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言語と周波数の関係。日本語が2000ヘルツ以下で、英語が10000ヘルツというカラクリについて

3年も5年も書こうと思っていたこの記事。

とはいってもある部分が分からなくて、記事がずっと書けないまま何年も経ってしまった。

そして最近私はこの問題について検証し始めようと、いきなり覚醒。。

この記事ではやっと私自身も腑に落ちた、言語と周波数の関係についておそらく多くの人が疑問に思っている部分を書いていきたいと思う。

①問題のスクショ

ソース不明の、ネット上で出回っている各言語の周波数らしき表

2014年に英語のメンターを初めて10年になる。

その中で、レッスン中は以下でも紹介したように、英語やロシア語ではピッチ(高音)の上げ下げをやるし、フランス語ではやらない。というように、私は基本的にピッチを教えるのは得意な方である。

「英語と日本語のリズムが著しく違う理由=(ストレス、シラブル、モーラ)タイミングについて」

けれども、ヘルツについては私の知識不足により多くの疑問があり、それ以上は考えないようにしていた。別にレッスンに支障があったわけでもないので・・。

そして面白いことに、多くの人が私と同じ意見だと思う。ということが外国語のサイトのスレッドや、twitterのアンケートからわかり、私も安心したところである😮‍💨

では以下、ヘルツについてから書いていこうと思う。


②ヘルツについて

いわゆる周波数という用語を聞くと難しく聞こえるのだけど、これは1秒間に振動(空気の変動)が何回あるか?で、10回振動すれば10ヘルツというような理屈なのだけど、それじゃ正直わからない。

そして我々にはそんな振動は肉眼でみえるわけじゃないし・・。

理屈は置いといて、つまり声が高ければ高いほど、ヘルツ数が上がる。という仕組み。

そして音声学でこういうことを簡単に言うと、pitch(高音)のことである。

以下は、ヘルツの数字で表した日常の音(音の大きさであるdB=デジベルじゃないからね)


120~200=成人男性
200~300=成人女性
2000まで=人間の話し声
2000-4000=赤ちゃんの鳴き声(不快に聞こえる音)
4000=蝉の鳴き声

通常、1000を超える高音は人間の耳にとっては雑音と聞こえるのが万国共通のようだ。=赤ちゃんの鳴き声のように。

ちなみに人間が聞き取れるヘルツ=Hearing range(可聴域)は、20~20000Hzであり、多くのマイクはそれを録音できるように対応している。

これ以上ヘルツがあがると超音波と言われ、サルや犬など、動物には聞こえる音の領域となる。


③5000ヘルツと、10000ヘルツはこんな感じ

一つ目が、5000ヘルツの音。

こちらが10000ヘルツの音。若干セミの鳴き声に近いような感じもする。上にも書いてある通り、4000と5000は近いので、この音がセミの鳴き声に近いことがわかる。

20000ヘルツまで行くと。私には聞こえない。

こんな感じで、人の声には出せないような音であるはずなのである。

それでは、なぜ英語やロシア語にはそのような高音が出る。ということになっているのだろうか?


④音程チェッカー。を使用

音程チェッカーのリンク


解説して行く前に、私は周波数を測定できる音程チェッカーというアプリをiPhoneで使ってみた。

何年か前にも使ったことがあるのだけど、人間の話す周波数が上にも書いてある通り、私も高くても300ヘルツくらいしかでなくて、英語のような音は私にはまだ出せないのか。とガッカリしていた記憶がある。

今回も再インストールして挑戦した。


⑤英語を音読した結果

やはり、300ヘルツくらいまでしかでない。英語もロシア語も。

こちら(↑)でシャドーイングを公開したこともあるように、私のロシア語はネイティブスピーカーにも割と良いと褒められたレベルなので、なぜ?と思った。

けど、部分的に子音のところは何千にも上がる現象が起きるのである。。本当にたまにのレベル。

そのカラクリを下に書いた。


⑥子音が鍵

もう一度、前に書いた記事を取り出すけれども、

「英語と日本語のリズムが著しく違う理由=(ストレス、シラブル、モーラ)タイミングについて」

英語、ロシア語、アラビア語などの言語は世界の主要言語の中でもメジャーなシラブルタイミング言語ではなく、ストレスタイミング言語である。

これはつまり日本語やスペイン語のように母音ベース(カタカナで表記できるような)の言語ではなく、子音だけでも通じてしまうような仕組みになっている言語のことを言う。

Can you speak Japanese?(日本語話せる?)

をIPA(国際音声記号)で表すと、

①kæn yu spik ˌdʒæpəˈniz (国際音声記号をきちんと発話した場合)
②kən yə spik ˌdʒæpəˈniz(母音を削った話し方)

というように、外向けの話し方か、うちわ向け(英語ネイティブ同士)の話し方に分けられ、カタカナでは表記できないが、

Can you speak Japanese?(日本語話せる?)

k n spk jpnz =ク ヌ スプク ジャプヌズ(カタカナは子音のみで発音してみてね。。)のような、つまり子音しか発音しない音にイントネーションを載せると言うものである。

