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復讐#最終章「信じるか信じないかはアナタ次第です」

結婚して2回目の大晦日は、4月に生まれた甥っ子を中心に過ぎていく。居心地の悪さを感じながら、家族全員で鍋を囲み、年越し蕎麦をいただく。年明けとともに家から徒歩1分圏内の氏神様へ、これまた家族全員で初詣に出かける。ご近所さんに声をかけられるのは避けられない。ここでもまた「赤ちゃんまだ?」攻撃を受けることになる。

気分がすぐれないまま、参拝を済ませて隣の家に帰る。Cちゃん(義理の妹)とアタシは先に休ませてもらうため、2階に上がった。布団に潜り込み、ともに姑の件でため息をつく。
「なおちゃん…寝た?」
「起きてるよ」
「実はアタシ、またできたんよ。3ヶ月なんやけどね」
Cちゃんは申し訳なさそうだ。
「そうなんや、おめでとう。年子になるんやなあ。」
「それが、おめでたくもないんよ」
「え?」

聴けば、おばあちゃんのお告げがあったと。
「この子は、Aくんが酔っぱらって帰ってきたときにできた子やさかい、精子の具合が悪いんで、五体満足で生まれてこない可能性がある。目か耳か、どこかわからんけどな。」
うとうとしながら聞いていたアタシは、一気に目が覚めた。
「そんなもん、Cちゃん信じるん?」
「アタシは産みたいんやけど、Aくんがやめとけって……。お義母さんも、今回は諦めて、なおちゃんとこに授けちゃってくれって言うんで……。」

一瞬にして全身が熱くなる。頭に血が上るのがわかる。布団から出て階下へ降り、トランプを楽しむ家族を横目で睨み、家を出た。
慌てて飛び出してきた夫に事情を告げようと思うが、震えてうまく話せない。

命を、命をなんだと思っているんだ。馬鹿にするのもいい加減にしてくれ!
なんで命を粗末にする者の子宮に命を与え、アタシの子宮には命を与えてくれないのだろう。
神も仏もない。
神も仏も絶対信じない。
お告げなんてクソ喰らえ!
絶対、姑にアタシの子どもを抱かせるもんか!産んでやるもんか!

子どもをつくる行為は一切しないと心に決めた。

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