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横山拓也氏の脚本が秀逸 「モモンバのくくり罠」

iaku「モモンバのくくり罠」
作・演出:横山拓也
出演:枝元 萌、祷キララ、緒方 晋、橋爪未萠里、八頭司悠友、永滝元太郎
劇場:シアタートラム
観劇日:2023年11月26日(日曜)13:00~

ケータイも繋がらない山奥で、ほぼ自給自足の暮らしを営んでいる家が舞台。そこには女性が一人で暮らしていて、会社勤めの夫は街に暮らしている。そして、昨年まで母と一緒に暮らしていた娘も、今は山を降りて街で父と暮らしている。そんな別居家族が、山の実家で久しぶりに会う日が描いた作品。

“モモンバ” と呼ばれる主人公の女性は、くくり罠での狩猟が得意で、それがタイトルに。フツーではない環境で育った娘の複雑な気持ち、快活に生きているようで心に傷を持つ母、そして、いろんなことに翻弄されて、頼りなくも見えてしまう父。登場人物たちの会話から、それぞれの人物像が明らかになっていきます。

基本的には会話劇ですが、現実離れをしたシチュエーションで、狩った動物を運んでくる演出(というか小道具)がなかなかリアルだったりして、実際の山里を連想させるダイナミックさも感じる作品でした。

大らかなキャラクターが多く、関西弁で展開されるので、最初は吉本新喜劇的な感覚で見て、笑っていました。ですが、後半からは、観客の予想を裏切る展開があったり、考えざるを得ないものを展示されたり、笑っていられなくなるんですよ。それでも、ほどよく笑わせてくれるので、余計に切ない気持ちになったも。

横山拓也さんの脚本の舞台を観るのは、今回が4作目ですが、今回の脚本が一番好きでした。ただし、初日から日が浅かったからかもしれませんが、台詞を噛む役者さんが数人いたのが残念でした。笑いを取る場面では、多少台詞をとちってもフォローできますが、観客の心にグサッと切り込む台詞が危うくなると、緊張感が途切れますよね。もったいなかったなぁ。

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