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ゲーム開発が好きだから

まずは経緯のご説明

twitterでこのような弱音を吐いたために、ゲーム制作やめちゃうの?というDMを多数いただいたので、ちゃんと経緯を説明をさせていただきます。

まず結論から言うと、ゲーム制作は絶対にやめるつもりはないです。

ゲーム制作は楽しいし、それでいてお金も稼いでくれるし、せっかく作り方もわかってきたのに、ここでやめてしまうなんて勿体無いと思っています。

では何が潮時かいうと、ゲーム制作を生業とすることをやめようと言うこと。つまり本業の傍らで、以前のように副業として今後も制作していきますということです。

楽観的に考えていたゲーム開発

インディーゲーム制作には大きく2パターンあって、一つは全てを自分一人で作る自己完結型、もう一つは作業を手分けしてみんなで作るチーム制作型。

僕の場合は、40歳まで建築の仕事をしていてゲーム業界に一度も身を置かなかったし、自己完結型だと果たして死ぬまでに何本作れるだろうか、という懸念もあったので、迷わずチーム制作型を選んだ。

ゲームサークルなんかはまさにチーム制作型の典型で、それぞれの担当部分を無償で製作して、売れたならみんなで分配しようというスタイルが多い。

でも自分の場合は全くの無名で、ゲームが作れる知り合いも周りにいなかったので、プログラムもグラフィックも全てネットで知り合った方に、レベニューシェアを絡めた有償の契約でお願いすることになった。

外注方式はもちろんお金がかかるが、大きなメリットもある。それはそれぞれの道のプロが進めていくので、短期間でクオリティ高いゲームをリリースすることが可能であること。

自分の場合は1年に2本リリースのペースで開発することができ、幸いにも開発3年目には本業だった建築の収入を超えるまでになった。
これはゲームのコンセプト(斬新でなくてもこれで良いんだよ的ゲーム)がユーザーに受け入れられやすかったこと、また美麗ドット絵を描ける銀親さんや、比較的安価で腕の良いプログラマーさんと出会えたことなど、幸運がいくつも重なったからなのだが、それを勘違いしてしまって「あれ?これってリリースするほどに売り上げが右肩上がりになるんじゃね?」と安易に考えてしまった。

痛かった、中国市場の規制

実際に中国のパブリッシャーと組んでから、稼ぎ頭のダークブラッドは中国だけで30万ダウンロードを1年で達成した。売上も気が付けば3倍に伸びていた。(売上の6割は中国)

そのタイミングで来るべき明るい将来を見据えて、ゲーム制作ブランドを法人化し、飛躍の年となる2022年を迎える…はずだった。

しかし2022年に入ってすぐ、中国政府は中国国内におけるゲームの規制を強化し始めた。大手ですら中国のストアにリリースすることが難しくなった。(中国で販売するために必要となる版号の取得が難しくなった)
そしてダークブラッドを取り扱ってくれていたパブリッシャーも、当局からストアに掲載していたゲームを全て取り下げるように指導を受け、結局ダークブラッドもストアから撤去された。

頼みの綱だった中国市場の売上はほぼゼロになったが、それでも北米と南米の売上は堅実に推移していて、まだ本業として続けていけるだけの売上はあった。

しかし新作の「ダークブラッド外伝」のリリースが当初予定していた2022年1月から5月まで延び、プログラマーさんに毎月支払う費用がボディブローのように効いてきた。だが既に開発も佳境に入っていたため中断する選択肢はなかった。日々のやりくりで苦しかったが、これまでのようにリリースさえすれば、開発費は半年もあればペイできると思っていた。

そしてダークブラッド外伝は5月にようやくリリースできることとなった。
ダークブラッド1、2の評価はAppStoreでは4.5以上、GooglePlayでも4以上と高かったおかげで、前作を遊んでくれたユーザーがダウンロードしてくれて、これまでリリースしたゲームよりもスタートダッシュは良かった。

しかし、その勢いも2ヶ月目で徐々に下がり始めた。原因は様々だが、一番大きかったのは本来あるべき機能の半分程度しか実装できていなかったため、やり込み要素が前作より少なかったことだと思う。

ゲームのダウンロードが好調でも継続して遊んでもらえなければ、広告収入や課金で成り立っているフリーゲームは生きていけない。少しずつアップデートを重ねて、9月にはほぼ完成形になったが時既に遅し。3ヶ月目から売り上げが大きく伸びることはなかった。

自転車操業の個人開発

自己完結型の開発をしている人はいいが、自分のようなチーム開発外注型の開発をしている人は毎月クリエイターさんたちへの支払いが発生する。ゲームが売れている間は、その支払いは売上で十分賄えるから問題はないが、売上げも徐々に下がってくるのでやはり新作を作る必要があり、そうするとまた新たな開発費の支出が発生する。ゲームが売れて開発費をペイできても、また新たなゲームの開発に取り掛かって前に進まなければ倒れてしまう。つまり多くの個人開発者は自転車操業なのである。

僕は以前は建築の仕事もコンスタントに受注していたので、ゲームの売り上げが少くて開発費の支払いが出来そうにない時は、建築で稼いだお金で穴埋めしていた。しかし、法人化したタイミングで建築の仕事からは完全に離れてしまったため、そのような穴埋めはできない。そうなると自腹を切って穴埋めするしか無くなる。

ちなみに我が家は大学生、高校生、中学生の3人の子供がおり、一番お金がかかる時期なので、個人の財布から穴埋めするのは正直厳しい。

苦しい思いでゲーム開発したくない

元々は、ゲーム作りに関わることが楽しくて始めたインディーゲーム開発なのに、気が付けば苦しい思いでゲーム開発をしている自分がいる。

ゲーム制作自体はやっぱり楽しい。生きがいの一つと言ってもいい。しかし楽しいからと生活費を切り崩して開発に注ぎ込むような状況になってしまうと、それはパチンコとかギャンブルにハマっている人と何ら変わりない。

「ゲーム作りが大好きだから、苦しい思いをしながら開発をしたくない」

だから、本業としてのゲーム開発はやめる。これが、僕が出した答えです。

なので、これからもゲーム開発は続けていきますが、本業で建築業をしながらになるので開発スピードも落ちるし、稼げる額も減るのでクオリティも下がっていくかもしれません。それでも死ぬまでゲーム開発は続けていきたいと思っています。

とりあえず、最後の望みをかけて、12月17日の福岡インディゲームエキスポで、現在開発中のパズルゲーム「ケリバト!」を公開します。

Keribato!(ケリバト)は2023年3月頃リリース予定。グラフィック担当は今回も銀親氏。

そして本当なら年明けから開発する予定だった初のコンシューマ向けソフト『DarkBlood -Last light-(仮称)』についても、開発を支援してくれるパブリッシャーが現れないか、一縷の望みを抱いて出展したいと思っています。

今は苦しいですが、必ず不死鳥のようにまた復活して舞い戻ってきます!
これからも応援よろしくお願いします。

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