初めて夜光虫を見たのは、22歳の時だったろうか。 あれは梅雨が明けたばかりの沖縄の、本島からだいぶ離れた小さな島だった。 信じられないほど美しい海で一日思うさま泳いだあと、シャワーを浴び夕食を食べ、わたしたちは浜辺に散歩に出かけた。 誰もいない夜の海。 こちらに寄せてくる穏やかな波が、青くほの白く、発光していた。 波打ち際を歩くと、足あとがぼんやりと光った。 「夜光虫」という言葉も存在も知らなかったわたしたちは、とても本当とは思えないその景色に、しばらく言葉を失った。