レプリカント

僕らは模範的なピエロじゃなかったから、工業用オイルではなくてレモネードを飲んだ。

オイルを飲んでいたやつは皆、酸化して動かなくなったよ。
別に嬉しくも悲しくもなかった。
ただ僕らは、レモネードを飲んだ。

そしていつの間にか溜まったカロリーが、僕の力になっていた。
それを気付かせてくれたのは、君だよ。
真っ白なドレスの、君。

ホログラムを撒き散らし、突然空から降ってきた雪。

僕は分かった。生きるという意味が。

時計のリズムにのって一緒に遊ぼう。
変拍子はちょっと難しい。

人間はもっと機械と融合するべきだよ。
衰えていく内臓を歯車に組み込んで。

機械ももっと人間に歩み寄るべきだよ。
涙なんか流しちゃったりしてさ。

誰より真面目な僕らは、実は誰よりポンコツで。
突然のトラブルに対処できず。
自分の体を直せない。

走ると息切れするのはなぜ?

あの日の朝、世界は破れ、空中に離散した。

古い物を買い換えるのはなぜ?

その日の夜、世界は零れ、水中を漂った。

動いていた君が動かなくなるのはなぜ?













2018.3.22(木)昼
千葉ポートシアターにて
ギア-GEAR- East Version
イメージテキスト
京都GEAR公式HP https://www.gear.ac/about/history/

2年前に見たノンバーバル・パフォーマンスについての、当時の手記です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?