虐待の通報義務

高齢者虐待防止法第7条
第1項
養護者による高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者は、高齢者の生命又は身体に重大な危険が生じている場合は、速やかに、これを市町村に通報しなければならない。
第2項
養護者による高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者は、速やかに、これを市町村に通報するよう努めなければならない。


通報先は市町村から委託を受けた高齢者虐待対応協力者である地域包括支援センターです。

私たちケアマネも虐待と確信がなくても虐待が疑われる場合は通報の努力義務があります。

でも実態として通報はとても抵抗があり労力を使います。
では通報しないのかと言えばそんなことはありません。通報後に なぜもっと早く通報しなかったのか問われた時 きちんと説明できるような理由が必要です。理由がない限り 疑わしい状況で必ず通報します。

今の所「きちんと説明できる理由」の例も考えつかないので疑わしい段階で必ず通報しているということです。

通報の例をご紹介しながらどんな労力がかかるのかお話したいと思います。

普段から言い合いの絶えないHさん母娘。
今までは手を挙げたと言う話を聞いたことはありませんでした。
先日訪問した際に、
「この間取っ組み合いのけんかしちゃったよ。殴ってきたから突き飛ばしたら転げて頭打っちゃってさ。ケガがなかったから安心したけど。その後起き上がったらすぐひ孫のおもちゃのバケツ引っ張り出して殴ってこようとしたんだよ。危なかったよー。」
娘さんからこんな話がありました。詳しくは書きませんが実際は娘さんが精神的な部分も含めて被害者要素が強いです。

でも聞いた話を聞かなかったことにはできません。しかしここで通報するとHさんが被害者として話が進められていきます。

Hさんはとても強い人です。普段の言動や生活状況を丁寧に説明して周りの理解を得ながらHさん家族全体の負担を減らしていかなければいけません。

Hさんとの信頼関係、Hさんの娘さんとの信頼関係、包括支援センター・市役所に偏った情報提供にならないよう配慮など考えなければいけないことはたくさんあります。

一度通報をしたら定期的に経過観察し報告する義務がでてくるのです。

努力義務から通報はしますがそこからの精神的な負担・そこにかかる時間など覚悟を決めて行動していることを知っていて頂けると嬉しいです。

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