整骨院のエコー使用の法的問題と解釈、普及における問題点について公的機関への取材をもとに検証してみた
最初に
この記事は最後まで無料で読めます。
なんでこんなことになってるかの推測と妄想を文末に1500文字くらい書いてあるので、そっちを見てみたいもの好きな人は購入していただければ見ることができます。
では、どうぞ。
まず最初に言っておきたいのが、私はエコー否定派でも撲滅派でもありません。
また、それをもとに特定の個人や団体を非難する意図は一切ございません。
使い方間違えると界隈全体にダメージが来るのでうまく使ってほしいというスタンスです。
そこを雑にやって死んで来た界隈だと思うので、そこを踏まえてほしいなってとこです。
実際こういうツイートしたのですが、二個目のハッシュタグ、うまくやりなさいが全然刺さっていない印象で、法令違反だガーっていってるぜあいつで終わりそうな悪寒がしたためにもう少し掘り下げていこうと思います。
長い文章を読むのが苦手の方へ
最悪途中で変な解釈されてもこまるので、最後のまとめと、その一個前の厚労省見解のところだけ読んだらわかるようにしてあります。
目次をクリックしてみてください。
エコーの圧倒的利点
・損傷の状況がわかりやすい
・施術・評価の制度が飛躍的に上がる
・結果患者さんの役に立つ
という点で非常に有用です。
状況の把握が容易であれば、経験がある先人たちが推測で行っていた評価を、かなり客観的な状況で行うことができる、習得してしまえば整骨院でやっていいかどうかという状況の判断ができるという意味で、ある意味魔法の器械です。
では、実際使用をしていいかどうかという部分になります。
エコーを使っていいの?
これ自体は、使っても違法ではないという見解になっています。
機械の販売元のサイトにも記載がありますし、柔整ホットニュースのほうからも同様に記載があるのですが、
柔道整復師の施術現場における超音波観察については、平成15年9月9日に厚生労働省医政局医事課長通知が「柔道整復師が施術に関わる判断の参考とする超音波検査については、柔道整復の業務の中で行われることもある」との見解を出しました。
また、平成22年12月15日の厚生労働省医政局医事課事務連絡でも「柔道整復師が施術に関わる判断の参考とする超音波検査は施術所で実施しても関係法令に反するものではない」ことが示されております。
というわけで、厚生労省公認だ!認められた権利だ!って界隈はなりがちなのですが、一回冷静になってみましょう。
検査を実施しても法令違反ではない
ということが明示されていますが、使用をしても違反ではないだけです。
おおっぴらに使っていいとかは全く言われてません。
施術にかかわる判断の参考とする超音波検査は施術所で実施しても関係法令に反するものではない
というだけです。
施術にかかわる判断の参考にするのは差し支えないという意味です。
この表現で何が問題になるのか、という部分について界隈では楽観視しすぎているように感じています。
エコーを使う際に引っかかってくる法律
医師法、主に診断権が立ちはだかります。
エコーは超音波を使った画像検査機のため、診断の領域に引っかかってきます。
では診断というのはどういう状況でしょうか?
誰がググっても出てくる診断の項目にはこうあります。
医師は仮の推論をし(医師の心の内で、いくつか仮説をたて)、必要と判断すれば、仮説のしぼりこみや 特定の仮説の妥当性を検証するために、あらためて診察や追加の検査を行う。
この段階で行われる検査はたとえば血液検査、検尿、検便、心電図、エコー、唾液検査、呼気検査、膝蓋腱反射の打診などである。またレントゲン検査や、現代の先進国ではCT・MRI検査などが行われることもある。
ありきたりの症状であれば簡単に最終的な判断を得られることもある。医師は医学教育を受けた時点ですでに、ありきたりな症状ならば症状から病名候補を想起できるよう教育を受けており、即座にそれを候補として挙げ(心の内で)検証を行う。また症状から疾病の候補を検索するためのデータベース的な文献も出版されており、医師はしばしば診察室のデスクの棚にそれを備えており、比較的珍しい症状ではそれを助けとする場合もある。だが、珍しい症状や、通常では起こりにくい症状の組み合わせなどを見つけた場合は、複雑な推論をしなければならない場合がある。診断は、場合によっては、(まるで推理小説の探偵やCSIの捜査員のように)断片的な情報から隠された原因や過去の原因を推察・推定する作業になる。したがって診断は一直線に進まない場合があり、(途中まで医師が心の内で強く支持していた)仮説が間違っていたと判断して放棄せざるを得なくなる場合もあり、新たに別の仮説を検証するために、患者に対して特殊な質問を投げかけてその返答内容を吟味したりあるいは新たな検査を追加するなどして仮説を検証する、などといった作業が何度も、複雑な過程で、繰り返されることがある。
診断には推論が入り、推論は誤ることがあるので、診断は誤る場合がある。診断を誤ることは誤診と呼ばれる。医師が行っている診断のうち約10 - 30 %ほどが誤診だと各種調査によって明らかになっている(数字は調査ごとに異なる)。
診断の中にエコーという記載がありますね。
本来は診断行為に含まれるという解釈が成立します。
なお、整骨院、というか柔道整復師に関する法律である、柔道整復師法ですが、診断についての記載はあるでしょうか?
