貼付の読み方は?〜古典を勉強していてよかった〜
先日、知人のSNS投稿を読んでいてふと気になったことがありました。
それはズバリ「貼付」の読み方
おそらく、
①ハリツケ??
②テンプ??
③チョウフ??
の3つの読み方が頭に浮かぶと思います。
(②か③、あるいは両方を知っている方は①は浮かばないかもしれませんが、知人の大学生に聞いたらハリツケ??と返ってきたので選択肢にいれました。)
さて、みなさんのお答えは??
↓
↓
↓
こちらの答えなんですが、②と③どちらも正解と捉えていいようです。
その根拠を説明します。ちなみに参考文献として、
『精算版日本国語大辞典』
『大辞林 第四版』
『大辞泉』
『明鏡国語辞典 第三版』
『新明解国語辞典 第八版』
『三省堂国語辞典 第八版』
を引いてみました。
(上記はiPhoneの物書堂アプリのものです。以下、辞書名が出てきた場合も上記アプリからの引用です。また、全ての国語辞典の内容の引用も考えましたが、著作権法上の引用の範囲を超える可能性があったので1冊のみの引用に留めました。)
その結果、先述のアプリの国語辞典のいずれもに「チョウフ」・「テンプ」両方の見出し語がありました。
(見出し語は平たく言うと辞書で引く時の単語)
※『精算版日本国語大辞典』には「ハリツケ」の読み方もあったことを追記します。
さて、表題に戻ります。なぜ、古典を勉強していてよかったのか、
それは「チョウフ」が「テンプ」とも読まれるようになった過程によります。
『新明解国語辞典 第八版』で「貼付」(テンプ)の項目に次の記載がありました。
テフと書いたチョウと読む…
どこかで聞いたことありませんか??
中高生の国語の授業を思い出してみてください。
3
2
1
蝶の読み方は(古文では)
「テフ」でしたよね。
「てふてふ」と書いて「ちょうちょう」と読むと初めて聞いた時にとても驚いたのを約20年経った今でも鮮明に覚えています。
「けふ」と書いて「きょう」と読むなどもありましたね。
ここで、先程の『新明解国語辞典 第八版』の引用部に戻ります。
多くの人はなんの違和感もなく「貼付」を「テンプ」だったり「チョウフ」だったりと読んでいると思います。
しかし、古典を学び直した上で、改めて「貼付」の読み方を考察すると、上記のような、「貼付」の読み方についても説明が容易くなり、疑問を持たれやすい古典を学ぶ意義をほんの少しでも感じ取ることができるのではないかと感じています。
もちろん、「貼付」の1単語のみで古典を学ぶ意義を説明できたとは1mmも思っていません。しかしながら、古典を学び「てふてふ」を「ちょうちょう」と呼ぶという知識からこの記事の着想を得て、執筆しております。読者のあなたの古典を学ぶ・学び直すキッカケに本記事がなっていましたら幸いです。
そんな「貼付」の読み方の謎に迫った私ですが、実は大学時代に日本語日本文化専攻に所属しておりました。
卒論は「ら抜き言葉」とも関係のある可能動詞の歴史を選択しましたが、大学を卒業して約10年経った今は、大学時代に叶えられなかった10月の日本語教育能力検定試験合格に向けての学び直しを始めています。
今回の企画を機に一層、学び直しに力を入れて頑張りたいと思っていますので、応援いただけましたら幸いです。
※多くの単語の語源には諸説あり、前述の内容だけが理由かと問われて「貼付」の読み方について100%確証は持てませんがあくまでも『新明解国語辞典 第八版』を踏まえた私の考えです。
追伸:ハッシュタグに「正しい日本語」という単語を入れましたが、「正しい日本語」は状況によって異なるので、一意に定まらないのが私の考えです。例えば、NHKのニュースで話されている日本語が「正しい日本語」と仮定するならば、1000年前の日本語や各地の方言は「正しい日本語」では無くなってしまう可能性があります。「正しい日本語」という「正しくない日本語」を使えばある程度バズらせることができることについて、こちらのnoteをきっかけに改めて「正しい日本語」ついて考えたり、学んだりしていただけましたら幸いです。
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