本① 学歴フィルター

4月が始まってから、初めての週末ですね。
社会人の皆さまはどのようにお過ごしでしょうか?

新入社員の私は、とりあえずGW明けまで完全にリモートワークとなっています。
リモートワークが暇というよりも、リモートの研修では最も大事な精神力が擦り減らないので、あまり疲れを感じることがありません。
これで良いものか…と思いながら、日々を過ごしています。

今回は、本の紹介でもしましょう。
(偉そうなので、書評とは言いません。笑)

学歴フィルター
著者 福島直樹
発行 株式会社小学館

フリーランスにて就職コンサルタントを行う福島直樹さんが2018年に出版した本です。学歴フィルターの概要から始まり、フィルターの使用例や歴史的背景、そして最も著者の意見が出ていると考えられるフィルターの乗り越え方と解決策が論じられています。

まず、私がこの本を手に取った理由は、ただひとつ。
私がFランク大学 (ボーダーフリー)の出身であり、所謂フィルターにて排除される側に属していた人間だからです。
2chでよく言われている旧帝大学や有名私立大以外、全てFランク大学であるといった極端なランク分けではなく、私の通った大学は本当のFランク大学です。私立大学 (受験に必要な教科が少ない) であるにも関わらず、偏差値が35付近、そして店員割れが日常です。名前を書けば合格するといったFランク大学あるあるが何も笑えないような大学の出身です。
(自分の大学生活は、また今度詳しく書きます。先日、Fランク大学に入る前に別の大学を中退した記事を書いていますので、見ていない方はどうぞご覧ください。)
私はそのFランク大学を卒業後、地方駅弁大学の大学院へと進学しています。しかし、進学一本に絞っていたわけではないので、大学卒業時にも就職活動を行っていました。そのため、学歴フィルターは非常に身近な問題であり、ずっと気にしていた事象です。

では、ここから詳しく本の内容に。
上述した内容を見て、先に本を読んでみたいと思った方はバックしましょう。

まず、第3章の“上位大学と低選抜大学では何が違うのか”より、“上位大学の学生の就活行動量”のトピック。
このトピックは、正直納得するしかない言葉ばかりであった。「低選抜大学の学生は意欲の面でも上位大学の学生に見劣り」、「就活の行動量、活動量は概して上位大学の学生が多い」といった言葉を見たとき、実際にFランク大学に在籍していた私はみぞおちを何度も殴られているような気持になった。この通りなのである。私が就職活動を始めたのは3年の2月。企業が大々的に選考を開始するわずか1ヶ月前のことである。ただ、私が在籍したクラスの34人のうち、就職活動を始めていたのは私だけだった。Fランク大学とはそのくらいのレベルなのだ。当然、その時期になるとインターンシップや早期選考は終わっている。もちろん、遅くから就職活動を始めたとしても、そこから自己分析や筆記試験の勉強、面接対策はやらなければならない。当然、間に合わない。頭が良くない (低選抜大学に通っている) にも関わらず、時間をかければできるようになることもやっていない。もちろん、企業から良い評価を受けることなく、内定をもらえる時期がさらに後ろ倒しとなり、必修単位の取得や卒業研究・論文にまで影響を与える。就職活動に重きを置きすぎた結果、内定をもらったのにも関わらず、卒業できない学生も珍しくない。

そして、第5章の“「学歴は努力の結果」は本当か”より、“小学校入学前にすでに差がついている”のトピック。
この章では、親の年収や学歴などが子供に影響することを主に述べており、さらにこのトピックでは英国の社会学者による制限コード理論が述べられている。制限コード理論とは親が前提や理由を伝えずに子供の言動を咎めるような行動が代表的なものであり、制限された言葉のみしか発しない (発することができない) ことを指す。それによって、子供は説得力のある会話を親から受けられないために、論理力が身につかず、抽象的な観念も理解できないようである。また、本書では低選抜大学の学生の質問力の弱さはこの制限コード理論に起因するものではないかと述べている。
もちろん、私はFランク大学のクラスメイトの全員の親と話したわけではないので断言はできないが、確かに私が高校生 (高校は県内1、2位を争うような進学校) のときの周りの親と比べると明らかに質が落ちていると実感した。大学生の私たちと同じようなノリ、会話なのである。大人の中には相手のレベルにまで落として、会話を合わせてくれるような人もいるだろうが、そのような感じではないのはすぐにわかる程度のレベルであった。このようなことを言うと批判されるかもしれないが、私のように県内トップレベルの高校を出たあとに、そのような大学に行く人は少ないと思うので、貴重な意見として聞いてほしい

