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正社員なのに派遣先へ!?無期雇用派遣に要注意


始めに

皆様、こんにちは。
早速ですが、現在、正社員として入社をしたにも関わらず、他社に派遣をされてしまうという方が多数いるという事実をご存知でしょうか。これだけ聞くと意味が分からないと思います。そもそも派遣は有期雇用であり、正社員は無期雇用です。にも関わらず、なぜ正社員が派遣されるのでしょうか。
実は、近年の人材派遣会社は正社員として派遣社員を採用しています。いわゆる無期雇用派遣(正社員型派遣)というものです。この言葉自体に聞き馴染みがないということが大半を占めると思います。今回は、そんな無期雇用派遣と、その実態について解説します。

そもそも無期雇用派遣とは何か

派遣社員と言えば登録型の派遣を想像する方が多数だと思われます。
これは、派遣会社に登録をし、自らが選択した派遣先で有期雇用で働くというものです。こちらは世間一般でも知名度があり、働き方の選択肢の一つとして名前が出ることも多いです。
では無期雇用派遣とは何なのか。これは派遣会社に無期雇用をされ派遣をされるという雇用形態です。無期雇用という言葉で勘違いしてしまう方もいますが、派遣先と無期限で雇用契約を結ぶわけではないため、登録型派遣同様派遣切りをされる場合もあります。
なお、ほぼ同じ意味を持つ言葉として正社員型派遣常用型派遣といったものもあります。

登録型派遣と無期雇用派遣の違い

登録型派遣と無期雇用派遣の大きな違いとして、給与面が挙げられます。
登録型派遣の場合は給与が自給制ですが、無期雇用派遣の場合は給与が月給制で賞与(ボーナス)や昇給も存在し社会保険も完備されています。
また、派遣元と無期限で契約を結んでいるという点もあります。
登録型派遣の場合ですと、派遣切りになった場合そのまま終わりですが、無期雇用派遣の場合は派遣切りをされても、次の派遣先を派遣元の会社が探します。

無期雇用派遣はおすすめ?

先に言っておきます。絶対におすすめしません。
先程までの話ですと、無期雇用派遣は悪くないようにも思えますが、実態はデメリットだらけです。その理由を今から解説します。

おすすめしない理由

その1:一般企業の正社員と比較した時の優位性が皆無
先程、無期雇用派遣は登録型派遣と違い賞与と昇給があり、社会保険も完備されていると記載しました。しかし、冷静に考えてみてください。賞与と昇給があるのは無期雇用派遣だけではありません。
そう、一般企業の正社員でもこれらは存在します。(賞与はない場合もあり)
無期雇用派遣会社はよくこの点をアピールしますが、それは登録型派遣と比較した時の優位性であり、正社員と比較した時の優位性ではありません。

その2:結局派遣であることに変わりはない
無期雇用派遣というのは'自社では'正社員としての扱いを受けます。しかし、それは派遣元だけの話であり、派遣先へ行けばただの派遣社員です。
というのも、登録型派遣であろうと無期雇用派遣であろうと、働く場所は自社ではなく派遣先です。派遣先の企業からすれば、登録型派遣か無期雇用派遣かなんてどうでも良いので、どちらにせよ派遣社員としての扱いを受けてしまいます。派遣先企業の業績が悪化するなどした場合は派遣切りをされることもあります。

その3:単純作業が多い
派遣社員というのはコアな業務というものを任されることが少ない
です。
確かに新卒での入社直後であれば、一般企業の正社員でも簡単な仕事からでしょう。しかし、派遣社員の場合はそれが永遠と続きます。1年程度ならまだしも、30歳を超えても簡単な業務の経験しかないと、転職は絶望的です。それどころか派遣先すら見つからなくなります。
無期雇用派遣で派遣先が見つからなくなった場合、退職を勧められることもあります。しかし、大したスキルがなく、年齢だけ重ねた人間を雇いたがる会社はそうありません。結果として失業してしまうリスクがあります。

その4:給与の水準が低い
無期雇用派遣であれば昇給が存在し、賞与が出るケースもありますが、一般企業の正社員と比較をすると、圧倒的に少ないです。
理由は単純明快で、年数を重ねてもコアな業務を任されることが少ないからです。
普通の正社員であれば、最初は簡単な仕事でも徐々に重要な仕事も任され、それに伴い給与も上がっていきます。しかし、簡単な作業ばかりを行っている無期雇用派遣社員の給料を大幅に上げられますか?答えはNOです。酷い場合ですと、上場企業にも関わらず平均年収が300万円台なんて派遣会社も存在します。

その5:派遣先を選べない
なんと無期雇用派遣は登録型派遣と違って派遣先を選べません。個人的には、これが最も大きなデメリットです。
東京都23区で働けると聞いていたのに、車が必須のような田舎に派遣された。大阪府で働けると聞いていたのに、東北に派遣をされた。9:00~18:00と聞いていたのに、夜勤をさせられた。そんなことが普通に起こりえます。挙句の果てには、自分が希望していた業種に関係のない派遣先に派遣されることもあり、事務職を希望していたのに、工場に派遣をさせられた。ITエンジニアの仕事と聞いていたのに、コールセンターに派遣をされた。そんな事例も報告されています。

