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残念ながら はっぴー

この7年間、ネット詩というクラスターに身を置いていたので、112作品も書いていた。こんなことを私は書いて投稿していたのかと、忘れていた作品もある。なかでも、表題の通りタイトルがついているこの作品、一体、私は何がやりたくてこんなことを書いて人様に読ませていたのかと、肩を落としてしまう。残念。

         ✳︎



わたしたちの詩はどうでもいいメロディーよりもさらにどうでもよくてあなたが書いている詩はわたしたちの嘘くさい生をとてもよく表している。あなたの嘘くさい生をたとえてあげようか。それはラブホに入って待つ間にもたげる妄想。本番ありの女の子は金が目的なことぐらいわかるよね。愛はあなたには永遠にやってこないし愛は金を持ってる優しい人間だけがたくさん集めていて貧しくて病気だか精神不安定だか孤独だかなんだかわからないあなたには降りてこないよ。残念。わたしたちは雑魚なんだ。わたしたちは雑魚だから詩を書いている。読まれて嬉しくなったら疑うがいい。読んでくれたのはなぜですか、わたしと仲良くなりたいからですか、わたしとDMから始まるお付き合いですか、わたしの詩はあなたのおちんちんに適当なフェラチオですか。誰かが誰かをわかってくれる優しい優しい空間のなかで現代詩手帖を目指すといい。きっと現代詩手帖があなたは雑魚なんかじゃないあなたの詩は藝術ですよ、あなたの詩で本を出しましょう、それからお金も出しましょう、さあさあと。残念。でもいいじゃない。ラブホで待つ間に湧き起こる妄想はおちんちんの付け根から舐めてほしいなあとか乳首を舐めるけど自分の乳首も舐めてほしいなあとかお風呂にはどういう感じで入るのかなあとか。あなたの書く詩と同じ。退屈な諦念。退屈で身をよじってポストモダンぽすともだーんってやってみるの。美しいような仕上がり。美しい美しい、あー、美しい。上手い上手い、あー、上手い。ラブホで待つ松重豊みたいなおじさん。みんな優しい。受付のおばさんが現実でそんな現実はみたくないよね。12月末まで限定のカツカレーをオーダーすればいい。部屋に届けられる際に鳴らされるチャイムはこっそりしている。ホテル嬢は喜ぶふりをしながら食べるでしょう。あなたはそれを見てるだけ。その間に書き始める詩は、そうね、こんな感じかな。


車輪の音がころげ落ちる夕暮れ
花々の色は際限なく
経過のなか
「初めて」が始まり
「生きる」がお終い
過ぎてゆく西行きのバスみたい
世界は曇りのち晴れだ
傘をほうれば
ねころぶ猫がまた鳴いた

今夜あたりにまた
「リアリズム」が
「リアリズム」が
今夜あたりにやってくる

眺めていた山々のその
頂上にそびえ立つデパートメント
カラスたちが棲家にしている
「幸せ幸せ」と退屈に羽をやすめ
私たちがいつ到着するのかと
ニヤニヤしながら
鐘がなり響くのを待っている


わたしたちはずっとずっと、はっぴー。

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