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西南シルクロードは密林に消える

何を読むべきか迷っていた。

育休中、24時間ほぼ子どもと向き合う中で。

どうせなら今の自分では到底体験できないような、非現実的な世界をのぞいてみたい。

そんな時、たまたま目にしたyoutubeで東出昌大さんが紹介していたのが角幡唯介さんの「極夜行」だった。


極夜行で凍てつく暗闇の世界を読んで、海外の辺境地に興味をもち、他に面白そうな作品を探していたら高野秀行さんの「西南シルクロードは密林に消える」を進めている人がちらほらいた。(以下、西南シルク)

なんだか妙にタイトルに惹かれて即購入。

中国四川省の成都を出発し、ビルマ北部を通って、最後にはインドへ。
幻の西南シルクロードに挑む著者の前には、圧倒的なジャングルの反政府少数民族ゲリラの支配する世界屈指の秘境がたちふさがっていた。
混迷と困難を極める旅なのに、これほど笑えるのはなぜか。究極のエンタメ・ノンフィクションついに登場。

参照:西南シルクロードは密林に消える


極夜行では自然現象の描写がリアルで鬼気迫るものがあり、且つ著者のフィルターを通して思いや思想など心の声がふんだんに描かれているのに対し、西南シルクは目の前に広がる情景やアクシデントを淡々と描いている。


著者は東京の焼き鳥屋で、知り合ったばかりのカメラマンと飲んでいた。会社の枠を超えて新たな仕事に挑戦したいと息巻く若いカメラマンに企画の相談をされ、酔った勢いも相まってあまり深く考えずに「西南シルクロードを陸路で踏破するのはどうだろう」と持ちかけてしまう。
それを本気にしたカメラマンが自身の会社に掛け合って企画が成立してしまい、西南シルクロードを陸路でいくことが決定してしまう。

極夜行は太陽の上がらない暗闇の雪原をひた歩くため、基本的にあまり情景が変わらない。が、その描写が逆に恐怖心を静かに掻き立てるのに対し、西南シルクは中国やミャンマー、インド国境沿いを陸路で渡るため、ジャングルの中を駆け抜けたり崖を登ったり、全く色の違う村々を転々とするなど情景の移り変わりが面白い。

しかも、ノンフィクション。

読んでいる途中から「やめとけやめとけ」「死ぬど」など心の中でのツッコミが止まらない。

恥ずかしながらミャンマー情勢に疎いので調べながら読んだけど、あまり小難しいことは書いてないので読みやすかった。

ちょっと笑いたい人、日本では見ることのできない情景を覗きたい人、疲れてる人、バックパッカー、色んな人に勧めたい本です。超超おすすめ。

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