求職者を騙して入社させる悪質な実態

ここまで、無期雇用派遣はおすすめしないという話をしてきましたが、更に悪質な実態があります。それは、近年、無期雇用派遣社員を募集している派遣会社が、派遣であることを隠して募集をしているということです。
求人票の雇用形態に「無期雇用派遣」「正社員型派遣」などと堂々と記載をしているのならよいでしょう。
しかし、現実はそうではありません。大手の就活サイトや転職サイトを見てみると、明らかに無期雇用派遣社員の募集であるにも関わらず、堂々と雇用形態に正社員と記載をしている求人が多くあります。

何がそこまで問題なのか

派遣の求人であるにも関わらず、正社員と記載すると何が起きるのでしょうか。
そう、正社員としての進路を希望する方も派遣社員になってしまうのです。
大手の技術派遣の会社ですと、毎年500人を超える大量採用をしている場合もあります。そのため、大手の技術派遣会社に新卒で入社した人数だけでも、毎年軽く5000人は超えています。中小企業まで含めていたらきりがありません。
このうち、派遣社員としての進路を希望して入社した方がどの程度いるかは分かりません。しかし、無期雇用派遣の実態を知っていたならば、わざわざ新卒でこの雇用形態を望む方は非常に少ないでしょう。

手口が巧妙

「普通に調べれば、無期雇用派遣に騙されて入社することなんてあるの?」
こう思われた方も中にはいらっしゃると思います。しかし、無知な就活生が下記のような内容の求人票を見たらどう思うでしょう。
・上場企業
・社員数5000人以上
・月平均残業時間15時間
・年間休日125日(完全週休2日制)
・研修充実

これだけ見ると、ぱっと見は優良企業に見えます。
しかし、実態は以下の通りです。
・上場企業→派遣先が上場企業な訳ではない
・社員数5000人以上→毎年のように大量採用しているため
・月平均残業時間15時間→派遣先により異なる
・年間休日125日(完全週休2日制)→派遣先により異なる
・研修充実→自社での研修が派遣先で役に立つかは分からない

実態を知ることさえできれば騙されませんが、無知な就活生であれば簡単に騙されてしまいます。実際、私も危うく騙されるところでした。
ホワイト企業に見える求人票でも、実態は無期雇用派遣ということはざらにあります。

見分け方

労働者派遣事業の許可番号を確認する

表向きでは派遣であることを隠していても、一発で見抜く方法があります。
現在の日本において、人材派遣業を行うには国に許可を取る必要があります。そのため、労働者派遣業の許可を取得した企業には、以下のような番号が与えられます。
派01-234567 (あくまで一例です)
この番号が求人票に記載されていないケースも多々あるため、その際は会社ホームページの会社概要や沿革のページを確認するようにしてください。しかし、悪質な会社の場合は、会社のホームページにすら記載がない場合があります。その場合は下記のサイトで会社名を検索してください。

人材サービス総合サイト - 労働者派遣事業所検索・一覧 (mhlw.go.jp)

こちらのサイトは、厚生労働省が提供しているサイトであり、大手企業から零細企業まで、労働者派遣事業の許可を取得している全ての会社を検索することが出来ます。ここに記載があれば、求人票やホームページにどれだけ良いことを宣伝していても、実態は派遣会社ですので、派遣社員になりたくない方は入社をしないようにしましょう。

求人票に注目する

労働者派遣事業の許可番号さえ確認すれば基本的には大丈夫ですが、その他にも判別する方法があります。それは求人票です。というのも、無期雇用派遣の求人票は、特徴があります。勤務地や勤務時間、年間休日の項目に、
・プロジェクトにより異なる
・就業先により異なる
・お客様先により異なる
・配属先により異なる
・配属先に準ずる
などといった文言が記載されていれば、ほぼ確実に派遣会社です。

そもそも勤務地が曖昧な会社は転勤が多い可能性があり、年間休日が曖昧な会社は休日出勤が常態化している可能性があるため、派遣会社でなくとも避けるべきです。

甘い言葉に注意する

派遣会社は新卒を採用する際に、無知な就活生、特に内定先が決まらない状態の学生が惹かれるような文言や、派遣会社であることを隠し、メーカーであるかのような文言を多用します。具体的な例は以下の通りです。
・未経験からでも、エンジニア(技術者)になれる
・生涯エンジニアとして働ける
・プロ技術者集団
・技術派遣
・アウトソーシング事業
・業務支援
・文系、理系や、留年回数を問わない
・スピード選考実施中
・面接1回で内定
・志望動機不問
・やりたいことが無くてもいい

志望動機不問ですとか面接1回で内定とか冷静に考えたら怖すぎます。
求人票にこのような記載がある会社は、派遣会社でなくともブラック企業である可能性が非常に高いと言えますが、100人に1人でも引っかかればいいという精神で募集をしているのでしょうね。

最後に

いかがでしたでしょうか。ここまで長々と書きましたが、この記事で伝えたかったこととしましては、
・無期雇用派遣はやめた方がいい
・派遣であることを明確に告げずに募集をしている
・無期雇用派遣を避ける方法

主にこの3点です。
派遣社員になりたくないという方は、くれぐれもご注意ください。大手の就活サイトにも当たり前のように潜んでいます。
しかし、中には「派遣社員としての働き方が自分には合っているから、派遣社員になりたい」という方もいらっしゃるでしょう。そのような方は、無期雇用派遣ではなく登録型派遣を利用することを強くお勧めします。
ここまでご覧くださりありがとうございました。



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