製薬会社と動物実験

先日の記事では、動物実験の必要性を話しました。

現在の技術では動物実験を行わない限り、薬品の安全性や有効性を確認することができないことを言いました。

今回は、その製薬会社の動物実験について話します。

先日の記事でも言った通り、製薬会社はもちろん動物実験から離れたイメージがある方が良いです。 (特に処方箋が無くても買うことのできる、大衆薬を製造・販売しているような会社は)

では、今の製薬会社はどのように動物実験を実施しているのでしょうか?

結論から言うと、子会社や他社との合弁会社を設立するなどの方法で動物実験の受託会社を設立し、その会社へと仕事を流すことで、自社内ではやっていないことがほとんどです。

このような業態をとるメリットは会社のイメージアップの他にもあります。

それは自社で実験動物を生産・飼育、および実験に使用するコストは非常に高く、製薬会社でそのようなコストを負いたくないためです。(後日、詳しく書きます)

ここまでを話すと、疑問に思うことがあるはずです。
では、製薬会社の研究員は何をやっているのだろうか?と。

ここが製薬会社にいる超優秀な研究員の腕の見せ所。
薬理研究や探索研究といったバイオロジー研究、薬物動態研究、バイオイメージング研究といった、いわゆる創薬行程の上流を実施しています。

(詳しくどんなことをしてるのか知りたいと思った方は調べてみてください。)

もちろん、動物を使った安全性試験を行っている会社もあります。しかし、その数は年々減ってきており、動物を使ったin vivoと呼ばれる研究よりも試験管内という意味を持つin vitroと呼ばれる研究を中心に行う会社が増えています。

上記のような研究で「これは、薬になりうるかもしれない!?」と思ったものを動物実験の受託会社へと流します。

受託会社では、実際に実験動物へと投薬することで、動物の体内でどのような反応が起きたか計測し、データを製薬会社へと渡します。そのデータを基に製薬会社は薬の改善等を行います。もちろん、創薬をすることは簡単ではないので、没になるものがほとんどです。

このような流れが創薬の一般的な流れです。(その後は実際にヒトへと投与する臨床試験などに移ります)

以上が製薬会社での動物実験です。

では、もう一度最初の発言に戻ります。

今の技術では動物に投薬しないかぎり、その薬の有効性や安全性を保証することはできません。

私たちがより良い世界を求めるために、実験動物は必要とされています。

ただ、薬を投与する前の研究(製薬会社での研究)は着実に進歩しており、実験に使用される動物の数は年々減ってきています。

これから、技術がさらに発展することを願って終わりにしましょう。

今回も読んでくれて、ありがとうございました。

むこ

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