そして、本書でも述べられている論理力と質問力の弱さ。4年生のときに、私たちの学科に東京大学にて博士の学位を取得し、多くの大学を渡り歩いてきた定年間際の教員が来た。その教員が私たち4年生にレポートを初めて提出させたときにレポートの内容に驚愕していた。何が言いたいのかさっぱり理解できない、参考文献がない・個人のサイトを使用している、文章のつながりがない、論理的でない、結論がわからない、中学生のレベルにも達していないのではないか等のことを言っていた。そのようなことを生徒の前で言うくらい、Fランク大学はひどいのである。以前に在籍していた大学の基準で評点をつけると、合格するのは34人中2人、相当甘めにつけて5-6人であると言っていた。また、さまざまな質問がきたが、ほとんどが自分で調べればわかるものや単純な聞き漏らしだと言っていた。レポートの書き方を教えてもらっていない1年生ならまだしも、4年生でもこのレベルに留まっているのだ。論理力は就職活動には大きく関係してくる。グループディスカッションやグループワーク、面接時に論理的に自分の意見を主張しない限り、高い評価を受けることはできないだろう。

最後に、私の主張を書く。
最初に、本書に出てきた低選抜大学に在籍する優秀な人物について。
もちろん、低選抜大学にも優秀な人がいるのは共感する。将来の目標ややりたいことが決まっており、学生のころから目標を定めて突っ走っている人間はいる。
ただ、そのような人間は本当に一握りである。
大事なことなので、もう1度言う。
優秀な人間は低選抜大学には本当に一握りである。

本書の話になぜ優秀な人物の例が出てくるのか。それは珍しいからだ。
まず、低選抜大学に在籍する学生に優秀な人間が多ければ学歴フィルターなるものは存在しないはずだ。珍しいからこそ、本書にも詳細なエピソードと一緒に登場するのだ。珍しいからこそ、就職コンサルタントの福島さんに会いにいっているのだ。珍しいからこそ、有名企業にも内定がもらえるのだ。


勘違いしてはいけないのは在籍する低選抜大学の中で優秀であるだけではいけないことだ。就職活動で競いあうのは自分のすぐ周りにいる同級生ではない。日本中に在籍し、同じ年に学校を卒業する全員だ。もちろん、新卒募集要件に大学卒業程度を求めている会社ならば、すべての大学の学生と競いあう必要がある。そのことを肝に銘じてほしい。

低選抜大学のトップ層に属する学生は、広い視野を持ってほしい。下を見るな、引きずり込まれる。楽な方に行ってしまうな、動け。ひたすらに動け。周りに自分よりも優秀な人物を置け。そのようなことを私は言いたい。
人間はどうしても楽な方に行ってしまうものである。一度大きな目標を立てても、心が折れてしまうことだってある。ただ、そういうときに周りに置いた優秀な人々から遅れていることを実感するだろう。それを見ると頑張れるはずだ。踏ん張らないといけない場面だと気づくはずだ。低選抜大学に在籍している学生には、ぜひ上を見続けながら頑張ってほしい。

学歴フィルターについて、本書では否定的な意見が主に述べられており、その乗り越え方や解決策が述べられている。ただ、私は学歴フィルターには大いに賛成している。私は県内トップクラスの高校→私立・薬学部薬学科 (1年で中退) →私立・Fランク大学→地方駅弁大学修士といった学歴をたどってきた。本書中でも述べられているが、優秀な人間の数は偏差値に比例していることを私も実感している。優秀な人間というのは、単に勉強といった頭の良さだけでなく、論理的思考力や自己主張能力、統率力、忍耐力、行動力など多岐にわたる能力を持つ。それを実際に体感してきたため、フィルターには大いに賛成なのである。ただ、低選抜大学のトップ層の学生には全力で頑張ってほしい。エントリーシート、筆記試験、面接試験すべてで高選抜大学の学生を完全に負かせればいいのだ。ただ、それだけだ。それだけで、道は無限大に開かれる。

以上で、本の紹介を終わります。
ここまで、読んでくれてありがとうございました。
本の紹介とは言ったものの、エピソードを語っているうちに熱くなりすぎてしまいました。
長すぎました。すいません。

では、また。悔いのない人生を。

むこ

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