楽しみがある。

演奏は楽譜や基本に極めて忠実、演奏者による大げさな誇張もなく、解釈も自然だった。姿勢も正しくピアニストのお手本のようだった。強奏の時は左足を引き、弱奏では両足を揃えるなど、足の運びに特徴があった。もちろんこれらは高い技術力があって初めて実現するもので、物足りない演奏とはまったく無縁だった。十分な余裕を感じ、聴きごたえのある演奏だった。

昔、芸大生はピアノであっても声楽であっても、きちんと楽譜に忠実に練習していないと厳しく指導されると聞いたことがあり、津田さんもそうではないかと想像できた。

それが幻想即興曲以降の曲になると一転、節度がありながらも抒情的な豊かな表現に転じて、ショパンの生涯の物語を表しているかのようだった。プログラムにあった生涯年表を見ても、彼の人生が厳しい時代に入っていたようで、津田さんの表現も納得できるものだった。

子守唄では、オブリガートが強調されて、曲の面白さがよくわかった。

彼のMCに表れる人柄もあって、これからも人気のピアニストであり続けると思った。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?