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読書の秋2022に挑戦!(その2)

こんばんは マルベリーです。

今日は11月最後の日。何を書こうかと思いながらnoteにログインしたら、読書の秋2022が、目に入ってきました!
ということで、本棚から探してきた本の感想を書きます💚

タテ社会と現代日本

なぜ、この本を買ったのか。感想の前に、振り返ってみたい。
2019年11月20日第一刷。ということは・・・。令和元年の11月以降にこの本を買っているということだ。その頃、私は何をしていただろうか。前年の平成30年は、7月に西日本豪雨災害があった。残念ながら思い出せない。

おぼろげな記憶をたどると、平成30年も災害があって仕事が大変だったが、令和元年は、人事異動で新規採用の職員が配置されたことで、業務が増えて、大変だったことを思い出した。そうだ、仕事が忙しくて、しんどかった時期だ。それで人知れず、悩んでいたのかもしれない。

なぜなら、この本のオビには、次のように書かれている。

「タテ社会の人間関係」著者の最新刊!
非正規雇用、長時間労働、いじめ、孤独死、女性活躍社会・・・

講談社現代新書「タテ社会と現代日本」オビ書

おそらく、長時間労働に疲れていて、手に取ったのだろう。

タテの関係とは?

これは第1章の章題である。日本社会の特徴は、タテの関係である。これが著者の第一の主張である。社会人類学者である著者は「タテの関係は、日本の社会構造を読むキーワード」であり、日本の社会構造の中で、人間関係を分析するカギが「資格と場」であると述べている。

日本では、親分・子分関係のようなタテの関係が、日本の組織集団に共通する特色として重視されていること、そして著者のいう「タテ」は、上から下への権力関係を表すものではなく、上と下が組み合わさっている関係であると説いている。

自分の所属している職場をイメージしながら、読み進めたように思う。

長時間労働の温床

第2章 タテ社会と「いま」 では、最近問題になった「天下り」、長時間労働、非正規雇用などを取り上げられている。その中から、当時の私が関心を持っていたであろう「長時間労働の温床」を紹介する。

まだらな働き方
 長時間労働を容易にする日本人の働き方にも目を向けてみます。
 アメリカの場合、個々人のやるべき仕事がはっきり決まっていて、それぞれが自分の仕事を達成します。・・・(略)
 それに対して日本はどうでしょうか。
 一人一人の仕事が決まっていて、その総和をグループの仕事と考えるわけではありません。組織の中で個が独立しておらず、お互いにまじり合ってやっているーこれが日本の一般的な職場の風景でしょう。日本の場合は、「みんなでやる」という傾向が強く、同じ量の仕事を2~3人で行うのが常です。
 そのため一つの仕事場では、個人差があり、よく働く者、それほどでもない者の差があり、前者が後者を補うかたちとなりやすい。よくできない人は、またやってくれるだろうと期待して、本来、自分がすべきことをしなかったりします。・・・

前掲書 P68~69

数年前に読んだときの感想は思い出せないが、今も、うんうんと頷いて読んでいる。
日本では、小集団の中で、個人一人一人の働き方がまだらで、それが許容されている。さらに、仕事時間とその後の区別もあいまいで、仕事に人間関係が入り込んでくる可能性があり、そうした社会慣習のため、容易に長時間労働が発生しやすいと、著者は論じている。
深く共感せざるを得ない。そう思いながら今も読んでいる。

場は一つとは限らない

エピローグである。この言葉に惹かれるのは私だけではないと思う。再び引用したい。

 日本人は会社や学校などで「場」に属しています。会社、学校にできる場というのは、家(ウチ)をより大きくしたものではなく、もうひとつのウチです。この二つのウチはしばしば拮抗関係にありました。学校の友人や会社の同僚とのつきあいを大事にすれば、家族が犠牲になる、というように。
 日本社会において、二つ以上の集団に同様なウェイトをもって属するのは困難です。

前掲書 P125~126

一つだけの「場」からの転換

 「一つの場に個人が所属し、できることなら一つの場にずっと属しつづけたい。そのような場があると安心する。」これが日本の特徴であると著者は述べている。そして最後に、次のメッセージで締め括っている。
 しかし、日本のタテ社会は、「ネットワークの弱さ」を抱えている。これをいかに補完していくか、複数の居場所を見つけていくか、高齢化が進む現在、そうしたことを考える時期に来ていると思う。

私にとっては、とても感慨深い、心に響くメッセージである。

複数の居場所を見つけること。
私のこれからの人生の指針としたい。


そう思って読了した。

#読書の秋2022

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