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スイマーくん。恋物語①

僕はスイマーくん。
泳ぐのが大好きだけどいつも眠気と戦っている。
泳いでいる時は集中しているけれど、それ以外は横になってウトウトする毎日。
家事もおろそか、勉強も座っていられない。
こんな僕の憧れの的はシャキシャキ働き者のアリコちゃんだ。
アリコちゃんはいつも僕をバカにする
「いつも寝てるだけの怠け者ね」と、言いながら僕をしりめに毎日毎日働いている。
僕だってアリコちゃんの様になりたい。
僕はいつかアリコちゃんに泳ぐ姿を見て欲しいと思っている
そしたらきっと僕の事、怠け者じゃなかったんだって好きになってくれるんじゃないかってそう思っている。
今日も僕は泳いだ
たくさんの大会に出て部屋をメダルで一杯にしたい
そんな思いで僕は毎日泳ぐ
だけどやっぱりそれ以外は睡魔に負ける僕なんだ……
こんな僕はやっぱりダメなのかなと思っていた時チャンスが訪れた
アリコちゃんがプールに来る機会があるというのだ
「ねぇ!僕の泳ぐ姿を見てよ!クロールが得意なんだ!」と言うと、冷たい目をしながらもアリコちゃんは見に来てくれた
よし、きっと僕を見直してくれるに違いない
アリコちゃんがみている中僕は泳いだ
当然いつもより張り切った
目は冴えている
いつもより早く泳げた気がした
ゴールに着いた時、僕の胸はドキドキした
アリコちゃんはなんて言ってくれるんだろう
色んな言葉を想像した
早かったね
怠け者じゃないね
かっこよかった!
想像すると余計に胸が高鳴った
僕は急いでアリコちゃんの元へ向かった
アリコちゃんは何事も無かったように帰ろうとしていた
僕はワクワクした気持ちでアリコちゃんに声を掛けた
「ねぇ!僕の泳ぎはどうだった?」
アリコちゃんは振り向きざま答えた


「人間の必死な顔って苦手なの。息継ぎ、みてられなかったわ」


[完]

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