新型コロナの治療薬はいつ出てくるか

4月になりましたね。
私は今月から新入社員として会社へと通う予定でしたが、とりあえず4月中はリモートワークとなりました。最初からリモートワークなんて、さぼり癖のある自分には向いてないと思いますが、どうしましょう。毎日、ファミレスにでも通いたい気分です。

あと、前回の私のキャリア選択の記事にて、初めてスキをもらいました。
ありがとうございます。励みに頑張ります。
(実験動物関係なのか?就活生なのか?それともただ押し間違っただけなのか?全くわかりませんが、非常にうれしいです。)

さて、今回は話題の内容に突っ込んでいきたいと思います。 (https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200401/k10012361161000.html)
インフルの治療薬「アビガン」 新型コロナ治療の臨床試験開始

記事の中では、6年前に富士フイルム富山化学株式会社が開発した新型インフルエンザ治療薬アビガンが動物を使用した動物実験を終えて、実際に人に投与する臨床試験へと入ったことを報告しています。

まず、この富士フィルム富山化学株式会社とは?
名前の通り、富士フィルムが100%子会社化している製薬会社です。
もとは富士フイルムRIファーマ株式会社と富山化学工業株式会社といった2つの会社でしたが、2018年に統合し、現在の会社となりました。
どちらかといえば、富士フイルムRIファーマ株式会社はハード (医療機器や診断薬等) 、富山化学工業株式会社はソフト (化学薬品) に強みを持った会社でした。
今回、新型コロナの診断薬として期待されているアビガンは、記事中では6年前に同社が開発したと書いてありますが、実際には統合する前の富山化学工業株式会社が開発・販売したものです。

では、この「アビガン」について詳しく見ていきましょう。
(https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med_product?id=00066852)
(http://www.chemotherapy.or.jp/journal/jjc/06505/065050736.pdf)
(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%93%E3%83%94%E3%83%A9%E3%83%93%E3%83%AB)
引用元がはっきりしているため、Wikipediaも引用に使用させていただきます。


主成分はファビピラビルと呼ばれる核酸アナログであり、RNA依存性RNAポリメラーゼ阻害 (後述) の効果を持ちます。インフルエンザ薬として有名なタミフルよりも強い治療効果 (作用機序は異なる) を有し、薬剤耐性 (菌やウイルスが薬物に対して抵抗性を持ち、薬の効果がなくなること) を生じないことがわかっています。またインフルエンザウイルスのみならず、エボラ出血熱ウイルスやノロウイルス、SFTSウイルス等の幅広いウイルスに対する試験・研究も行われており、多くのRNAウイルスに効果があると考えられています。

しかし、「動物実験において、本剤は初期胚の致死及び催奇形性が確認されていることから、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと」が定められています。また、この効能があるために「本剤は、他の抗インフルエンザウイルス薬が無効又は効果不十分な新型又は再興型インフルエンザウイルス感染症が発生し、本剤を当該インフルエンザウイルスへの対策に使用すると国が判断した場合にのみ、患者への投与が検討される」医薬品であると定められています。
(先に言っておきますが、薬に副作用があるのは普通です。無い薬はありません。体内で起こっている反応を薬が変えるので、副作用は起きます。ただ、薬ごとに副作用の大きさが違うだけです。アビガンを人間に投与した場合に初期胚の致死や催奇形性といった副作用が起きるかどうかは明らかとされていません。)

国内ではあまり光が当たってこなかった薬ですね。
あのタミフルよりも治療効果が強いのに、使われていないなんて。
これが新型コロナの治療薬になるかもしれないと考えると、わくわくします。

では、その治療効果を発揮するためのRNAポリメラーゼ阻害とは何ぞや?と思った方もいるのでは。

インフルエンザウイルスなどのRNAウイルスは口や鼻などの粘膜より侵入し、体内の細胞中にてRNA (遺伝情報) を放出します。その後、細胞の核内にてRNAが複製され、ウイルスが生成されたのちに、細胞外へと排出 (遊離) することで 、感染が確立します。 (ただ、感染が確立した場合でも個人の免疫や潜伏期間、感染時期などによって、無症状の場合もあります。むしろ、これがほとんどで個人ひとりひとりが行動を制限しないために感染が広まっているのが今の国内の状況。)

アビガンはこのRNAが細胞の核内にて複製する経路に働くことで、RNAが細胞内、体内で増殖することを防ぎます。ちなみに、RNAポリメラーゼとはRNAが複製するときに必要な転写酵素のことを指します。
他のインフルエンザ薬として有名なタミフルやリレンザは遊離経路に働き、シンメトレルは放出経路に働きます。
つまり、アビガンは他の薬とは違った経路に働いて効果を発揮する新しい薬ということです。それもあって、他のインフルエンザ治療薬が効かない場合のみに使用されることが主な目的でした。

それが先述したように、インフルエンザウイルスだけでなく、幅広いRNAウイルスに効果があると見いだされ、今回は新型コロナウイルスに効くのではないかと注目が集まっているんですね。

加えて、注目したいのが承認までの早さ。世界が本気を出しているのがわかる。

ネイチャーの姉妹誌であるCell Researchに、中国科学院武漢ウイルス研究所などの研究グループが速報論文を発表したのが2月4日。科技日報(科技日报、発行:中華人民共和国科学技術部)によれば、中国国内では2月15日時点ですでに臨床試験が開始された。2020年3月17日には、ファビピラビル (アビガンの主成分) が臨床研究を完了し、正式に有効性を確認したことが科技日報によって明らかになった。

日本国内では、加藤勝信厚生労働大臣が患者への投与を開始したことを明らかにしたのが2月22日。「日本感染症学会 挿管管理を要した3例を含む新型コロナウイルス感染症15例の報告」が日本感染症学会のホームページ上で発表されたのが3月19日。そして、2020年3月28日に、安倍晋三首相が記者会見にて「新型コロナウイルスの治療薬として正式に承認するにあたって必要となるプロセスを開始する」、「多くの国から関心が寄せられており、希望する国々と協力しながら臨床研究を拡大し、増産をスタートする」と発表した。

いや、早い。早すぎる。すごいとしか言いようがない。
記事には6月末まで臨床試験を実施すると書いているが、自分の予想だと遅くとも5月には承認されるのではないかと考えている。これが、表題に対する自分の答えである。
新年度になったために、人の移動や接触者が増加し、ここからさらに感染者数が爆発的に増加するだろう。そのため、有効性や安全性を確かめるためのデータ数はもっと早く集まると考えている。
というよりも、早く承認されなければならない。
諸外国よりも薬の承認が遅いと言われている日本でもできる。
もちろん希望的観測も入っているが、できると信じている。

ただ、私たちはじっと待つしかない。
感染者の明るい未来を願って。

むこ

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