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バングラデシュー日本学生交流プログラム振り返り(前編)

大瀬「先生、お久しぶりです。前回の対談から2週間以上経過してしまいました。相変わらずお忙しそうですね。バングラデシュ・プログラムの総括をしたかったのですが、中々お時間をいただくことができませんでした。東京経済大学のお仕事もお忙しそうですね」

BJEP 2020(バングラデシュー日本学生交流プロジェクト)は思った以上に大変で、終わったときには体力も気力も使い果たしてしまった。数多くの国際交流プログラムに携わってきたけど、これまでのどのプログラムよりも大変だったよ。追い打ちをかけるように翌日から立て続けに仕事が舞い込んできて、飽和状態だった。

大瀬「本当にお疲れ様です。これまでのどのプログラムよりも大変だったとは、、、。前回お話しさせていただいたのはプログラム3日目ですよね。その後の5日間は、やはりすんなりとはいかなかったですか。最終日はオンラインライブイベントもありましたよね。」

わずか一ヵ月しか準備期間がない中で初のバングラデシュ学生とのプログラム。慣れないオンライン活動で、しかも日本学生アシスタントがプログラム全体を主導したのはAAEE史上初めてのこと(これまでは開催国の学生たちが主導した)。関係者全員、何もかも手探り状態でプログラムが始まった。さらに、開会式でこちらの本気度を見てとった現地メディアや大学が興味を持ちはじめ、事が大きくなってしまったんだ。想定外の事態も次から次へと発生した。

大瀬「何度も言いますが、LINEグループでの先生の軽いつぶやきからわずか1ヶ月後で、本格的な交際交流プログラムの強行。ただただ驚きです。さらに数日前には新聞にも出ていましたよね。改めて、AAEEは規格外団体ですね(笑)。」

30回のプログラムをこなす僕がこれほど疲弊したのだから、学生アシスタントの苦労は想像を絶するものだったと思うよ。でもとても貴重な経験だったとも言える。コロナ禍に、オープニングに両国の国家斉唱を伴うほどの公式的国際学生交流プログラムをゼロから創り出す経験など早々できるものではない。このプログラムは参加者はもちろんのこと、運営側の学生アシスタントが大きく成長できる絶好の機会だった。
例えば、仕事のスタイルの違い。
開会式当日の深夜1:30からの緊急ミーティングをしたり(バングラデシュからいきなり連絡がきた)、プログラム中に現地新聞社の記者から、「今すぐ新聞記事を書いて送れ」と要請されたり、現地の学生がプログラム開始後に離脱し、その「スーパーサブ」学生も一日で私事で抜けてしまったり。僕には慣れていることでも日本の学生にとっては衝撃だよね。「記事くらい自分で書いてくれないのかな、新聞記者はそれが仕事じゃないですか。」「最後まで続けると約束して入って来たプログラムなのに・・・」と嘆いた学生がいたが全くその通り。僕も一緒に愚痴っていた(笑)。でも異なる文化背景の人たちと協働で作業をするときは、その文化のやり方ををリスペクトする気持ちを常に持たなければいけない。文句を言うのは簡単だけどね。

大瀬「学生アシスタントは、プログラムを通じて大きく成長しましたね。私は彼ら全員と個人的にも交流がありますが、相当なインパクトだったようですよ。SNSやブログなどでも感想文投稿を読んでいて感動しました。私も2018年に関先生と一緒にVJEP(ベトナム―日本交流プログラム)を作って現地で詳細に観察して、大学授業では得ることのできない深く貴重な学びを得ました。きっと彼らも私と似たような気持ちでいると思います。

そうだったら嬉しいね。「学生の成長」がAAEEの目的なので。彼らはこの夏をほぼすべてこのプログラムに捧げたと言っても過言ではない。その結果、学生間の結束力を高まったのは嬉しかった。この活動前は互いに話したこともない学生たちもいたんだよ。だけど大きな目標を成し遂げて今や仲良し。深い人間関係を構築することができた。学生時代に構築するネットワークって、一生の財産になるんだよ。
欲を言えばね、毎回プログラム後の報告書は参加者のみが書いているけど、今回の場合、学生アシスタントたちの報告書もぜひ読んでみたいと思っているんだ。このプログラムを通して彼らは何を見て、感じ、学んだのか大変興味があるし、これからのAAEEのプログラム作りにとても役立つと思うんだ。

大瀬「先生お得意の間接的プレッシャー。この記事、学生アシスタントは絶対に読んでいますからね(笑)。でも、私も同感です。参加してくださった学生の皆さんの報告書もとても気になるのですが、オーガナイザーの皆さんの率直な思いを知りたいです!ところでオーガナイザーの話に夢中になってしまいましたが、このプログラムに参加してくれた日本の学生さんも大変素晴らしかったそうですね。」

本当に素晴らしい大学生ばかりだった。勉強熱心で志も高く、困難な局面でも最後まであきらめない粘り強さ。これまでの国際交流プログラムでは現地の学生の反骨心や学びへの高い意欲に押し込まれるシーンが多かったが、今回の学生たちは何の引け目も感じずに堂々と議論していた。先月のベトナムプログラムに続き、日本の明るい未来を感じることができた。彼らがこのプログラムをどう捉えどのような姿勢で臨んでいたのか、報告書が提出されてみないとわからないが、少なくとも僕は彼らのパフォーマンスに心底満足している。プログラム終了後に、現地の大学教員や日本大使館の方々から次々と好意的なフィードバックをいただいた。「次回からもぜひ協力させてほしい」と。皆一様に、参加学生の本気の姿に感銘を受けていた。今回のプログラム参加者は一人残らず、将来の日本・世界を背負っていく逸材。今後の活躍が楽しみでならない。

大瀬「学生たちは皆、すごく良いプログラムだったと言っていますよ。私は成功と言っていいと思うのですが・・・成功に至るやプロセスや、成功に導いた工夫などあれば教えてほしいです。今後の活動の参考になりますので。」

次回に続く

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