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ゲーム開発6年目の危機感

ゲーム制作は本当に面白い!でも...

ゲーム開発を始めてとうとう6年目に入りました。当初は本業の建築設計の仕事のかたわら、趣味の延長がいつか副業になればいいな、くらいの感覚で始めたのですが、4年目で本業に近い売り上げとなり、5年目にして本業を上回るまでになったので、昨年ついにゲーム制作会社として法人化をしました。

ゲーム制作は本当に楽しいです。自分の考えたゲームを世界中の人に遊んでもらえて、その上お金にもなる。顔も知らない世界中のユーザーから褒められると(中には厳しい評価もありますが)自己肯定感も爆上がり、少なくとも3日はレビューをつまみに酒が飲めます。

ですが、ゲーム開発が順調かといえば、実はいま微妙な状態にあります。
儲かっているかと聞かれても「ぼちぼちですね」としか答えようのない状況です。それは別に謙遜しているのではなく、これがゲーム開発を5年経験した僕の率直な感想なのです。

そもそもゲーム制作は儲かるのか?

儲かっているかどうかという判断基準は、人によって(求める生活水準とかによって)異なるでしょうが、肌感覚としては年間1千万円くらい稼げているのなら「儲かっている」と胸を張って言えるかなと思っています。

ではゲーム開発で年間1千万円稼ぐにはどうすればいいのか。
単純に1本千円のソフトなら、1万本を売り上げれば売り上げ1千万円ですね。無料アプリであれば、1ダウンロードあたりの収益相場は数十円程度が相場とされているので、仮に1ダウンロード50円だとしても20万ダウンロードもしてもらう必要があります。

すでにゲームをリリースしたことがある人ならわかると思いますが、これだけの本数を個人で売り上げるのは相当困難です。
なぜなら大手のようにゲームを知ってもらうためのCMをバンバン流して露出を高めるようなプロモーションを個人で行うのはまず無理だからです。(不可能ではないが、結果的に赤字になる可能性が高い)

ちなみにお気づきと思いますが、上記はあくまでも「売り上げ」です。当然ここから経費などが引かれます。もし誰かに手伝ってもらっているなら、その人に支払うお金も発生しますので、いくら残るかが重要です。
ちなみに自分の場合は売上の3、4割くらいが、外注しているクリエイターさんやプログラマーさんへの支払いに消えています。さらにそこから税金も引かれるので、手取りで1千万円稼ぐには倍の2千万円は売り上げないといけない計算になります。

先日、このようなツイートをしたのですが、自分の位置は「作ったゲームで食べていけている人」の真ん中あたり。
なんとか食べてはいけてるけど、ほとんどが開発費に消えてしまって、高級焼肉や松茸は食べられていません...

ちなみにこの図って横から見たらこんな感じなので、食べていけるようになったからといって油断していたら、すぐに転がり落ちてしまう。

名称未設定のアートワーク 10

私にとってゲーム作りは趣味の延長から始まったので、副業として捉えるなら今の売り上げでも十分すぎるくらいです。ですが、せっかく昨年法人化もして、これから腰を据えて本格的にゲーム開発に取り組む覚悟を決めたのに、人も雇えないような状況では天上人など夢のまた夢で、ビジネスとしては全く話にならないと思っています。

そして勝負の10月

そしてこの10月は、私にとってゲーム開発の将来を占う重要な月となります。

それは10月が新作の「ダークブラッド外伝」をリリースする予定の月であること。そしてNintendoSwitch用に魔改造した「ダークブラッドReborn」の開発が完成する月でもあるからです。

もしこの2つが達成できなければ、本当にピンチを迎えます。
なぜなら、開発費が10月でほとんど底をついてしまうからです。

副業でゲーム開発をしているなら、開発費が尽きたのなら開発を中断すればいいし、それでしばらく売り上げが激減しても(最悪0円でも)本業が安定しているならそこまで痛くないですが、昨年法人化したため何もしなくても法人税は発生しますし、そうもいかないのです。

だったら本業の建築の仕事を再開すればいいじゃんと思われるでしょうが、

正直なところ、働きたくないでござる!

ぶっちゃけ、ゲーム開発の楽しさを知ってしまうと、顧客とアポを取って打ち合わせをしたり、予算に収まるように職人さんやメーカーと折衝したり、顧客の要望にいつでも的確に答える、という当たり前にやっていたことが、あまりにも面倒くさく感じてしまうのです。

もちろんゲーム開発でも、名前も知らない人からクソ味噌レビューをもらったりしますが、直接苦情を言われる訳ではないので精神的ダメージは少ないですし、何より自分主導で動けることが圧倒的に楽なんです。

あと、私の父親はギャンブルで痛い目にあってるので、私は賭け事を一生やらないと決めているのですが、ゲーム開発はギャンブルに似通ったところがあるといつも思います。お金をたくさん注ぎ込んだからといって当たるとは限らない。前評判が良くても見事に外れる。でも競馬や競艇などと違うのは、自分がレースに参加して自分自身に賭けることができるというところでしょうか。そう考えると、ゲーム開発って最高の娯楽だと思いませんか?

ぶっちゃけ、個人でゲーム開発をして食べていくのはかなり大変です。外注なしで全部一人で作れる能力と、人を惹きつける企画力、売り上げを伸ばし続けるマネタイズ能力があるなら、成功できるかもしれませんが、いまの業界は競争が激化して、いわゆるレッドオーシャン状態だから、本当に食べていけるのは一握りのゲーム開発者です。

そして私がその一握りの開発者になれるかどうかは、この10月にかかっています。
この賭けに負けたなら、おそらくゲーム開発をしばらくやめることになると思います。(いまさら建築の仕事をしたくないけど、背に腹は変えられない)
もしくは「受注開発」にチャレンジするという選択肢もあるかもしれません。いままで思いつくままにゲームを企画して作ってきたので、人の要望に沿ってゲームを開発するという経験も、今後のためにしておいた方が成長できるのかなと思ったり。
なので当方、企画しか作れない業界未経験者ですが、ご興味があればぜひお声がけください。(結局、仕事のお願いか!こらーーー!!!)

とにかく私はサボり癖のある人間なので、このように宣言しておいた方がやる気が起きるかなと、自分に鞭打つ意味を込めてのnoteでした。


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