⑪目覚めて見たものは

 頭の中にいろんな事がぐるぐるとしてあまり眠れずに過ごした。翌日、昼頃Twitterを見て驚く。
Aのツイートには、次のようなことが書かれていた。
「古風な考え方や過去の常識に捕らわれた展開はスピード感が鈍化し、時代とニーズにマッチしていない。全ての物事をiPhone1台で完結してしまう若い作家やユーザーの意見を蔑ろにすると取り残されてしまう。自分より若いから人生経験が少ないという理由だけで下に見ることなど絶対にしてはいけないこと。」また、
「作家としてのペルソナが異なれば、ユーザーニーズも大きく変わってくると同時に作品の売り方や消費者の求め方(購入の仕方)も異なってくる。少なからず10代、20代の層で展開していく作家は成長スピードが格段に早く、ユーザー目線に沿った簡易性と利便性を兼ね備えてる。今の時代、見習うべきは若い作家だ。」

 この書き込みを見て、私は「ああ、作家支援は縁が切れたな。」と悟った。だが同時に安堵もしていた。「やった!これで自由だ!好きにしていいんだ!」と少なからず疎ましく思っていた自分自身に驚きながらも、喜びを噛み締めていた。ずっとAに支配されているように感じていたが、真っ先にこんな思いや言葉が出るとは思ってもみなかった。

 Aは、私が作家Bを見下してるように書いているが、私は作家Bを自分の理想の作家像のように思っており、日頃から尊敬の念を抱いていた。その気持ちをAは知っていた筈だが、他者に対して、私が傲慢な態度で作家Bに接していたと虚偽の掲載をしたことに腹立たしかった。なによりもこれらを自身のフォロワーに知らしめるように仕向けたことに嫌悪感を覚えた。

 だが私は、作家になる前のただのユーザーで、Aはフォロワーを1,000人抱えているユーザー。Aは作家支援をすることを明言していた上、そのフォロワーに真実と異なる内容を吹聴している。
これが私にとって、一番精神的にダメージを負うことになる。
私が言い訳をしたところで、誰が信じてくれるのかと感じ、結局のところ当時は終始沈黙を貫いた。最初こそ「解放された」と喜んだものの、Aが次々とTwitterに投稿していく内容にどんどん追い込まれていく自分がいた。

 Aはさらにこのような内容の書き込みをした。
「作家支援企画を行なっていく上で考慮しなければならない事が互いの人間関係と関連性の構築。僕には僕を支えてくれる存在がいて、表に立たず助言してくれる裏方がいる。決して僕一人では成り立つような簡単な物でないことを当事者は理解して欲しかった。だからこそ、謙虚な姿勢を求めていたが無理だった。」

 この書き込みに関しては、Aはうまく表現したなと感じていた。『僕は皆さんに支えられてこうしてやっていけています。』と一見謙虚に見て取れる。だが、実際のところ、私への態度は作家BがAを諫めるほど酷いものだった。Aの私への言葉を、日頃から聞いてる人達の中には「Aさんの言うことが怖いから聞くばかりだったけど、無名さんがそれに対して素直に話を聞いているのをいつも凄いと思っていた。」と何名かが同情をしてくれていた。「教えを乞うているのだからしっかりしなくては。ちゃんとやらなくては。」という私の思いは、周囲に伝わっていたようだった。

 Aは立て続けに「まだ什器作ってないから害がないですよねってニュアンスの言葉は正直、きつかった…そこに辿り着くのにどれほどの時間を費やすのか作家を志すものなら理解できると思ってたんだけど… 悲しくて仕方ない。暫くウサギは山にこもります…」と書き込み続けた。
この時点では私は知らなかったが、Aは何かあると「山にこもります。」と去っていくというのが常套句だと誰かから教わった。
 
 Aの「山にこもります。」という書き込みの後も、さらに
「チャンスは平等に与えられるものではないし、何度も巡ってくるものでもない…。手を離した瞬間に消え去って、後悔しても手遅れなんだよ。だからしっかり掴まなきゃいけないし、時には嘘の仮面を被ってやり過ごさなきゃいけない。そこまでしてやる必要はあるかと問われると…その価値は十分に合ったと思う。」と続いていく。

 そもそも作家支援というのは、結果を出すことは求められていないように感じる人も居ると思う。だが、Aが選考しコンサルタントをした作家は『全員成功すること』までが、Aの中で用意されたシナリオだ。
他の人間がいない場所では「そんなことできません」と言いたくなるような、ハードルの高いものも要求される。それに対してAは、何かをするのか?というと、何もしないに等しい。作家自身の頑張りがイコールとして、Aの評価に繋がるのである。常日頃、彼が何かにつけて言って来ることは「有名になってな。」であった。呪縛はいたるところに用意されている。

 今回の作家支援に関しても、中止や放棄をしたところで、Aの失うものは何もない。当時は什器ももちろん作っていない状態。Aは『自分の時間を費やしている』と豪語しているが、それは他のフォロワーが多い有名作家へのコンサルタントもどきであって、私に使った時間だけではない。
Aは本当に口が上手い。作家Bと私で話しをした際に出た結論は、『Aは詐欺師になれるぐらい言葉巧みに人を誘導する』というものだった。

 だがこのAの特性に気が付くのは、Aからの洗脳が解けた人間だけだ。
 
#作家支援の闇 #パワハラ #モラハラ #精神的DV  
 
 

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