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奢られ女、割り勘女
ラーメン屋さんの券売機の前で
一枚だけ買う男に殆ど出会ったことはないが
その一回で私は相手を嫌いになる。
普通は「何にする?」と振り返って尋ね、
黙って二千円を払うのだ。
下心との引き換えではなくノブレスオブリージュ的精神から紳士たる男はスマートに会計をして然るべしである。
支払えない男はいらない
気持ちよく財布を開かない男は
女子供より先に火事から逃げるくらいダサい。
そもそも財布に現金が入っていない(多分)
以前、80円しか手持ちがなくて
真剣に驚いたことがある。
女子が生きるにはすごくお金がかかる。
ヘアサロン 17,000円
眉毛サロン 6,000円
まつ毛パーマ 8,000円
(ネイルや脱毛はしない主義だが、する女性なら15,000円や数十万円が加わる)
美容注射 2,500円/週
肌のアンチエイジング 60,000円/半年
顎関節症ボトックス 50,000円/半年
生理用品 3,000円/月
スキンケア用品 6,000円/月
化粧品 1,500円/月
(薄化粧しかしないので普通はもっと高い)
赤提灯的な店で飲んだクリーニング費用 2,000円
お前がLINEを返さなくてムカついて行ったマッサージ 8,000円(冗談だ)
家に行くためのタクシー費用 2,500円
思いつく限りを記載しながら腹が立ってきた。
月に一回生理痛に苦しみ、毎度化粧をし、お金までかかっている。これが女だ。
整形を一切していない少し美意識の高い平凡な女性で上記金額がかかっている。
焼肉なんていきなり連れて行かないでほしい
クリーニング代を払ってくれ。
不安になんてさせないでほしい
精神安定費用を払ってくれ。
「まつ毛が長くて可愛いね」
「俺の彼女はカワイイ!」
「その服、可愛いじゃん」
すべての可愛いはノットプライスレス
君の可愛い自慢の彼女ちゃんには
維持費がかかることを男は理解すべきだ。
支払いたくない男は黙って「毛並みの良くない」女性を選べばいい。
奢ってもらって当然の女は嫌い
=僕は経済力のない情けない男です
この方程式に早く気づき、高望みはやめるべし。
ニッポンは斜陽国家だ。男も女も覇気がない。
てめーは何も払わないのかと言われれば
そんなことはない。
相手が困っていればできる範囲で助けるし、誕生日にはきちんとしたものを渡す。
金額しか指標がなくて申し訳ないが、少なくとも10万以下をプレゼントしたことは社会人になってから一度もない。現在の年齢的予算は50万程度だろうか。もちろん倍倍返しくらいは請求するが。
普段は、はなまるうどん かけうどん(小)しか食べず、ひどい時はブドウ糖だけを齧りながら一日を過ごしているの私に港区的派手さはない。異様に質素である。酒もタバコもやらない。手持ちの服も少なく、鞄は二つしか持っていない。勝負下着を持たず、ユニクロのエアリズムに頼る。
確かに「今月の支払いやばいかも」
という気持ちはよくわかる。
母へのプレゼントと友人の出産祝い、
必要な旅行、友人の開業祝いが一気に重なり
口座残高4万になった女が私だ。
どうすりゃ良いって?
次の口座振替までに死ぬ気で働くのだ。
フリーランスは天井がないから
本気を出せばどうにかなる。間に合う。やれ。
割り勘をする女が偉い?
経済がまわらなくなるからやめてくれ
日本のために女は着飾り
男の気持ちを高め
男たるものに命懸けで働かせよ。
割り勘なんて言葉は私の辞書にない。
クレジットカードがダサいだけで嫌になる。
楽天カードだのエポスカードは見たくもない。ポイント還元率なんて知らない。
アメックスプラチナあたりで
ささっと会計してほしい。
先ほども港区某所の化粧品売り場にて
朝の8時から働いているであろう
オバチャンのノルマに思いを馳せて
スキンケア用品三万円を笑顔で
「では、いただきますね。クレジット一括で」
と言い放った私はちっぽけな男が大嫌いだ。
奢られ女よ、胸を張れ。
僕は・君たちが・好きだ。
『風の歌を聴け』村上春樹
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