見出し画像

DVチャラ男の生存戦略

 NHKで不定期に放送している「植物に学ぶ生存戦略」という番組が面白くて、ついつい見てしまうのだが、主演の山田孝之が、アナウンサーの林田理沙を微妙に毎回口説きながら、無視され続けるのがクセになる。

 この番組、ドキュメンタリーのようでありながら、半分くらいはギャグが混じっているので、楽しく見られるのが特徴で、主に植物がどのような戦略を取りながら子孫を残しているのかを学ぶことができる。

 今日はそんな、男と女の生存戦略のお話である。


 さて、私の弟子に「グレグレさん」という可愛いおにゃのこがいたのだが、その名の通りグレグレなので、師匠とは絶縁して久しい。

 解脱者ムコガワは、来るもの拒まず去るもの追わずなので、別に「グレグレさん」が弟子を辞めていなくなろうがどうってことはないのだが、どうも風のうわさではこの10年くらいの間に結婚して、そして離婚したようだ。

 「グレグレさん」というあだなになったのは、当人がそれまで「関わり会いになった人」と毎回トラブルを起こして絶縁=絶交を繰り返してきたからで、それは彼女が女子高生の時から繰り返されている。相手は恋人であったり、仕事上の関係者であったり、あまつさえ師匠である私であったり、気に入らなくなったりこじれると一方的に絶交・バッハハーイ!してしまうのが特徴だ。

 元弟子のことを悪く言うのは本意ではないが、たぶん一種のメンタルヘラーなのではないか、と思う。

 ところで、そのグレグレさんが結婚した相手というのが、茶髪ロン毛のチャラ男だったようだ。よくは知らない。風のうわさである。

 そして、彼はDV男かモラハラ男だったようで、結婚生活は破綻に向かったという。知らんけど。

 まあ、こんな話は別に取り立てて書かなくても、そこらへんによくある話なので、グレグレさんがどうなるかは知らんが、まあそういうこともあるさと受け流しておこう。

 おまけにこの夫婦の場合は、「DVモラハラ」対「メンタルヘラー」の戦いなので、どっちもどっちの感が否めないからである。


 ところが、もう少し視点を広げてみると、うちの奥さんのいとこが、「無職DV男に捕まって結婚したけれど離婚した」とか、似たような話をあちこちで聞く。ツイッターには別れた旦那の愚痴が今日も今日とて溢れているし、モラハラ夫(元・現)に苦しんでいる妻の恐怖や怒りも、あちこちで渦巻いている。

 そしてもっと恐ろしいことに、そうした現夫婦や元夫婦の間には、息子や娘が生まれていて、彼らを巻き込んでの大騒ぎが繰り返されているのである。まあたいていの場合、こどもは母方に引き取られ、DVチャラ男たちは、次の女性とくっついて、子孫を再生産しているようである。歴史は繰り返すのだ。

 グレグレさんのところにも子供がいたようだが、さてどうなることやら。


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 この「DVチャラ男と生存戦略」というテーマを山田孝之のようにじっくり観察して考えると、実によく出来ていることに気付かされる。

 その昔、学生時代のムコガワはどちらかと言えば陰キャだったので、校内で陽キャカップルがいちゃこらさっさしているのを横目に、「どうしてあんなチャラい男に、あの子はホイホイついていってしまうのだろう。ワシのほうがはるかに誠実で、良き男なのに」と思っていた。

 しかし、いかに良き男であっても、陰キャでおとなしめで教室のすみっこ暮らしであるワシは、おなごをゲットすることはできず、当然ながら童貞だったのは、言うまでもない。


 とまあ、陰キャとか童貞とか、ギャグを交えて書いてみたが、これは実に大きな問題であり、「誠実で良き男の遺伝子」よりも「チャラ男DV野郎の遺伝子」のほうが、現実社会ではたくさん残されていることに気付かされるのだ。

 世の中には、「穏やかで優しい童貞」が数多く在庫されているのに、恋愛市場に出てきてマッチングされるのは、常に「そそり立つヤリチン男」のほうである。そして、後者ばかりの遺伝子が伝達されてゆくという実態があることに、誰も疑問を抱かないのである。

 生存戦略で言えば、「DVチャラ男」は、実に上手に遺伝子を残してゆく。

◆ 最初だけ調子のいいことを言ったり、見かけだけよさげに振る舞う

◆ 結婚して子供が生まれたら、DVやモラハラで、自分中心に振る舞う

◆ 離婚して養育費も払わず、逃げてしまう

◆ また次の女性に、調子のいいことを言いながら近づいてマッチング

◆ その繰り返し


 この結果、DVチャラ男は実にコスパよく遺伝子を残し、心優しい非モテ童貞たちは、絶滅してゆくのである。


〜〜〜〜〜〜〜〜


 これと似たような話に、「フェミニスト女性の非出産」というのもある。女性の権利向上や男女平等を説くフェミニスト女性の多くは、結婚や出産をせずに一人暮らしで老いてゆくことがあるので、次の世代に「フェミニストに育てられた、女性を大切にする男の子」が生まれない、という大問題である。

 多くの場合、「女性を大事にするフェミニストカップル」よりも、「女性を大事にしないチャラ男ヤンキーカップル」の方が、子供を産む数が多いので、ひと世代進むと、「オラオラヤンキー男子」のほうが必ず増えるという問題が生じるのだ。

 当然、DVチャラ男系遺伝子のほうが、世にはびこることになるだろう。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 この世代交代上の不具合をどうしたらいいのかは、ジャングルに住むとある部族の習慣が解決のカギになるかもしれない。その部族では、赤ちゃんが生まれたら母親は「その子を生かしておくか、殺してしまうか選択する権限を持っている」という。

 これを文化人類学上は「嬰児殺し」と呼ぶが、DVチャラ男の遺伝子の伝達を阻止するためには、騙された女性は子殺しをすればいいのかもしれない。(ああ、恐ろしい)

 まあ、そんなことを書いてはみたが、子殺しは許されないので、DVチャラ男の遺伝子は今日もいっそう蔓延(はびこ)ってゆくのである。


 しかし、それでは事態は全然解決しないことが明白である。フェミ女子は遺伝子を残さず、チャラ男は遺伝子を増やしつづけるのであれば、世界はどんどん男尊女卑になってしまうが、解脱者ムコガワ的には、

「男尊女卑社会は、そうやって出来てきたのではないか?」

くらいには思っている。けれど、それではマズイ。

 では、どうしたらいいか。DVチャラ男はDVチャラ男のまま、なかなか治らず、次から次へと遺伝子を振りまき続けるだろうから、それを上回るスピードで、「心優しき誠実な男」たちが頑張ればいいのである。

 それでも、彼らは本来ならば陰キャなので、女の子と会話することすらおぼつかない。でも、それではダメなのだ。人類のため、地球のため、男女平等の世界を実現するために、

「陰キャ男は、女性を口説くべし」

というのが正解なのである。

 そうしないと世界中がDVチャラ男ばかりになってしまうのだから、これは正義の行いである。

 さあ、リピートアフターミー。

「今日も素敵ですね。」

「髪型変えたんですね」

「今度お食事でもご一緒しませんか」

「好きです!」

声が小さい!もっと笑顔で!そんなんじゃ童貞を卒業できないぞ!


(ちゃんちゃん)






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?