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「死ぬ準備」しなくても間違いなく死ぬ。


 どうせ老人の話など、辛気くさいか説教話である。と人気ない。だから娘には、当たり障りのないことしか喋らない。価値観が違うのだ。話したところで通じない。世の中、すこしずつ「バベルの塔」化している。

 日本なんかまだ良い方だ。私が生まれ育った台湾など、家庭内を四カ国語以上がが飛び交っている。老人夫婦は古い台湾語で喋り、孫は北京語しか出来ない。若い夫婦は、留学中に日本人と知り合って結婚したから、英語と、日本語である。その上に夫婦だけの暗号まである。もう、多言語家庭である。

 但し、ナショナリズムも根っこには残っている。だから国の自慢はしても、相手の国の欠点をあげつらわない。揉める元になる。たぶんアメリカもそうだろう。こんな複雑な多言語時代は、嘗てなかった。加えてネットである。17歳ぐらいの子供が、ある事業を思いついて、世界中の少年に呼び掛け、今は同時通訳が可能だから、顔も見ないで、ハンドルネームだけで、会話を交わしたりする。なぜか背信行為はない。不思議な人間関係である。

 間違いなく、ジュニアが世界を変えるだろう。
 もう、古い道義や感覚などお呼びじゃない。


 しかし此処に問題もある。このようなグローバルな情報伝達には、それなりに知識もいる。機器もいる。だから、経済力のある、そんな家庭に生まれた、或いはそんな国に生まれた、一握りの裕福な家庭の子供たちが中心になる。よって世界の子供間に、また格差が生まれる。


 実効的な手当をされることもなく、見せかけの善意で誤魔化された少年側は、やがて不満を抱き、そこを、復讐に燃えるテロリストにリクルートされる。そして少年兵器化される。
 
 かっての日本にも、似た雰囲気があった。天皇は現人神で軍国少年は赤子だった。軍部がその教育係を勤めた。小学校高学年には軍事教練があった。つまり戦争の道具に育てられたのだ。
 軍国少年が、鉄砲や手投げ弾に化ける寸前に戦争は終わった。
 戦争に負けたお陰で少年達は命拾いした。

 いまはIT万能時代である。しかし、如何に電子化した世界でも、逆にそれだから脆い。例えば日本は無防備に近い。東京に一極集中している。これも政治の、無策の結果である。仮に東京を叩けば、全ての機能は停止する。


 アメリカはどうだ。政治はワシントン、金融はニューヨーク、経済はボストンにシカゴ、最新IT機器と娯楽はロサンジェルス、軍事が砂漠の中に点在である。おまけに日本の10倍以上の国土の広さである。

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満85歳。台湾生まれ台湾育ち。さいごの軍国少年世代。戦後引き揚げの日本国籍者です。耐え難きを耐え、忍び難きを忍び頑張った。その日本も世界の底辺になりつつある。まだ墜ちるだろう。再再興のヒントは?老人の知恵と警告と提言を・・・どぞ。