一個だけありました。
免許登録の際に医師の診断書が必要ですという記載が一つだけ。
診断権を(一部でも)付与するという記載はどこにもありませんでした。
ただ、施術判断の補助として使ってもよいと。
ということは、エコー使ってますって言うのを外部に言っていくこと自体がだめですよねって言う話になります。
つまりどゆこと?
国的には柔道整復師の判断精度が向上することは、患者側からしてメリットの方が大きいのおで、補助として使う分には違法とはしないというスタンスです。
これってめちゃめちゃでかい話で、かなり好意的な対応と言えます。
だって厳格運用してたら、使用の時点でアウトですから。
実際レントゲンは使用不能です。
あくまで使う分には違法にしませんよ、これだけです。
これにより、柔道整復師の外傷処置という活動をするにあたって非常に役立っております。
代表的なのはゲレンデ接骨院でしょうか。
医師が派遣できなかったり、手術以外の整復(骨折や脱臼をもとの位置に戻す施術)という部分で、元々外傷に対する医療資格であるところの接骨院の活動余地が大きく、その際の判断の補助として非常に有用です。
そういうところでの活動の成果が、こうした行政の好意的な反応を引き出している一因だとしたら、先人たち、また現在も最前線でやられている方々に対しては尊敬の念しかありません。
余談ですが、ゲレンデ接骨院の場合、都内で骨折した人がわざわざゲレンデまで行ってエコーで診てもらおうとはならないので広告としても成立しにくいので、広告違反の要件は満たしにくいと思います(思うだけです)。
では、ゲレンデでも何でもない、一般の街中の整骨院、接骨院で使った後の判断を患者さんに告げてしまったらどうでしょうか?
がっつり診断ですよね。
診断はだめなのでこの行為はNGです。
ではサイト掲載はどうでしょうか?
当院ではエコー使ってますって書いてあれば、患者さんからすれば、診断してくれるところっていう認識になる場合が当然あります。
この段階で診断権を侵害しています。
これらを踏まえると、
診断権に抵触しない範囲でひっそりと使うことになるけれども、患者さんの役に立つことであるから、法律に気を付けて使って行きましょうというのが常識的なラインだと思いますが、SNSやサイト上の表記をみていると、どうもそうでもなさそうなのが現状です。
ルールの拡大解釈をしている現在
施術のため、患者さんのためなら使っても差し支えないよレベルのものを、広告として活用しだしています。
なんか診断名も明言してるので、はっきり診断目的で使ってしまっている感じです。
こうなると実質診断してるアピールと同義になってきます。
そして患者さん側にもがっつりアピールしてる形跡がぽろぽろ出てきて、患者さんの中にも、整骨院でエコーを使う=診断というイメージで伝わっています。
そして当然イカレた整骨院も出てきます。
診断権や吹聴がよろしくないというのが伝わってないと、どの業種にもいますが、やっちゃう人が出てきます。
これを個々の問題で片付けてしまうとよろしくなくて、こういう話にデジャブを感じる方もいるかと思うのですが、自費移行のコンサルや交通事故云々コンサルにオミマイされた方々が使っているテンプレと同じ道なんですよね。
しかも交通事故系のアレよりも勘違いしやすい要素として、自分たちの分野の外傷ゾーンかつ、そこに対して真摯に勉強されている方が、法的知識が充分ではないまま突っ走っているので、疑問を抱かない可能性が高いという危惧があります。
実際、導入してSNS投稿してる人、広めようとしている人双方、特に後者の側が、現状広告できないのでそこは気を付けようという注釈をつけているケースがほぼみられないのは恐怖でしかありません。
※実際はオフラインでしっかり伝えていて、聞いた側が暴走しているだけの可能性もあります。
そうでなければ、
・広めたい側が現在処分うけてないから今のうちに広めてしまえ作戦
・広まっているという既成事実を作ってからルールを変えていけ作戦
なのかもしれません。
これである場合、柔道整復師=輩というイメージが定着するリスクをはらんでいるため非常に危ない橋ですよね。
だって、現状のルールがおかしいから従いません、ほら、患者さんも支持していますって手法は法治国家でとってはいけない行為なわけで、窃盗だったり刑事罰該当行為でも、理論上現実が即してないって、主張した側が勝手に破っていい法律なんてないわけですから。
※もちろんより破ってはいけないものなどの優先順位はあります。
さらに言えば、パワープレイがワンチャン成立する条件として、その業種や産業が上昇期、成長期にある場合は、多少のゆがみに目をつぶってもってことがあり得ますが、整骨院等は残念ながら現状斜陽産業です。
