サブ・ポップのレーベルロゴが入ったTシャツ
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サブ・ポップのレーベルロゴが入ったTシャツ

私は80年代をティーン・エイジャー、学生として過ごしました。誰でもその歳のころというのは多感で刺激を受け易いものだと思います。
受けた刺激の一つが音楽だったりしたワケですけれど、アメリカはMTVの時代で、マイケル・ジャクソンやマドンナといったスーパースターがいて、イギリスにはデュランデュランやワムみたいなビジュアルの寵児みたいなアーティストがいました。ハードロックやヘヴィメタルも隆盛を極め、LAメタルのようにヴィジュアルを意識したくくりも出てきました。全体的にポップでカラフルだったと思います。
ただそれはアメリカを中心とした資本主義経済圏に見せかけの華やかさであったような気もします。40年続いた冷戦下で決して交わることのなかった東西に二極とその他の発展途上の世界は80年代の終わりとともに一気に崩れ去り、物質的な壁の崩壊とインターネットによる情報のグローバル化とともに混沌に突入したのが90年代の始まりでした。
グローバル化によって資本経済は世界規模で活性化することにはなったのですが、同時に富めるモノとそうでないモノとの大きな格差を世界規模で促進させることになったのです。
このシーズンの第2回目でお話しした派手でカラフルで装飾が過剰な産業ロックからそういったものを排除したロックへの変化はこのような情勢が一因であったと思います。
同質原理の作用によってヘアスプレーで逆立ててアイラインを入れたフロントマンより、ルーズに伸びた髪に無精髭が、キラキラとした衣装より、よれよれのネルシャツに穴の空いたジーンズが、女の子とのパーティより、身近に起きるシリアスな出来事が、10代の若者の気分に合ったんだと思います。
グランジがシアトルに発したのも同質原理からなのかもしれません。
私の妻の友人がシアトルに住んでいて、その友人が言っていたそうです。「シアトルはとにかく曇りとシトシト雨が多い。どんよりしていてあんなところにずっといると鬱になる」と。その友人の女性自体とても明るくておもしろい性格らしいので、同質ではないんでしょうね。合わないんでしょうね。
私のシアトルのイメージはだんぜん中学校の時の英語の教科書なのですが、その中では全く陰鬱とした雰囲気では語られていませんし、むしろ四季があるようなイメージ。野球でイチローがメジャーにいたころシアトルマリナーズホームの試合のTV中継でも天気の良いグランドの映像でしたから、実際には一年中、曇りや雨というようなことはないようで、冬から春の時期は本当に曇りとか雨が多いようで、夏場は暑すぎず良い天気な日も多いようです。
といはいえ、やっぱりカルフォルニアはLAとは違うわけで、カート・コバーンが生まれた街と言われても納得の場所なのでしょう。

そのカートの Nirvana が所属したシアトルのレーベルであるSub Pop のTシャツです。サブ・ポップのロゴが背面にドーンとプリントされています。企業ロゴには優れたデザインのものが多く、それをプリントしてもTシャツデザインとして十分かっこよいものです。特に音楽レーベールのものはいいです。企業ロゴものは某有名ファスト・ファッションブランドのTシャツなんかでも定番化していて、Tシャツのジャンルの一つになっている感じです。
90年代を代表するレーベルのロゴは当初からインパクトはありました。ロゴのインパクトだけではなく、この前面の LOSER(負け犬)というのも時代を反映していると思いますし、サブ・ポップらしい、グランジのレーベルらしい、90年代に同質な感じがこんなTシャツのプリントからもひしひし伝わってきます。
サブ・ポップレーベルではないのですが、94年には Beck の "Mellow Gold"アルバムがリリースされています。そのアルバムの1曲目は”Loser”というタイトルでこのプリントと同じです。そしてこの曲は大ヒットして、Beck はオルタナ系のアーティストとして一躍有名になっています。”Loser”のさびの歌詞はこうです。I'm a loser baby why don't kill me ?
(オレは負け犬だぜ、ベイビー、だから殺せば?)自虐的でシニカルで、これもまた90年代的だな、という感じがします。
ちなみにBeck は第一回目で紹介したTシャツのボン・ロード・レコーズ、レーベルからインディで曲を出していたこともあるようです。

このサブ・ポップのプリントTシャツは今でも簡単に購入できるようですが、私の持っているこのTシャツは90年代に渋谷の宇田川町で購入したものです。
私の90年代なんですが、就職はバブルのなごりですんなりと決まり、勤めた会社の業績も絶好調で1年でお給料が25%アップしたり、海外へ社員旅行なんてのも経験したりすて、前途は明るい感じではじまったんです。しかしながら、転職して東京に出て来た94年の春に会社の倉庫みたいな部屋で作業をしていた時、BGMで流していたJ-WAVEから流れてきたニュースでカート・コバーンの自死を知ったことが今でも鮮明な記憶として残っています。
その時、日本でもすっかりバブルははじけていたのですが、20代半ばの私には全く関係のないことのように思っていたんですね。そこから色々なことが順風ではなくなっていくんですが、そんな想像は全くついていなかったんです。

90年代のTシャツに関するシーズンはこれでおしまいです。
次ではカート・コバーンに着ていたTシャツについて取り上げてみたいと思います。

ここからオマケの話とイラスト(今回は無料です)

シアトルのインディレーベルであるサブポップは今でこそ世界的に認知されていますが、やっぱりNirvanaが”Nevermind”でブレイクしなかったらそこまで知られることは無かったとおもいます。
Nevamindが売れた後にサブポップから出したBleachの売上が上がっていったようですから。
ただ、Nirvanaをはじめ、Sonic Youth や Mudhoney や Soundgarden など素晴らしいロックバンドを発掘してメジャーに送った功績はやはりロックの歴史に残るものだと思います。
現在はロックだけでなく様々な、ジャンルのアーティストが所属するオルタナティブなレーベルとして存在しています。

アメリカのサブ・ポップに対してUKにはクリェイション・レコーズというインディレーベルがありました。Oasis、Primal Scream、Jesus and Mary Chain、My Bloody Valentine が所属していたレーベルです。
こちらも Oasis を世に出しただけでなく、シューゲイザーという正に90年代の時代を表すようなロックを表現して当時のティーンエイジャーから支持されてました。
クリェイションは経営破綻により1999年に倒産します。正に90年代の終わりとともに....

多分、その頃、若者に対するインディロックはその役割を終えたのではないかと思いますが....いつの時代も若者はより刺激を求めるモノです。それは90年代であっても00年代であっても今であっても変わらないものではないでしょうか。
その辺りの話しもいつかしてみたいと思っています。

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ありがとうございます!よかったら動画も見てください。
Tシャツと音楽と少しの映画が私のSchatz(宝物)です。人生の後半戦に自分のSchatzを少しずつ掃き出して片付けていくのも良いかなぁと思って綴っています。 ※主に言いたいことは無料部分ですべて載せています。有料部分はオマケ的楽しみで置いてみました。