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3分でわかる: 増えています!対話”できない”と”したくない”人、その影響

とある大学生と話をした時の衝撃を今でも覚えています。その彼はこう言いました。「僕らはヒトを求めていない。悩みを相談しないし、相談されても困る」と。今社会全体、特に若い世代を中心に対話力が低下してきています。その背景には対話”できない”要因と、対話”したくない”要因が隠れていると考えています。今回はデータを参照しながらお話しします。

対話の場面で「言えない」

気の合う仲間との日々の何気ない会話だとなんら苦労しないのに、答えのないテーマに対する議論や、想い話題を振られた時に、自分の言葉で話せなくなっていませんか?そんな人が今若い世代にかけて増えてきています。

Z世代の傾向

引用:【日本能率協会マネジメントセンター、イマドキ若手社員の仕事に対する意識調査2020】

若い世代にかけて失敗や恥を恐れて目立たず主張せず、それを乗り越えるほどの自己肯定感や自信も乏しい人が増えてきています。これはSNSの普及で日常的に評価や批判の目に晒されてきたことが背景にあると、いうのはよく言われることです。

しかしそれだけではない、と私は考えます。個性の尊重が声高に言われるようになったことで、逆に自分で自分を評価するモノサシが持てずに自信が持てなくなってしまう、という”個性尊重のパラドックス”が生じていると感じています。

自分に自信がないと人間関係を良好に保つことに多くのエネルギーを必要とします。しかしその逆境をバネに積極的に人間関係を保とうとするのか、というとそうでもないのが実情のようです。

対話なんて「めんどくさい」

人間関係を保つのに対話は欠かせません。そもそもの人間関係について、”めんどくさい”と感じる人が圧倒的に多いのです。そのめんどくささの程度は、電話や訪問セールス、掃除に次いで3番目となっています。ご近所付き合いや親戚づきあいを入れると、なんと人間関係はめんどくさいことのトップになります。

めんどくさいことランキング

引用:『面倒くさい』に関するアンケート(インターワイヤード)

そんなめんどくさいものだから、コミュニケーションの手段もなるべく手間のかからない手段を選びたくなりますよね。今若い世代にかけて重宝されているコミュニケーション手段は圧倒的にLINEであって、顔を突き合わせた対面のコミュニケーションは敬遠される傾向にあるのです。

コミュニケーション手段

引用:消費者のネット環境を基礎としたコミュニケーション手段と羞恥心に関する調査(NTT) からグラフ化

顔も声色も態度も見えない、テキストベースのLINEでは、深い対話は難しいですよね。深い対話ができなければ人間関係も深まりませんし広がりもしません。すでにその変化は現れています。

せばまる人間関係

LINEやSNS、インターネットの普及であらゆる場所にいる誰とでも繋がれる時代になって人間関係が広がったか、と言えばむしろ逆。近年の傾向はそれがせばまってきています。

人的ネットワーク

引用:ライフスタイルに関するアンケート調査(第5回)

親しい友人との関係もせばまってきています。悩みやトラブルを抱えた時には誰に相談する相手が、友達だったのが、家族、中でもお母さんに相談する人が増えてきているのです。

悩みを相談する相手

引用:幸福な若者の自己肯定感の低下

増える若い世代の精神疾患患者

高校生まではまだそばに家族がいるから安心できますが、社会に一歩出れば家族とは離ればなれになって、知らない場所で知らない人たちと一から人間関係を作っていかなきゃなりません。それができないと悩みを一人で抱え込んでしまって、心を病んでしまう。実は精神疾患を抱える方々の中で若い世代の割合が急激に増えていて、もはや3分の1に達しようとしています。精神疾患患者は毎年増えて400万人を超えていますから、その数も同様に増えています。

10-20代の精神疾患

引用:「心の病」10~20代で増加傾向 理由は?

圧倒的に求められる「コミュニケーション力」

社会の風潮が対話力を低下させている、そんな時代です。しかし企業にとっては大問題です。組織というのは異なる背景を持った人々が協力しあい、大きな仕事を成し遂げるもので、そこにコミュニケーション力は必要不可欠です。特に昨今は先の見えないVUCAの時代と言われます。チーム全員の英知を結集して困難な時代を乗り切るためにもこの力は欠かせません。だから新卒者社員に求めるスキルは圧倒的にコミュニケーション力なのです。

コミュニケーション力_経団連

引用:2018 年度 新卒採用に関するアンケート調査結果(経団連)

ライフステージ全般で求められる”対話力”

進学、就職の後は、結婚、家庭を持ち、昇進や転勤・転職、子どもの結婚…とライフステージのあらゆる場面で新しい人間関係があり、各場面で対話力が求められます。対話力があれば人生を豊かに過ごせるようになるのは一目瞭然です。

いかがでしたでしょうか。対話を知らず知らずのうちに避けてしまって、人間関係がどんどんせばまってきて、気づけば周りに心を開ける人がいなくて孤立していた、就職時もその後も苦労する…なんていう時代がすぐそこに来ているのです。


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