落ち目の業種のパワープレイを容認する下地はかなり弱いと言えます。
ここまでのまとめ
つかえる使えないで言えば使える
広告もアピールもダメ、知った内容を患者さんに告げてもSNSに載せてもダメ
患者さんに診断と思われてる今はかなり危険
カリキュラムに組み入れられてるからいいんじゃないの?を考察
エコーの誇示に楽観的な方の中には、養成機関のカリキュラムを引き合いに出す方もいるかもしれません。
平成27年12月から翌年9月にかけて厚生労働省にて柔道整復師学校養成施設カリキュラム等改善検討会が5回開催されました。本検討会では国民の信頼と期待に応える質の高い柔道整復師を養成するため、カリキュラム等改善などを行いました。
追加カリキュラムの一つに、「柔道整復術適応の臨床的判定(医用画像の理解を含む)」があります。2単位30時間を使い、柔道整復術の適応で得た知識を活用し、臨床所見から判断して施術に適するケガと適さないケガを的確に判断できる能力を身に付け、また、安全に柔道整復術を提供するために医用画像を理解するためのカリキュラムを追加しました。
施術に適するケガと適さないケガを的確にきちんと判断できる能力が身に付けば、適さないケガに関しては適切な対応すなわちそのケガに適した医療機関への紹介が行えます。
柔道整復師の超音波観察装置(以下、エコー装置)の使用については、すべて「患者安全」「医療安全」の観点からのものであります。
こちらから引用
画像理解を深める目的で、カリキュラムにエコー関連が組み入れられている=エコー使用が大っぴらに認められた!って言うロジックです。
しかしここにも、エコー診断が認められたとは一言も書いてありません。
現に、国家試験でレントゲンに関する設問は以下のものがありました。
https://www.jusei-news.com/gyoukai/feature/2018/12/20181201.html
こちらの問96、正しいのはどれか。
1、柔道整復師は診療放射線技師の資格を取れば施術所内にエックス線装置を設置できる
2、医師、歯科医師及び臨床放射線技師でなければ放射線を人体に照射できない
3、診療放射線技師はレントゲンを読影して診断できる
4、柔道整復師は医師の同意を得ればレントゲン写真を読影して診断できる
答えは3なんですが、つまり診断は出来ないというのが明記されています。
エコーに関しても、判断補助という使い方は違法ではないと記載があるのみで、診断を許可するとは書いておりません。
あくまで施術判断の補助装置として使ってね、ということから一歩も進んでいない状況です。
https://www.jusei-news.com/gakusei/feature/2019/07/q.html
こちらの問題の問40にも、レントゲン診断は医師法違反と回答になっています。
エコーだけオッケーって言うのはないと考えたほうがよいでしょう。
そもそも、落胆する必要はあるのか
元々診断権を持っていないというのは、国家資格を取る過程で全員が理解している内容であり、学生の方もこれから知っていく内容になります。
そこを厳密に当て込んでいけば、エコーは使用すらダメってなってもおかしくはありません。
ここまではOKですよね?
実際は使ってもよいまでは行きませんが、使っても違法ではないと、かなりいい感じの見解が出ているわけです。
施術精度向上のために使っても違法ではないんだと、十分役に立つ機械なわけです。
レントゲンよりも圧倒的にいい環境なわけですよね。
なんでそこにオマケを求めるのかという話です。
どんどん使って行きなさいとまではいかない状況なわけですから、ひっそりと使って患者さんの役に立つ、信用を得る、より高度の施術を行う、これでいいじゃないですか。
何故ついでに自分の利益にしようとするのですか?
その思考が先人の不正請求を生み出し、交通事故専門院を作り出してきたわけなのに、
不正請求・・・許せない
交通事故専門院・・・おかしい
ってなってる現在のわれわれが、
エコーはどんどんアピールしていこう!
ってなるのは矛盾です。
上の二つと変わらない行為というのは認識しておくべきだと思います。
広告やりすぎたとかそういうレベルではないです。
医師法違反の可能性がある行為なのですから。
そこさえ気を付けて使えば院に置いておいて、誰かが違法だって言ってきても、サイトにも誇示していなくてSNSでもアピールしてなければ、言いがかりとして無視できるじゃないですか。
現在の環境であればそうやって活用できるじゃないですか。
もう一段階扱いが悪くなると、所持自体が問題になってくる可能性があります。
それでよいのですか?
