気候変動に特化したニュースレターが示す可能性
先日、The New Yorkerが気候変動に特化したニュースレターの配信を開始すると発表しました。ニュースレターの執筆を担当するのは、国際環境NGO350.orgの共同設立者であり、環境活動家兼ジャーナリストのビル・マッキベン氏。
ニュースレターの内容は短いエッセイや関連記事のリンク、“Pass the Mic”と銘打ったインタビューなどを予定しているそう。すでに媒体に掲載された記事を配信するのではなく、ニュースレター限定コンテンツを配信。
The NewYorkerでニュースレターディレクターJessanne Collins氏は、ニュースレターでの配信を選んだ理由を次のように語っています。
気候変動は重要かつ幅の広いトピックです。読者はしっかりと理解しなければ感じていても、圧倒されてします。集中すべきポイントを絞って伝えられるニュースレターは適切な方法だと考えたんです。ニュースレターは有限であり、アクセスしやすい。うまくやれば読むのが楽しい体験を届けられると思っています。
気候変動に特化したニュースレターを配信しているメディアは彼らだけではありません。NiemanLabはNYTのClimate Fwd: を挙げています。
ほかの例として思い出されるのがQuartz「The Race to Zero Emissions」です。同ニュースレターは、同メディアの記者であったAkshat Rathi氏が、炭素回収を取り上げる特集記事と並行し、取材の様子や記事化されなかった話を共有するため、2017年に配信を開始しました。
特集記事のために1つのトピックに絞ったニュースレターを配信するのは、当時のQuartzにとっては挑戦だったそうですが、1年足らずで6000人を超える購読者を集めました。
彼はニュースレターと並行し、QuartzのニュースレターやTwitterでも特集記事を宣伝、同じ関心を共有する読者を集め、「議論を呼ぶが、まだ理解されていない。かつ気候変動に立ち向かうための重要なトピック」を届けようとしました。
ジャーナリストが特定のイシューに絞って、ニュースレターを継続的に配信することで、読者は質や量が担保された情報を受け取り、そのイシューについて思考するために必要な文脈や視点を理解できます。同時に、メディアはジャーナリストと読み手との関係を深めていけるでしょう。
気候変動の他にも、日々発信される情報の量、課題の深刻さに、読者が圧倒されている課題はあるはずです。そうした課題を継続的に伝える手段として、イシュー特化型のニュースレターは期待できるのではと思っています。