見出し画像

story 声は聴く

悟りなんてそんな大仰なもんじゃない
俺はただ苦しかったのだ
ただただ苦しかったのだ
なぜ苦しいのか知りたかった
全ては自分のためだった
それが知りたかっただけだ
それだけだ
慈善なんてものは微塵もない
お前もそうだろう
知りたいだけだ
だが知ってどうする
お前の内に留めるか
留めてどうする
お前も大きな渦の些末に過ぎない
ならば知らしめるか
知らしめてどうする
・・・
答えがないならそれが今のお前の答えだ
何を選んでもお前の人生があるだけだ
だかお前は選ぶことが出来る
それができる身の上にいる
そのことを思え
苦しみは付き纏う
死と同じだ
だが生き方は変わろう
苦しみも喜びも畢竟同じだ
どう生きるかだ
若造…
お前の心は決まっている
それに従い生きて行け
求めるものはその先々にある
内なる自分は知っている
善く御して行くがいい

ことばはこころ。枝先の葉や花は移り変わってゆくけれど、その幹は空へ向かい、その根は大地に深く伸びてゆく。水が巡り風が吹く。陰と光の中で様々ないのちが共に生き始める。移ろいと安らぎのことばの世界。その記録。