で、以下が重要な部分。



⑧倍音。という概念が私にはなかった

音程チェッカーを使って検証した証拠

音の世界には、非整数次倍音(不規則な周波数を持つ音)というものがあり、子音のみを話すと、ヘルツがあがってしまうという仕組みがある。

私が分からなかったのはこの部分だったのである。↑

実際に、アプリで、sh(シー)とやってみると、ヘルツが5000近くになったり、ts(ツー)とやると8000近くになったり。

頑張って、ssssってやった時に、上のスクショのようにそこだけ11840ヘルツくらいにあがった。。😮👏😂

これらの音が人の耳に高音に聞こえるかはどうか私も分からないが、これが実は高音だということが判明した。


⑨もう一度話を戻す

ソース不明の、ネット上で出回っている各言語の周波数らしき表

外国語のサイトでも上の表が話題になっていて、

もともとこの表は、Alfred Tomatis (PDFあり)というフランス人のENTdoctor によって書かれたものを、間違って解釈されて出回ったものであり、疑似科学。と書いてあるコメントに199もの、goodがつけられていた。

https://www.reddit.com/r/badlinguistics/comments/d6a783/languages_use_different_frequencies_thats_why_you/

そしてさらに重要なのは、このヘルツ数が伸びている言語は、摩擦音だけを発音した時の言語なので、ほんの一瞬ヘルツがあがるだけであり、馬鹿げているというコメントである(音声学者と名乗る人のコメント)

ここで感じたのは、意外と日本でも外国でも、ヘルツについてよく知らない人が多い(私も含めた)ので、この表を見ても、ハテナ???となる人が多いと言うことである。

特定の子音(摩擦音だったり)が部分的に一瞬ヘルツがあがるなんて解説、誰も聞いたことがないでしょう?

私もここが知りたかったのです😅

音楽をやっている人や、音声学にどっぷり浸かってる一部の人にしか知らない世界だからだと思う。

実際にtwitterでアンケートをとったところ約半数がヘルツについて理解していない。

暮らしには全然関係ないの知識だし、おそらくほとんどの人が不要な知識だと思う。


⑩ロシア語と英語(イギリス英語)のヘルツが高い理由

ソース不明の、ネット上で出回っている各言語の周波数らしき表

さて、この表の中身について全ての言語を学んでいる私が解説してみたい。

この中でロシア語の音域が広いのが印象的だ。実際にロシア語はというのはそう言われていることでも有名。

それゆえロシア語話者は他の外国語を習得するのが早い。とも言われている。=人によると思うんだけどね。。。

で、上の表を見てもわかるように、米語よりもイギリス英語の方がヘルツが高い。

このロシア語とイギリス英語に共通しているところは、同じストレスタイミング言語であるので子音だけで読むことも可能な上、shや、t(アメリカ英語ではtを子音だけで読むようなことはなく、d化することがほとんど)がたくさんでてくるからではないだろうか?

という結論に至った。


⑪日本語も英語もピッチはさほど変わらない


https://www.researchgate.net/figure/Average-Pitch-and-Pitch-Frequency-Range-Hz-of-British-Australian-and-American-accents_tbl2_4084655

まず英語と米語のピッチを男女で表した数字なのだけど(上のスクショの一番下ところに書いてある)、

British Female(英国人女性) 244 
British Male(英国人男性) 146

と、イギリス人のほうが全体的に以下のアメリカ人より高い。

American Female(米国人女性) 225
American Male(米国人男性) 116

以下も興味深い。

https://erikbern.com/2017/02/01/language-pitch.html

けど、ここでわかるのは日本人も英語話者もそこまで変わらない高さで話していると言うことである。

もちろん、日本語における、いらっしゃいませ〜⤴️と高音で言う言い方とか、英語にもそれぞれイントネーションパターンによってあがるピッチが違うとか、上の私のロシア語の動画のように、ロシア語独特の英語にはないピッチの上がり方というのはあるけど、それでもほとんどが100-300ヘルツの範囲である。

で、英語やロシア語の場合、子音だけの音が入ってくる場合が多く、そこが聞き取れない日本人が多いということだけであり、

上の表で英語が以上に高いヘルツを示しているからといって、それは全体にずーっとその高さを維持しているわけではなく、ほんとたまにポツンと出てくるレベルであるので気にしなくていい。


⑫結論

つまり日本語も英語も、同じ人間が話すレベルの100-300ヘルツで話すということには変わりないので、英語が特別な言語というわけではない。

むしろ英語(アメリカ英語もイギリス英語も)も、割と落ち着いた低い声で話す人が多いので、これらの言語が高音だから聞き取れないと言うことではなく、

英語特有のストレスタイミング言語であるが故に、Session と発音したときに、セではなく、sshn のように発音しても通じ、この場合、音程チェッカーでは、7000ヘルツくらいまで上がった。

上にも示したように、もっと頑張った時は11000以上くらい出てるよね(スクショもう一度見て)

これは、倍音という、子音だけ発音すると高音になるというカラクリである。

そして英語に多い母音がないこういう子音だけの部分が日本人の耳には聞き取れないことが多く、雑音に感じてしまい疲れてしまうのだと思う。

実際の英会話では、t や、s は雑音のするカフェや人混みでは聞こえないことも多いので、そこまで私は気にしなくていいよ。というふうに生徒さんにはいっているが、音読の発音チェックの時はアナウンサーレベルを求めてるので、やはり事細かに指摘する。。。😂


おまけ(聞き取りにくいと言われる子音)

破裂音と言われるものが、聞き取りにくと言われている。

[p] - 無声両唇破裂音
[b] - 有声両唇破裂音
[t] - 無声歯茎破裂音
[d] - 有声歯茎破裂音
[ʈ] - 無声そり舌破裂音
[ɖ] - 有声そり舌破裂音
[c] - 無声硬口蓋破裂音
[ɟ] - 有声硬口蓋破裂音
[k] - 無声軟口蓋破裂音
[ɡ] - 有声軟口蓋破裂音
[q] - 無声口蓋垂破裂音
[ɢ] - 有声口蓋垂破裂音
[ʔ] - 声門破裂音

中国語やアラビア語にある特定の音も、音程チェッカーでやると結構ヘルツ数が上がって面白かった。。

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