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アイデアの型まとめ#2 「マイノリティサポート」

アイデアの型まとめ第2段。
今回の型は「マイノリティサポート」

広告クリエイティブ界隈では
2014年あたりから"Social Good"というキーワードがもてはやされ、
商業的な広告だけではなく
社会をより良くするための広告が一世を風靡しました。

しかし、企業の商品やサービスと関係のない社会課題に
アタックする事例が増え始め、
なぜその企業がその課題と向き合うべきなのかを問う
"Authenticity"がキーワード化。

そして、世界的に「自国ファースト」の風潮が吹き荒れ、
差別的なコメントをする国家元首まで登場した昨今、
グローバル企業が向き合うべき課題として注目されたキーワードが

"Inclusion"

「多様性の受け入れ」

世界中で愛されるブランドとして分け隔てなく
本当に全てのお客様に寄り添えているのか?という問いと向き合い、
単なるメッセージ発信ではなく具体的なアイデアで解決した
「マイノリティサポート」な事例を紹介します。


①Microsoft Xbox "Adaptive Controller"

→ 障がい者用コントローラ

Background
昨今、ゲームはe-sportsとして運動能力に関係なく
誰もがその競技性を楽しめる新しいスポーツとして注目を浴びている。
しかし、障がいがある人にとっては押しにくいボタンがあったり
既存のコントローラーでは操作することが難しい。
その不利な点を取り除くことができれば
オリンピックとパラリンピックのように別れなくても済む
新しい競技へと文化が育つことへつながる。

Idea
障がいを持っていてもスピーディに操作できるコントローラを開発

Execution
そのコントローラを障がいを持つ子どもたちへプレゼントしたCMを
アメリカ最大のスポーツの祭典「スーパーボウル」で放送
ゲームが大好きでも身体的な障がいのせいで
ゲームスピードについていけず友達の足を引っ張ってしまい
友達の輪に入れなくしまっていた子たちが
友達と分け隔てなくゲームをプレイできるようになった様子が
放送され、称賛の声が上がった。


②IKEA "Thisables"

→障がい者向けに使いやすいようにする家具拡張ツール

Background
障がい者用に作られている家具は非常に高価であった。
誰もがリーズナブルな家具を楽しめる世界を作ってきたIKEAには
立ち向かう必要があった。

Idea
IKEA製の家具に装着することで
どんな障がいあっても使いやすくする家具の補助器具を開発。
ツールの名前もDisables(できない)→ Thisables(これならできる)
というアイデアが効いていますね。

Execution
オープンソースで開発され、
誰もが無料で拡張ツールのデータをダウンロード可能に。
既製品に取り付けるだけで障がい者用家具に変換される拡張性の高さ
を生かし、世界中の誰もがアクセスできる展開力の高い仕組みに。


③Google AI "Project Understood"

→ダウン症患者の発話でも聞き取れるように声の寄付を募るプロジェクト

Background
ダウン症患者は正確に発音することが難しく
Google AIの音声アシスト機能はうまく聞き取れていなかった。
音声アシストは操作の難しい人にこそ、
利用しやすいサービスであるべき。

Idea
Google AIにラーニングさせるダウン症患者から「声の寄付」をつのった。

Execution
世界30か国735のダウン症協会の協力をえて、
100万以上のボイスサンプルをアルゴリズムに組み込むことができて
質を改善していった。


④Wavio "See Sound"

→音を通知に変換するアプリ

Background
聴覚障がい者は窓ガラスが割れたり、ヤカンが吹きこぼれるなどの
異変が起きても音で気づけないので深刻な事態になってしまう。

Idea
些細な危険を示す音のシグナルを聴覚障がい者でも気付けるように
スマホの通知に変換するアプリケーションを開発。

Execution
センサーデバイスも開発し、スマホやスマートウォッチに通知がいく
仕組みに。


⑤shutterstock "New Stereotypes Available"

→マイノリティレンポジ素材

Background
広告などに使われるレンポジ素材は
旧時代的なステレオタイプがこびりついた素材ばかり。

Idea
そんな状況を逆手に取ってステレオタイプを取り去った
新しいレンポジ素材を用意することで
世の中に新しいイメージが広げる。

Execution
loveという検索ワードにレズカップルの素材、
leaderという検索ワードには女性リーダーが現場を取り仕切っている様子
など新しい素材を用意し、"New Stereotypes Available"というコピーで
レンポジサービスをリリースした。

型というより脈

マイノリティなターゲットをケアすることはマーケティング上、
パイが小さく、効率の悪さを感じてしまいますが、
こういった社会を勇気付けるアクションは
高いPR効果を発揮し、露出だけではなく好意形成にも一役かいます。

企画を考えるとき、「マイノリティにできることはないか?」と
頭の片隅に置いておくことで社会がちょっとよくなる
そんなIdeationの型というよりはIdeaを掘るべき鉱脈のお話でした。

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