厚労省見解
過去二回厚労省見解を質問した記事を書いています。
https://www.soukashi-keyakinomori.com/1599-2/2018/10/05/
https://www.soukashi-keyakinomori.com/echo/2018/12/21/
今月頭にも別件で問い合わせたついでに聞いてみました。
※大体ついでで聞いてるので不定期です。今回は償還払い回りついでに聞きました。
主に聞いた内容としては
1、去年おととしにも聞いたのですが、エコーを整骨院に置いた場合、それをサイトに載せたり、SNSでエコーで診たぜって旨を投稿しても大丈夫ですか?もしよいならやりたいのですが
2、エコー設置、使用自体は違法ではないですよね?
3、クローズドコミュニティや、あくまで勉強として、患者さんが診断してると誤認しない部分で、患者さんがいないところで勉強としてエコーについて語ったり、画像を共有してかまいませんか?
です。
以下回答
1、ダメです。これについては見解が変更したことはありません。あまりに運用がひどい場合は強めの規制がかかる可能性もなくはありません
2、違法ではありません。
3、それは差し支えありません。
とのことでした。
ご査収ください。
まとめ
エコーは使っても違法ではありません、施術補助として多いに活用しましょう。
ただ、それを広告したりアピールして良い地合いではないので、そこは良識をもって運用してください。
逆に、アピールのために導入しようとしてる人は、はめ込まれてますから注意です。
今から学生時代にカリキュラムで勉強できる学生がめっちゃうらやましい
ここから有料パートになります。
現状を推し進めていった場合の予測を書いております。まあ妄想の類かもしれませんが、駄文にお付き合いいただける方、読む気はないけど役に立った方が買っていただければ幸いです。
実はエコー診断OKの内諾を得ている説を妄想してみる
エコー広めようぜ活動をしている人の中には、多様な人がいますが、全員が感情的なパワープレイヤーではないと思います。
となると、実はエコー診断に法案関係を改正する方向で動いていて、内諾を得ている説(またはそれを誰かがこっそり吹聴している)があるのではないかもしれないと妄想してみます。
ただそうなると、通常まともな人間が推し進めているなら実施前に事故が起こるとやなのでこっそりやれって話になりそうなものなのですが、実績のない柔道整復師にやらせる移行期間としてとりあえずやらしているというアレになっているなら話は変わってきます。
エコー使用実績自体を作ったほうが医師も納得しやすいというロジックを用いたりして普及していってるのでしょうか?
そうじゃないと誰も普及側の人間がたしなめない違和感が説明つかないんですよね。
そこまで誰も考えられないような人しかいないわけじゃなかろうと。
純粋にコンサルの言いなり説
単にコンサルの言いなり説で考えてみます。
治療院界隈に来るコンサルの質は大体お察しのことが多い(自分調べ)のですが、界隈の人をいい気分にさせるのだけが異様にうまいのか、いつも乗っかってる人がいるように思います。
○○専門とか、交通事故のアレとか、自費移行とか、後は口コミのあれとかですね。
この場合の問題点はシンプルで、いつでも梯子は外されるよってことです。
直近だと交通事故で見てみましょうか。
おおむね弁護士付けましょう!でテンプレのように相談無料をうたうところが量産されました。
こういうやつですね。まだ残ってるのでびっくりしました。
で、弁護士も最初は寄ってきていたのですけれども、
まあこんな感じで手のひらを返されています。
コンサルは根無し草なのでいつでも逃げられますし、別の顧客がいるところに行けばいいのですが、院を構えてる人たちは逃げられません。
あそこ○○してたよねって刺されて終わる可能性は考慮しておくべきかと思います。
実はすでに機械たくさん買っちゃったのでやけになった
実は業者から機会を大量購入しているため、売るしかない!でも界隈の人たちは瞬時に得にならないなら買わないから、もうアピれ!的に自棄になったパターンです。
まあないか。
そもそも引っかかっていること
治療院界隈が現状斜陽産業であるため、権利拡大する方向に進むとは全く思えないんです。
特に現状が外傷に強いアピールとエコーが結びついているやり方が特に目立つのですが、どちらかというと健康保険の領域の用途で伸ばしているわけで、年々減少する療養費+コロナ過剰自粛で医療費かつかつの状況で認められる方向に行くかは…
って状況で、すべてをひっくり返す手がないように思えるのです。
後思いつくのは償還払い移行をするORエコーで明確な損傷が認められたもの以外は療養費申請をしないという協定を結ぶくらいでしょうか。
ただそれだと最も大きい組織が動いてないのが謎です。
もしかすると直接国の税金に関与しないからワンチャン見逃されるのかもしれませんが、あまりその可能性は高くないように思いますので、個人的にはやはり、うまく使ってほしい、その一言に尽きるかなというところです。
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